SPECIAL 2008
2008年2月28日 第9号 掲載
![]() 参加者からの質問に答える、ハンセン大臣 |
![]() 会の初めにあいさつをする大塚聖一総領事 |
コリン・ハンセンBC州政府経済開発、アジア太平洋イニシアティブおよび2010年冬季オリンピック担当大臣(Minister of Economic Development, and Minister Responsible for the Asia-Pacific Initiative and the 2010 Winter Olympics)を囲んでの質疑応答形式の懇談会が催された。
2010年冬季オリンピックバンクーバー大会まであと2年を切り、ブリティッシュ・コロンビア州の経済が大きくシフトしていくなかで、参加したバンクーバー在住の日系経済界代表から、これからの日本とBC州との経済関係をどのように再構築していくかということに質問が集中した。
昨年11月30日に、在バンクーバー日本国総領事館主催で行われたこの懇談会の内容を要約して紹介する。
東京にBC州代表常駐を
参加者からの質問を受ける前に、ハンセン大臣がBC州政府の、日本での今後の展開を簡単に紹介した。
最重要課題としてBC州政府代表を日本に常駐させることを検討している。今年(2007年)9月に10日間、日本に滞在してさまざまな分野の人々と話をする機会を得た時に、政府関係者がBC州に帰っても、誰かが引き続き話し合いの機会を持てる必要性があることを改めて痛感した。
これから先BC州政府は、日本をはじめとするアジア・太平洋地域に継続して関係者が訪問することを予定している。私自身は、9月の訪問の前には1年半前に東京と仙台を訪問した。そのあと2006年11月にはキャンベル州首相が日本を訪問している。その後も主要大臣、関係者が続いている。
私の印象としては、1年半前の日本は景気が回復していることを信じている段階だった。しかし、今回は私が話した誰もが日本は景気回復しているという自信を持っていた。BC州としては、今回の大臣関係者の歴訪をきっかけに、これまでの過去15年間で失ってきた日本との安定した経済関係を再構築するいい機会と捉えている。
BC州の主要産業はこれまでの森林資源や天然資源産業に加えて、テクノロジーやクリーンエネルギー、バイオ燃料、燃料電池などの分野にも力を入れ始めている。これらの新興産業分野で日本と協力できればと考えている。
質疑応答
Q:BC州の産業の長所は?将来的にそれらをどのようにアピールしていこうと考えているのか?
A:各産業とも長所があり、それによってアピールの仕方も変わってくると思う。例えば、森林資源産業であればパインビートルの被害でこれからも厳しい状況が続くと思うし、バイオ燃料では強いカナダドルのために、さらに世界との競争が激しさを増すことが必至だと考えられる。
天然資源産業では、この6年間に10倍もの予算を投じて産業全体を強化してきた。私が日本に行ったときに感じたのは、日本は長期に渡る安定した資源供給先を探しているということだった。現在日本が供給先としている南アメリカと比べれば、カナダは価格では決して安いとは言えないが、長期的に安定した供給源であるし、この競争に勝てるのではないかと考えている。
また、テクノロジー産業はBC州が得意としている分野とは言い難い。しかし、今年(2007年)マイクロソフト社がリッチモンドにソフトウェア開発事務局を立ち上げた理由に見られるとおり、バンクーバーには世界から優秀なテクノロジー技術者を集められる機会・手段があること、これらの人々が快適に生活できる環境があることがこの産業を大きくしていく鍵だと考えている。
BC州が抱えている問題として、多くの企業が中小企業であるということがある。そのため新興産業ではどの分野においても国際社会での競争力が弱いことが課題となっている。そこで、BC州政府は海外企業とこれらの優秀な中小企業とを引き合わせるサポートを行っていこうと考えている。
Q:森林資源産業について。日本への木材輸出競争が年々激しさを増す中、安定供給という面において、カナダはインフラ整備の不備やストライキなどで競争力の低下が深刻化しているが、こうしたことに何か解決方法はあるのか?
A:2年前の港湾のストライキや、去年発生した鉄道のストライキ、そして今年のストライキと、政府が介入できるものとそうでないものとがある。しかし、これらを収拾することはBC州政府の責任であり、これらのことによって、利用者が問題を抱えることは私たちの意図するところではない。できるだけ早急に解決策を講じることが我々にとっても課題だと思っている。
ただ、ひとつ問題解決につながるものとして、プリンス・ルーパート港の開港は大きな意味があると思う。これにより運搬システムになにか不備が生じた場合には、代替オプションが一つ増えたことは大きな進歩だと思っている。
Q:旅行業界ではオリンピック期間中よりも、その前後の旅行者数の増加を見込んでいるが、まだ日本向けのPRが十分ではないのでは?
また、大臣の意見としてオリンピックがBC州に与える経済効果はどれくらいだと考えているか。
A:日本に向けての宣伝広告がまだ全く見えない理由は、カナダ国内以外での宣伝活動を許可されていないからである。
直前のオリンピックが終わるまで、つまり我々の場合で言うと2008年夏季オリンピック北京大会が終わるまでは、オリンピックロゴなどを使った広告や宣伝は行えないことになっている。
我々の予想ではバンクーバー五輪期間中に、BC州に約25万人の訪問者があると見込んでいる。ホテルなどの宿泊施設は満室になり、ホームステイやB&Bなども利用する人が増えるとみているし、一般家庭で海外からの旅行者を受け入れることも考えられる。
こうしたことを考慮した上で、RBCの調べではオリンピック期間中だけでも約100億ドルの経済効果が期待できると試算されている。また2010年だけでBC州のGDPが1%の成長を見込めるとの予想もある。実際に、現時点のカウントダウン2010という状況でも経済効果は目に見えて起こっている。
これから先のPR活動については、メディアとの協力はもちろん考えている。期間中は約1万2000人のジャーナリストがこの町に来ると予想されている。
我々としてもすでにハイビジョンでBC州を宣伝するための撮影を終え、海外のメディアに対して資料映像を提供する準備もできている。
実際トリノ五輪のときには、多少のPR活動をする機会があった。それだけの宣伝ですら、すでにその効果が現れ、現時点でも旅行業界に好影響を与えていると思われる。それを思うと、2008年夏以降のPR活動が旅行業界に与える影響は大いに期待できると信じている。
そのほかにもBC州政府に対するさまざまな質問や意見が出された。会は終始和やかに進み、参加者はその後それぞれに歓談の時を過ごした。
(取材 三島直美)