SPECIAL 2008

2008年2月21日 第8号 掲載


ユーコン準州政府主催の
日系企業に対する投資誘致セミナー


デニス・フェンティー・ユーコン準州首相(左)と大塚聖一在バンクーバー日本国総領事

質疑応答では日系企業の参加者からも活発な質問が飛び交った

セミナー後の懇親会では、ユーコンのビールが大人気



 去る1月30日、カナダ・エクスポ・センターにて、ユーコン準州政府主催の日系企業に対する投資誘致セミナーが開催された。ユーコン側からはデニス・フェンティー準州首相をはじめとする政府高官および観光分野を担当する政府機関担当者などが出席し、日系企業からの参加者を含め、約90人の参加がみられた。

 セミナーでは、まず大塚聖一在バンクーバー日本国総領事が開会の辞を述べ、続いて同準州側によるプレゼンテーションが行われた。デニス・フェンティー・ユーコン準州首相のスピーチのあと、ジム・ケニヨン経済開発大臣とイレイン・テイラー観光大臣の紹介が行われ、同準州のビジネスと産業の概要、ビデオによるプレゼンテーションと続いた。その中で参加者は、ユーコン準州の自然の豊かさや、同準州が特に力を注いでいる鉱業、観光業などについて理解を深め、プレゼンテーションの後の質疑応答では具体的な質問が活発に飛び交うなど、同準州に対する興味関心の深さがうかがわれた。最後に来賓として、バンクーバービジネス懇話会の山本智海氏がスピーチを述べ、2時間の有意義なセミナーは幕を閉じた。

 プレゼンテーションの一部をここに紹介する。

(ユーコンについて)
 面積は48万4000平方キロでカナダ全土の5%。日本の約1.4倍の大きさ。人口は3万500人。3分の2がホワイトホースに住んでいる。

(道路)
 ユーコンにはBC州からアラスカにまたがり、4700Kmに渡る年中開通の道路がつながっている。

(電力)
 水力発電は100%稼働しており、ディーゼル設備と再生資源でバックアップしている。

(将来の交通手段向上の可能性)
 アラスカとカナダを結ぶ鉄道の実行可能性調査では、ユーコンとアラスカを通る鉄道調査計画があり、鉄道がつながるとユーコン全土の鉱床へのアクセスが大幅に広がる。

(輸送手段のインフラ)
 ホワイトホースから鉱石の積載施設があるアラスカの海溝スカグウエイへは180Kmの道路でつながっている。アラスカ―カナダ鉄道は、今後アラスカとBC州の港へのつながりを拡張する可能性も。

(日本とユーコンの関係)
 ユーコン政府は過去17年間、日本で開催される主要な旅行業トレードショーに参加。ホワイトホース市は1985年以来、牛久市と姉妹都市で、お互いの文化を理解するため交代で短期留学プログラムを行っている。ユーコンカレッジでは、現在日本語を学ぶ授業もある。

(中小企業)
 ユーコンでは事業のほとんどが中小企業で、起業家や投資家たちは、鉱業と観光業の成長、消費者数の伸びから益を得ている。60件を超えるIT関連企業があり、知識ベースの企業には最適の地域である。

(林業)
 小さいながらもユーコンの新興産業である。北方森林は28万1000キロを越え、ユーコン全土の57%を覆っている。森林帯の約15%が商品価値のあるサイズの木。

(鉱業)
 多種多様な将来性のある鉱物―金、銀、銅、鉄、鉛、亜鉛、ニッケル、タングステン、モリブデン、石炭の鉱床などが豊富にある。2003年からユーコンでは鉱物の探査に3億ドル以上が費やされている。1600件の採掘権が発行されているが、これらの採掘地はユーコン全土の4%にも至っていない。

(観光業)
 オーロラ鑑賞をはじめ、手つかずの大自然と広大な空間でダイナミックなアウトドア体験ができる特有の土地。冬のアドベンチャーとして、犬ゾリ、スノーモービル、アイスフィッシング。夏のアドベンチャーとしては、ハイキング、カヌー、ゴルフ、温泉など。他にも先住民の歴史や文化、クルーズツアーなどもある。

  *  *  *  * 

 日系企業の参加者の一人である、カナダ日本通運バンクーバー航空支店長兼西部担当部長の清水昭彦氏に同セミナーに参加しての感想をくわしく語ってもらった。

 「BC州の隣の州であるにもかかわらず、これまで自分としては、『大自然』という非常に大まかな印象しかありませんでした。その印象をより具体的にさせるような情報が、自然に入って来る機会もあまりなく、仕事の絡みもまずなかったのです。個人的知識や体験としてはほとんど未開の地であるユーコン準州を少しは勉強してみようか、というあまり切実性のない気楽な興味が動機となっての参加でした。

 今回ユーコンから出張されて来た準州政府の方々は、『多分皆さん、仲がいいんだろうな』と思わせるような雰囲気で、これが会場全体にアットホームな雰囲気を作り上げており、この手のセミナーとしては、リラックスして聴講出来た点が好印象の一つです。

 事前にいくつかのウェブサイトでユーコンの土地柄・気候・産業などを調べ、セミナーの内容もこれらと多く異なることはありませんでしたが、言葉とビジュアルを媒体とする説明の中で、ウェブサイトからは分からなかったスケールがクローズアップされた感じがします。

 例えば、鉱物資源の埋蔵量。鉱物の種類によっては、世界一が予想される埋蔵量を持つものもあり、また、現在採掘中のものも、採掘面積の規模から言えば準州全体のほんの一部にしか過ぎないという説明を聞くと、この州の有望な将来性を強く感じさせるものであったし、インフラについても年中開通の道路、2つの不凍港、鉄道の整備計画など、その機能性や整備の問題から言っても、『冬季の閉鎖性』という自分の思い込みが払拭されたスケールの大きい内容でした。

 質疑応答では日系参加者からも活発な質問が発せられ、勿論、参加者自体が自らの事業に基づく強い興味があってのことでしょうが、セミナーの内容にそれなりにインパクトもあってのことと思われ、気持ちの良い時間となりました。

 セミナー終了後に名刺・情報交換や懇親を目的としたバッフェスタイルのレセプションが用意されており、酒食を得ながらのお喋りは、これもそれなりに楽しめるものでした。特に、ユーコンの地ビールが用意されているなど、心遣いプラス旺盛な宣伝欲も感じられて、主催者のセミナー全体への心遣いと意欲をさらに感じさせる締めくくりとなりました。

 今回のセミナーが自分の携わる事業にどこまで有効に働くかは、正直まだまだ見えて来ていませんが、少なくともユーコンという地に対しての親近感が増したことだけは確か。それだけでも、今回セミナーに参加した甲斐はあったと、自己満足的に思う次第です」

(取材 西澤律子)