SPECIAL 2008
2008年1月31日 第5号 掲載
![]() 2007年11月より会長に就任した山本氏 |
![]() 九十九氏(左)と山本会長。丸紅カナダ社にて |
![]() 会長役をサポートする事務局長として長年務めている、九十九氏 |
バンクーバービジネス懇話会の新会長に2007年11月より丸紅カナダ社の山本智海氏が就任した。2006年に設立50周年を迎え、ますますその存在が重要になっている同会の会長という大役を担った山本氏と、長年事務局長を務めるアンディ九十九氏に、同会のこれまでとこれからについて話を聞いた。
懇話会の目的・役割・活動内容について
山本会長:この会の目的は、当地における日本語教育の維持ということが一番に挙げられます。具体的には『日本語の補習学校の運営』を懇話会がやっていて、資金面でも運営面でも、我々が全面的にパックアップしています。これが最大の目的です。
それ以外には、他の日系企業団体と連携を図りつつ、広く言えばアジア太平洋地域の経済発展に寄与するということです。メインは懇話会という名前の通り会員相互の『懇話』ですが、慣れない所で公私共に大変な会員を相互に助け合いながら情報交換とか、他団体との協力とか、地域経済への寄与を行っていくことです。
活動内容としては、補習校の運営以外に事業部会がありまして、各種イベントの企画、立案、実行をしています。毎年のイベントとしてはクリスマス会や、季候のいいシーズンの月一回のゴルフ大会があり、その他にもこの前の大塚総領事の講演会(*1)などの文化イベント、スキーや野球観戦などもあります。
九十九事務局長:文化イベントでは、2007年はいかに自分の健康を守るかというテーマでの講演会や、会計の勉強会を開きました。そしてこれからは、他団体とも親しく交流していこうといろいろ考えています。それぞれの団体と連絡を取り合って、共通のイベントを作ったり、いいイベントがあれば誘い合ったり、お互いに支え合おうという機運が盛り上がっています。その流れで、2008年は日加修好80周年に向けて何かイベントができればという話を各団体と協議をしているところです。
この50年で懇話会がバンクーバー社会に貢献してきたこと
九十九事務局長:最も大きな活動は、UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)の “Institute of Asian Research (IAR)”(*2)への寄付です。現在その中に日本・中国などのアジア各地の研究施設が入っています。『ここをアジア研究の中心にしよう』と考えた当時のUBCの学長が懇話会に相談をされたのがきっかけでした。そういうことでしたら『やりましょう』と承諾したんです。当時は会員数も今よりずっと多かったですし、日本の経団連にも相談して、協力をしてもらい寄付をいただきました。この会で集めたのが約150万ドル、経団連が約100万ドル、合わせて250万ドルを集め、UBCに寄付しました。そうして1996年IARが完成し、日本研究の基金、ビルの建設、新渡戸ガーデン改修などを進めることができるようになり、政府からの補助金、他の大口寄付金などと合わせた結果、今では日本をはじめ、アジア各国の研究者があの建物で、経済、政治、文化の発展のため研究できるようになりました。これが最も大きな貢献だったと思います。
山本会長:15年前の250万ドルの基金がいまだに脈々と研究者の活動に生かされているということは大きいと思います。懇話会の歴史イコール日本企業のカナダ・BC州への進出の歴史だと思いますので、こうした寄付をはじめ、これまで有形無形の貢献があったと思います。懇話会の存在というのは、こちらに進出している日系企業にとって、ひとつの灯台みたいな役割をしてきたのではないでしょうか。初めてカナダに来てビジネス慣行や生活習慣が違う中で、例えば美味しいレストラン情報みたいなものも含めて、懇話会の情報というのは大事だと思いますし、月に1回会うだけでも、私自身去年来て助けられた経験もしました。
2010年のオリンピックに向けて
山本会長:総領事館も含めて、今後どういう形で協力すべきなのか、できるのか考えているところです。ボランティアなど懇話会がコーディネートできることがあれば、各機関とも協力しながらやっていくということになると思います。
九十九事務局長:オリンピックという大きなイベントですから、何かできることがあれば協力するということに(会員の中にも)賛成してくれる人は多いと思います。現在は在バンクーバー日系経済関係諸団体で連絡協議会というのを作りましたので、協力体制の基盤はできてきています。日加修好80周年もオリンピックも懇話会としてできることは協力していきたいと思います。
現状とこれから
山本会長:現在会員数は約70社、普通会員が約60社で、特別会員が10社です。
九十九事務局長:この会員数が96年から減り続けています。これはバンクーバーだけでなく、日系企業が進出している大都市では、世界的な傾向のようですけど。これからは会員数を増やすという努力をしていこうと思っています。
山本会長:まずは入会すれば「こんないいことがあるよ」ということを考えていかなければいけないと思うんですよ。そこで、会員が求めるものが何かを考えていくという作業も必要になりますね。
いま研究していることは、こちらにいると健康診断が受けられないので、このシステムを構築して会員の人に提供できないかということです。有料であっても日本で受けるような人間ドックが必要ではないかと。こちらでは健康診断システムがないので、結局駐在中一度も健康診断を受けないで帰国することになって、会社によっては自己管理ができていないと悪い印象を受けたりすることもあります。また、旦那さんは日本へ出張で帰国した時に受けることができるが、奥さんや子供はほったらかしだと。そんなことになって旦那さんが責められるということがあっても困りますので(笑)。システム的に解決できればというのは考えています。
九十九事務局長:そうですね、これが今最大の関心事です。健康管理というのは基本ですからね。特にご家族の方の健康管理を何とかしなくてはいけないと。国が違うので限界はありますけど。
今後、懇話会では、こうした個人ではなかなか実現できない部分をこちらで率先してやっていこうと思っています。この団体はカナダにおいて日本(日系社会)の経済団体の代表格ですから、例えば一企業が訴えてもダメなものを団体として活動することによって、政府や他の団体へ働きかけていくという部分も強化していきたいと思っています。
駐在の方の生活を支える個人的なことから会社の経営・運営という法人のことまで発展して相談できるプロセスを作り、いわゆる頼りがいのある存在という形にしていきたいと思っています。それが会員が期待している部分だと思いますし、安心して使って頂ける情報を提供できることが必要だと思っています。
山本会長:会則が変わったので、例えば駐在員が日本に帰っていなくなってローカルの人が運営している会社でも、普通会員として残ってもらえるようになりましたからね。
九十九事務局長:日本からの企業だけでなく、バンクーバー・BC州で起業した日系企業にもアピールしていきたいですね。アンケートやヒアリングをやって、会員の要望を汲み取るということもこれからやっていこうと思っています。
最後に山本氏は、バンクーバーの日系コミュニティーにできることとして、現在同会が管理運営している日本語の補習校教育を、理想論で言えばと前置きして、日系企業がSocial Cooperate Responsibility (SCR)として懇話会に入会して補習校を維持していくこと、それが駐在員子弟の日本語教育のみならず、カナダにおける日本人コミュニティーのアイデンティティーの確立と日本文化の維持・継承に貢献することになると語り、広い視野と高尚な目的意識を持って協力してもらえれば、そしてそのためにもより良い会を作っていくことが必要だと締めくくった。
(取材 三島直美)
バンクーバービジネス懇話会 10団体・会社が集まり1956年に日加通商懇話会の名称で設立。1973年バンクーバー補修授業校を開設する。1976年バンクーバー貿易懇話会と改称。2006年には設立50周年を記念してこれまでの活動内容など収めたDVDを作成。会則も一部改定し、現名称に改名した。 連絡先 |
*1)大塚総領事の講演会 *2)“Institute of Asian Research (IAR)” |