MAPLE 2008
2008年12月18日 第51号 掲載
 

一年を玄米菜食のヘルシーおせちで始めよう!
  ―B&B『花みずき』 山田宏美さんに聞く―



野菜ガーデン、きれいな彩りに

舌も目も、体も喜ぶ料理の数々。正月向けにアレンジされた花々がぐっと雰囲気を盛り上げる


 年末はクリスマスのご馳走でお腹も疲れがち。そんなカナダだからこそ、お正月は健康的な食事で迎えたいもの。健康おせちのアイディア拝借にと訪れたのは、有機野菜の手作り料理を提供するノースバンクーバーのB&B「花みずき」。元気あふれるオーナーシェフ・山田宏美さんは語る。「一年の初めだから、元気が出るような食事にしたいじゃないですか」。そしてこの日の多くのゲストのために腕を振るってくれた料理はじつに20種類。その品々の周りに置かれた花々はモダンな印象の中にも日本情緒が取り込まれている。これは長女の真弓さんがアレンジしたものだ。縁起を担ぐ日本の伝統、食材ひとつひとつに込められた願い。「めでたさを重ねる」とお重に思いをこめて。そんなメニューの数々を紹介しよう。

    

 

<彩り豊かな酢漬け>


 ころんとかわいい赤カブは、中心まで格子に包丁を入れて菊の花に、赤いビーツと黄色のビーツは蒸してやわらかくしてからそれぞれ別々に酢漬けに。鮮やかな色がおせちを生き生きと盛り立ててくれる。赤は喜び、黄色は金運・商売繁盛の願いが込められている。

 

<なます>


 紅白を彩るおせちの定番・なます。大根とニンジンを千切りし塩もみして水気を出した後、合わせ酢に漬ける。宏美さんが加えたゆずのおかげで、ぐっと上品な味わいに。

 

<彩り豊かな酢漬け>


 ころんとかわいい赤カブは、中心まで格子に包丁を入れて菊の花に、赤いビーツと黄色のビーツは蒸してやわらかくしてからそれぞれ別々に酢漬けに。鮮やかな色がおせちを生き生きと盛り立ててくれる。赤は喜び、黄色は金運・商売繁盛の願いが込められている。


周りは黄色と紫のビーツの酢のもの。中央はみかんの器に入れたなます

 

<白菜の野菜巻き>


 黄緑色の白菜に包まれたインゲンの緑とにんじんのオレンジが華やかな野菜巻き。「白菜は1日干して水気を飛ばしたうえで、それぞれ野菜は蒸して巻きました」と宏美さん。

 

<田作り・きんぴらごぼう・黒豆>


 「まめで達者で」の黒豆はあくぬきせずに煮て。田作りは小魚を乾煎りしてから醤油とメープルシロップで味付け。「しっかり根を張り堅実に」とごぼうを使ったきんぴらも。


きんぴらごぼう、黒豆、田作り、野菜巻き、ひよこ豆煮が一つのお重に

 

<煮しめ>


 定番の煮しめには、「見通しがいい」レンコンや「慶(よろこ)ぶ」の昆布、「子だくさん・子孫繁栄」の里芋を入れて。インゲンで彩りを、花形に切られたにんじん、レンコンが情緒を添えてくれる。


花形に切ったにんじんがアクセントの煮しめ

 

<カナダ流きんとん三種>


 「アイスクリーム?」と見間違えたのがこちら。ほんのり緑色はスィートポテト、オレンジはカボチャ、紫は紫芋をつぶして、塩と甘味少々を加えている。


オレンジ、緑、紫のカラフルなきんとん

 

<生野菜のお重>


 きゅうり、赤カブのスライスで「末広がり」の扇子、色とりどりのピーマンの輪切り、葉つきにんじんなど。生野菜を使い五穀豊穣を願って真弓さんがアレンジ。

 

<寒天寄せ>


 えび、コーン、グリーンピース、オクラと、いろんな素材が丸い輪の中で1つになっているのは、カナダの多文化社会を表現した宏美さん工夫の一品。用意した具を型に入れたら、煮とかした寒天と野菜のだし汁は、2回に分けて注ぐ。そんなひと手間があるから、具がきれいに上側に。


いろんなものが1つの輪に。マルチカルチャーカナダここにあり!

 

<玄米餅>


 一番人気は花みずき自家製玄米餅。香ばしく焼かれた玄米の味わいが、醤油と海苔というゴールデンコンビと出会って、日本人を泣かせるハーモニーに。「お餅もう1つお願いします!」


もち米のうまみがさらにしっかり引き出される玄米餅。風味がたまらない!

 

<スモーク各種>


 「カナダらしくスモークを」と宏美さんは、サーモン、卵、豆腐、チーズを自家用燻製器でスモークに。
サーモンはフェンネルとワインの香り付け、卵は塩水で味付けしてから燻したもの。特に素材の変化を楽しめるのが卵と豆腐。日常使いの素材がぐっと高級感のある珍味に変身!宏美さんのお手製ワイン(このワインのおいしいこと!)のおつまみにもぴったり。


自家製スモークの卵、豆腐、サーモン、チーズ

 


 そのほか、ひよこ豆のタヒニ(練りゴマ)味噌煮やテンペ(豆を発酵させた食品)の揚物が異国の食材を使った一品として添えられて、おいしい料理の数々に、集まった人たちは「もう箸が止まらない!」とお腹がいっぱいになっても皿に取ってしまうほど。油をほとんど使わず、素材の味をひき立てる薄味の料理なので、その後もお腹のもたれなし。「オーガニックの食材の持ち味を生かした食事を楽しんでほしい」という宏美さんの思いがしっかり伝わってくる。そして今年オープンしたB&B「花みずき」は、雑穀や玄米菜食で、天然酵母の手作りパン(焼きたてのパンと野菜スープをお目当てに朝食だけ食べにくるお客さんあり)、手打ちうどん、自家製ワインが魅力だ。「民宿ですが、会合などにも使っていただけたら」と宏美さん。心のこもったスローフードにお腹も心も満たされる「花みずき」は、気のおけない仲間との集いにぴったりの場所だ。


華やかさの中に、竹や松、折り紙の鶴を取り入れてお正月の雰囲気に

B&B 花みずき
ウェブ:http://www.hanamizuki.ca/
電話:604-980-8860

ウェデング、イベントなどのフラワーアレンジメントの依頼は山田真弓さん mayumiyamada@shaw.caまで


(取材 平野香利)