MAPLE 2008

2008年9月11日 第37号 掲載
 

今年も見逃せない!豪華メンバーとの共演
VSO‘08〜‘09シーズン 9月27日スタート!〜


 昨年グラミー賞とジュノー賞受賞に輝き、ますます自信をつけレベルアップしたバンクーバー・シンフォニー・オーケストラ(以下VSO)のシーズンがもうすぐスタートする。それにさきがけ、日本でのコンサートマスターと首席奏者を集めた『ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ』演奏会出演を目前に控え多忙極める中、VSO名誉コンサートマスターである長井明氏に今シーズンのハイライトコンサートなどの情報を紹介してもらった 。
詳細はwww.vancouversymphony.ca


VSO音楽監督・指揮者ブラムウェル・トービー氏

 

VSOの定期演奏会って?


 ゴールド、ダイアモンド、シルバーの3つのシリーズからなる一連のコンサートがあり、そのほかに『ミュージカリー・スピーキング』『ポップス』『ティー & トランペット』や『バッハ & ビヨンド』『ラウンドハウス』『キッズ』などで構成されており、全部で年間約130本の演奏会が行われる。

 

シリーズ『ゴールド』のハイライト


●9月27、29日 オープニングコンサート
 シーズンのオープニングを飾るコンサートはオールタイムフェイバレットのアメリカのチェリスト、リン・ハレル(写真下)によるシューマンのチェロコンチェルトと、プロコフィエフ作曲のバレー組曲『ロミオとジュリエット』が演奏される。胸に赤いバラを挿して登場する壮大なメンバーと、VSOによる伴奏で会場全員によるオー・カナダ合唱もオープニングならでは。


リン・ハレル


●2月28日、3月2日 バイオリニスト竹澤恭子がやってくる!
 現代のバイオリニストの卓越したモダン技術の第一人者である竹澤恭子(写真下)がアメリカの優秀な若手指揮者アンドリュー・リトンによる共演。エルガー作曲のバイオリンコンチェルトとラフマリノフ作曲の交響曲第3番という難曲をどのように演奏するか楽しみである。


竹澤恭子


●6月8日、6日 シーズンのラストを飾る壮大な交響曲!巨大木づちも見逃すな!
 シーズンの最後に行われる演奏会では、マーラーの「モニュメンタル・マスターピース」といわれる音楽家にとっては特別な曲、交響曲第6番(タイトルは『悲劇的』)が演奏される。マーラーの交響曲は声楽が入った曲が多いが、3曲あるオーケストラだけでの交響曲の1つ。ステージ一杯のオーケストラによる、とても壮大なスケールの演奏で、見どころは第4楽章でたった1度だけ、この曲でしか使われることのない巨大ハンマー(木づち)でドーンと鳴らす箇所。めったにないこの木づちによるパフォーマンスをぜひ見てみたい。マーラーの曲で一番美しい田園風景を描く第3楽章も聴きどころ。


『ダイアモンド』シリーズのハイライト


●10月4日、6日 ヒラリー・ハーンによるチャイコフスキーのバイオリン協奏曲

 アメリカの若手バイオリニスト、ヒラリー・ハーン(写真下)がチャイコフスキー作バイオリン協奏曲を演奏する。この曲は去年日本の神尾真由子さんがチャイコフスキー国際コンクールで優勝したときに演奏した有名な曲だ。。


ヒラリー・ハーン


●11月29日、12月1日 バンクーバー生まれの天才少年が登場!
 バンクーバー生まれで、学校では優秀な成績で高校を完全にスキップし、インディアナ大学で音楽と数学の博士号をとった神童コリー・セロフスキ。彼の演奏によるシベリウス作バイオリン協奏曲はとても楽しみである。またバルトークがボストン・シンフォニー・オーケストラのために書いたという『オーケストラのための協奏曲』は、オーケストラすべての楽器によるソロのパートがあり、現代音楽最高峰と言われている。


『シルバー』シリーズのハイライト


●11月15日、17日 母国イギリスの曲をトービー氏が指揮する壮大な曲
 VSO音楽監督・指揮者ブラムウェル・トービー氏(写真ページ最上)出身国イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリトンによる「戦争レクエム」という曲はトービー氏が得意とする大きな曲だ。英国出身の彼ならではの演出で奏でられる良さをぜひ味わってほしい。

●5月29日、31日 秋山和慶氏による指揮を堪能しよう
 毎年恒例となっている人気ナンバーワンの秋山和慶氏(写真下)指揮による演奏会。今年はプロコフィエフ作交響曲第5番を演奏する。秋山氏の華麗な指揮をお見逃しなく。


秋山和慶氏

 

 

今年はブラームスフェスティバル!


 昨年はベートーベンフェスティバルで連日完売の大成功を遂げたVSOは今年、ブラームスフェスティバルを行う。ブラームスの4つの交響曲すべてと4つの協奏曲の組み合わせで構成される今回の試みは、違ったソリストが協奏曲ごとに共演するのではなく、バイオリンとピアノの2人のソリストを招き1人2曲の協奏曲を演奏することで、ブラームスの味を引き出す究極のこだわりで演出する。バイオリンは昨年VSOと共演したCDがグラミー賞とジュノー賞を受賞したジェームス・エネス(写真下左)、ピアノはピーター・ドナホー(写真下右)。1月17日〜1月26日まで。シーズン半ばを盛り上げるビッグイベントである。


ジェームス・エネス

ピーター・ドナホー


 

VSO韓国、中国、マカオへ


 今秋、北京音楽祭の招待を受けたVSOは10月8日から2週間かけて韓国、マカオ、広州、北京、上海と演奏旅行を控えている。VSOの良さをアジアの人に見てもらう素晴らしい機会に長井氏は興奮を隠しきれない様子だった。この間モントリオールからイ・ムズィチ・ディ・モントリオール(I Musici de Montreal)と世界一流のバイオリニスト、ピンカス・ズッカーマン(写真下)率いるオタワのナショナル・アーツ・センター・オーケストラがバンクーバーにやってくる。VSOが不在中もちゃんとバンクーバーの人を楽しませてくれるのがうれしい。


ピンカス・ズッカーマン

 

一回きりのスペシャルコンサートをお見逃しなく!


●4月17日 ルックスも素敵!若手バイオリニスト、ジョシュア・ベル
 アメリカ人気ナンバーワンの中堅バイオリニスト、ジョシュア・ベル(写真下)がVSOと情熱あふれるラロ作スペイン交響曲を共演する。


ジョシュア・ベル


●6月11日 今世紀最大のデュエット!と称される演奏会!
 メトロポリタン歌劇場だけでなく世界中のオペラ劇場で活躍中の現在実力ナンバーワン、フレデリカ・フォン・シュタッドウ(写真下左)(メゾソプラノ)とサミュエル・レイミー(写真下右)(バス)によるデュエットで共演する豪華なイベント。


フレデリカ・フォン・シュタッドウ

サミュエル・レイミー

 

 

一味違ったVSOの楽しみ方!


●ミュージカリー・スピーキング
 VSOが3年前、世界で初めて試みたビデオスクリーンを使ってのコンサート。ステージの後ろに座っているプレーヤーをクローズアップして観客が見えるように映し出してくれる人気のコンサート。

●ティー&トランペット
 いつも満員の人気シリーズ。2時間前から開場し、お茶とクッキーを楽しみ、その後1時間15分ほどの演奏がある。シェイクスピアのストーリーテラーであるクリストファー・ゲイズによるホストでヨーロッパを旅ゆく演奏会。リラックスした気分でヨーロッパの雰囲気を楽しめるこのコンサートは特にお年寄りの人たちで大人気だそうだ。木曜日の午後開演なので帰りが夜遅くならないのがうれしい。

●キッズコンサート
 日曜日の午後行われるこのコンサートは2、3歳からプリスクールまでの小さな子供と親で楽しむことができる。ホストは子供番組のテレビに出演して人気のあるエンターテイナーで、彼らの演出がさらに音楽を子供に楽しませてくれる。将来の観客を養う為の大事なコンサートであるかもしれない。

●「バッハ&ビヨンド」と「ラウンドハウス」
 この2つのコンサートシリーズはVSOメンバーを半分に分けて同時期に行われる、趣向の違ったコンサートだ。「バッハ&ビヨンド」はチャンセンターで、「ラウンドハウス」はイエールタウンにあるラウンドハウスコミュニティーセンターのパフォーマンスシアターで行われる。「バッハ&ビヨンド」はビバルディー、ヘンデル、バッハやモーツアルトなど、バロック音楽中心なのに対し、「ラウンドハウス」はカナダの現代音楽中心の曲目構成になっている。


チケットを購入しよう!


 チケットの買い方は、まずシリーズでまとめて5枚のチケットを買う方法もあるが、お勧めなのは、Make Your Ownという好きなコンサートを選んで5回、6回、7回、10回とまとめ買いする方法である。自分のオリジナルパッケージをどのシリーズからでも選ぶことができるお得な方法。今年は自分のVSOコンサートシリーズを作ってみてはどうだろうか?

 最後に、長井氏はVSOメンバー、スタッフ全員が、「コンサートホールに一人でも多くの日本人の方々が生演奏を楽しんでいただける事を願ってやまない」と語ってくれた。


VSO名誉コンサートマスターである長井明氏



(取材 池側和子、写真提供 VSO)