MAPLE 2008

2008年4月17日 第16号 掲載
 

バンクーバー・インターナショナル・オートショー開催される


 3月29日から4月6日まで、西部カナダでは最大規模のオートショーがBCプレイスで開催された。新車やコンセプトカーなどが勢ぞろいし、各メーカーが「自動車」というものを今後どのように発展させていくかという方向性についても知ることのできるショーだった。             
(取材 平野直樹)

 



フォードのコンセプトカー、エアストリーム



 

■ハイブリッドをはじめ、さまざまな技術で
「グリーン」を前面に出すGMとトヨタ


 GMは、先日発表された大型SUV、シボレータホエのハイブリッドをラインナップに加え、堂々とした「グリーンカー」のコーナーを昨年に引き続き設けた。そのためのパンフレットも用意し、ハイブリッド以外にもアクティブ・フューエル・マネジメント(必要ないときは半分のシリンダーだけを稼動させるエンジン)、E85フレックスフューエル(85%エタノール混合燃料まで使用可能なエンジン)などさまざまな技術を現行モデルに採用していることを強調。

 トヨタは記者会見の冒頭、プリウスが2000年にデビューした時にはデイビッド・スズキ氏が真っ先に購入したことに触れるなど、長年環境問題に取り組んできている同社の姿勢を紹介。コンセプトカーとして展示されたHybrid Xも当然ハイブリッドで、ガラス面を多用したオープンコンセプトという、乗る側の環境にも最大限配慮したデザインが特徴。

 


トヨタのコンセプトカー、ハイブリッドX



 しかしハイランダー(SUV)のハイブリッド車を昨年末に発表したものの、今回のショーではこれには触れていなかったり、同社の高級ブランド、レクサスでは新モデルのハイパフォーマンスセダン、Lexus IS F(普通のガソリン車)の展示が中心となっていたりなど、ハイブリッド採用の車種に広がりが見えないところがさびしい。



ホンダは全面改良された新フィットを発表

アキュラはTSXの2009年モデルを発表

 

 


■ディーゼルエンジンで環境問題に取り組むヨーロッパ勢


 ベンツはよりクリーンなディーゼルエンジン技術、ブルーテックをE320に採用するなど、セダンからSUVまでディーゼルエンジン車を揃えた。フォルクスワーゲンも同様だが、どちらかと言うと今回新たにラインナップに加わったミニバン(ルータン)と小型SUV(ティグアン)、そしてフラッグシップであるパサートCCセダンが展示の中心となった。

 BMWは今回大量の新車を発表。コンパクトカー・カテゴリーの1シリーズクーペおよびカブリオレ、X6スポーツアクティビティクーペ(SUVのクーペといった感じ。流れるボディラインのデザイン優先スタイルで、後席はヘッドクリアランスをなんとか確保できた程度)、M3カブリオレ、M3クーペ、M3セダン、そしてミニ・クラブマンといった具合だ。

 BMWはどちらかと言うと「走りへの追求」に重点をおいていた。会見ではわざわざM3カブリオレのエンジンをかけ、そのエンジン音を記者団に聞かせるというパフォーマンスまで行った。

 またアウディは超ハイパフォーマンスクーペのR8を展示、多くの人の目をひいていた。

 


プレスリリース当日最も活気があったブースのひとつ、BMW。M3の走りがいかに素晴らしいかを情熱を込めて語っていた



  走りの追求といえば、日産が発表した新しいGT-Rに触れないわけにはいかない。日本ではスカイラインGT-Rの名で親しまれ、歴代多くの自動車ファンを魅了してきた名車だ。特に1993年まで製造されていたR32型はいまだにファンが多く、バンクーバーでも日本から持ち込まれた同車を時々見かけるほど。今回発表されたGT-Rからはスカイライン(北米ではインフィニティGシリーズ)のラインナップから独立し、日産の技術の頂点を極めたブランドとして位置づけられた。またフルモデルチェンジのマキシマも発表された。


ニッサン、GT-R。技術の日産がその最新・最高の技術を詰め込み世界最高峰のパフォーマンスを目指す

 

 クライスラーは6.1リッターV8エンジン搭載のマッチョカー、チャレンジャーSRT8を発表。スタイルといい、いわゆるアメリカ車の伝統を復活させた形だ。

 


アメリカ車の原点をよみがえらせたようなマッチョカー、ダッジ・チャレンジャー



 スバルはレガシィとアウトバックにPZEVと呼ばれるタイプを追加した。PZEV(Partial Zero Emission Vehicles)とは、カリフォルニア州の排出ガス基準SULEV(Super Ultra-Low Emission Vehicle standard)に適合した車に与えられる名称で、走行状態によってはハイブリッド車より排出ガスがクリーンとのこと。

 



  ヒュンダイは高級セダン、ジェネシスを発表、同社が得意だったコストパフォーマンスのいい小型車から、高級車クラスへの進出を目指す。その特徴的なフロントグリルにはあえて同社のロゴを入れておらず、その存在感と品質だけで勝負しようという同社の意気込みが感じられた。


ニッサン、GT-R。技術の日産がその最新・最高の技術を詰め込み世界最高峰のパフォーマンスを目指す



 またNRC(National Resources Canada)のブースでは、各車の燃費の一覧であるFuel Consumption Guideを用意したり、ハイブリッドエンジンやブルーテックのモデルを展示したりするなど、環境問題の視点からの展示がなされていた。興味深かったのは、燃料効率の良い車を積極的にカナダに導入するため、現在は北米に拠点を置いていないメーカーとも協力しているプログラムの紹介。やはりディーゼル車にスポットが当てられ、オタワ近辺ではNRCが試験的に導入したプジョー206(フランス車)が走っているそうだ。そのほかフォードとBC州が共同で行っている水素燃料電池を採用した実験車も展示されていた。


NRCが導入したプジョー206ディーゼル