ーバンクーバーにはいつ来られましたか?
2月の中旬に一度練習参加に来て、契約条件などの話をしました。チームへの合流は3月に入ってからです。
ーバンクーバーにはこれまで訪れたことはありますか?
旅行も含めて、全く初めてです。名前はもちろん知っていましたが、サッカーをしているとアメリカやカナダよりも、ブラジルやヨーロッパの国の方に行く機会が多いです。でも、実際来てみてすごく住みやすそうな町ですね。まだ1カ月しか経っていないので、知らないことが多くてこれからが楽しみです。
ーホワイトキャップスへの入団に至るまでの経緯を教えていただけますか?
2年ほど前から海外でプレーすることを視野に入れて考えていたんです。その頃、フランスのチームの練習に参加をする機会があったんですけど、その年は横浜Fマリノスと契約し1年間プレーしました。その後、アメリカのMLS(メジャーリーグ・サッカー)のトレーニングキャンプや海外遠征に参加しました。それで、プレーできるチームを探していたんですけど時期や条件などが合わなくて、その年は大宮アルディージャでプレーしました。今年のオフにMLSの知り合いから、USL(ユナイテッド・サッカー・リーグ)だけどバンクーバーにホワイトキャップスというチームがあって『チームの対応がしっかりしている』と勧められました。実際2月に練習参加をしてみると、コーチ(監督)のトレーニング方法や、考え方が非常に気に入ったんです。このコーチ、そしてこのチームと一緒に戦いたいと思い、今回の入団となりました。
ーそれでは、海外でのプレーは2年前に興味を持ったのですか?
いえいえ、海外でのプレーは2000年くらいから興味はありました。海外と言ってもその頃はヨーロッパですけど。名古屋に入団してから、その当時監督だったアーセン・ベンゲルのもとでプレーして、彼のやり方がすごく好きだったんです。それで、彼が(イングランド・プレミアリーグの)アーセナルの監督になったときも、練習参加させてもらったりしました。
ーさて、ホワイトキャップスの話に戻りますが、ここまで1カ月の間、練習をしてきてどのようなチームですか?
先ほども言いましたが、コーチの考え方がすごく気に入ってます。コーチの指導の仕方、そしてみんなで一緒に練習をしてみて、このチームであれば大崩れすることなく、戦っていけるのではないかと思います。ただ、故障者が出たときなど、層の薄さをうまくカバー出来るかが課題ですけど…。USLってすごくスケジュールが詰まっていて、2日連続で試合があったりもするんですよ。試合翌日に、マイアミに行ったりとか…。普通ありえないですよね。
ーこれまでのトレーニング方法との違いや過密スケジュールへの対策はどうしていますか?
トレーニング方法については、現在のコーチがヨーロッパの人なので、それほど戸惑いはないです。Jリーグでプレーしているときにもヨーロッパの人が監督だったことが多かったですし。過密スケジュールへの対策は一番気を付けないといけないことです。特に北米サッカーは当たりの激しいリーグなので、怪我も含めて体調管理にはこれまで以上に気を付けなければいけないと思います。
ー北米のサッカーはどのようなスタイルですか?
フィジカルとテクニックを比べたら、7対3位ですかね。北米サッカーは90分通して、フィジカルのパワーがすごいですよね。日本やヨーロッパのスタイルはどちらかと言えばテクニック面が大きな割合を持っています。実際にテクニックではJリーグのほうが勝ってると思います。そういえば、この間シアトルに遠征に行ったんですけど、その時の試合で相手選手から、どう考えてもレッドカードだろうという反則を受けたんですけど、審判からは練習試合だからイエローカードにしてくれと言われました…。自分はめちゃくちゃ痛かったですけど(笑)。
ーホワイトキャップスでプレーするポジションはどこですか?
これまでと同じ左サイドです。やれと言われればどこでもやりますけど(笑)。
ーそれでは少しプライベートなことをお聞きします。サッカーはいつから始めましたか?あときっかけは?
小学校4年生です。僕の出身が静岡で、サッカーがすごく盛ん。学校が終わってみんなで遊ぶんですけど、ある時間になったらみんな帰っちゃうんですね。みんなサッカーをやってるんですよ。それで、ある時、友達がサッカーをやろうと誘ってくれて、友達と一緒にいたかったので両親に言って、始めたのが最初です。
ーということは、サッカーが好きで始めたわけではないんですか?
そう、友達と一緒にいられる手段としてサッカーを始めました(笑)。
ーそれからずっとサッカーを続けてきたわけですが、将来はサッカー選手になろうと思っていましたか?
いえいえ、全く考えてなかったです。きっかけは、あくまでも友達と一緒にいられるという理由ですし、中学、高校とサッカーを続けてきましたが、その頃はまだ今のようにサッカーはメジャーではなかったので、サッカーで飯を食うなんてことは考えたこともなかったです。高校2年の時に、サッカーのプロ化の話を初めて耳にしましたが、自分は大学に行く予定でした。ただ高校3年の時に、ナビスコ杯があって、名古屋グランパスエイトと清水エスパルスの試合を直接見た時、プロの試合の迫力にインパクトを受けました。また、自分の高校卒業、Jリーグ開幕、名古屋グランパスエイトからオファー、と重なってきてJリーグに入ることを決めました。だから、Jリーグが始まるタイミングと高校卒業のタイミングがずれていたら、どうなっていたかわかりません。ある意味、必然だったのかもしれませんね。
ーあこがれの選手や影響を受けた選手はいらっしゃいますか?
その時期によって違いますけど、一番影響を受けたのは、高校時代の先輩です。うちの高校(清水商業高校)は、サッカーで全国1、2位を争うくらい強い学校で、2つ上の先輩のレギュラー11人のうち、10人がJリーグで活躍しました。そういう先輩たちと一緒にサッカーをやっていて、受けた影響は大きかったです。
ーもしサッカー選手になっていなかったら、何をしていると思いますか?
家業の大工です。
ーホワイトキャップスに入団した今シーズンの抱負を聞かせてください。
そうですね。体調管理を万全にして、自分の持っている力を出し切ることです。レギュラー出場や評価は、周りが判断することですので、自分の中では特に固執していません。自分のすることをしっかりして、それが結果として現れてくるものと思っています。とにかく過密スケジュールの中で、常に万全の状態で挑むことです。
ー最後にバンクーバーにいる日系人、日本人のサッカーファンにメッセージをお願いします。
バンクーバーにはたくさんの日本人の方が住んでいると聞いています。僕が入団したことで、たくさんの人がホワイトキャップスに興味を持ってくれて、スタジアムに足を運んでくれればと思っています。テレビで見るのと直接試合を見るのでは全然違いますので、ぜひ応援に来て下さい。
ーありがとうございました。
平野選手は、練習後の疲れや、翌日も朝7時から練習があるにも関わらず、インタビューに快く応じてくれた。今は単身でバンクーバーに来ているが、間もなく夫人と愛娘が日本からやってくるそうで心待ちにしている。オフの日には、ロブソン通りをウインドウショッピングしたり、気になるカフェやレストランを回ったりと、サッカーとプライベートをきっちり分けた自己管理を心がけている。「今は、一緒のアパートにいるチームメートがいろいろ助けてくれます」と言うものの、コミュニケーションのための英語は「なかなかうまくいかないですよ」と、サッカーのようにはいかないようである。
今シーズンのUSLはポートランド・ティンバーズに元日本代表の鈴木隆行選手も入団しており、平野選手との対戦も楽しみのひとつである。
ホワイトキャップスのシーズンは4月12日(土)モントリオール・インパクト戦で開幕する。みんなで平野選手を、そしてホワイトキャップスを応援しよう。 (取材 大津彰久)
ユースチームとの練習試合では、攻守に大活躍 |
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