大きくdiesel fuelと表示があり目を引く車。BDFの広報効果抜群 |
出発に向けての準備に忙しい山田さんに世界一周プロジェクトについて話を聞いた。
●バンクーバーを始発点とした理由は?
できるだけ多くの国を回るため、北米ではぜひ、カナダも訪れたかったということがあります。それから、バンクーバーにはこれまでにも仕事で何度か来ていて、山と海、自然がいっぱいの環境が気に入っていました。
●車体後部に独自で開発した“精製プラント”が付いているということですが、車について教えてください。
まずレストランなどで譲っていただいた廃食油を、向かって右端の給油口から入れます。注入部分に付いているペーパーフィルターが、天かすなどを除きます。次に反応タンクに送り、触媒でグリセリンを分離します。できたグリセリンは石鹸の原料になるのでムダになることはありません。
さらに遠心分離機にかけて不純物をさらに分離します。水を使わないことで精製機を小型化しました。そしてイオン交換樹脂で置換です。
イオン交換を行う |
●精製にはどれぐらいの時間がかかるのでしょうか。
40リットルの精製におよそ2日間かかります。
●ということは、走りながら精製していくのでしょうか。
行程によっては走りながらでも問題はないですが、遠心分離機などがあるので、できるだけ駐車した状態で行うようにします。
●40リットルの廃油から作ることができるバイオディーゼルの量はどれぐらいですか。
ほぼ同じ40リットルです。グリセリンなどを除きますが、除去するためにメタノールをはじめ、ざまざまなものを加えていますので、最終的にできる量はほぼ同じになります。
バンクーバーの日本食レストランから譲ってもらったという廃食油を入れる |
●世界一周ということで、さまざまな気候の場所でバイオディーゼルを精製して走ることになりますね。
バイオディーゼルは低温に弱いので、寒さ対策ができるようにしました。それから電気がないところでも精製が行われるように、発電機も載せています。
●世界一周を予定しているということですが、ルートの確認を。
これからシアトル、ロスと南に向かった後、北米大陸を横断して東海岸へ。次に船で西アフリカに車を運び、サハラ砂漠を縦断してヨーロッパに入ります。東ヨーロッパからロシア、中央アジア、中国、そして帰国の予定です。
●ウェブサイトに迂回ルートが出ていますね。
中国など簡単に通過できるかわからない場所がありますので、通れなかったらロシアから日本に戻ることになるでしょう。
●西アフリカは治安が悪化しているということで、今年はパリ・ダカールラリーも中止になりましたが。
そういうこともあるので、いくつかルートを考えています。
●走行距離6〜8万キロになる予定だそうですが、どれぐらいの期間を予定していますか?
8カ月から1年とウェブサイトには書いていますが、さて。廃油の集まる状況にもよりますし、2年ぐらいかかるかもしれません。(笑)
●この世界一周の旅の目標、目的を教えてください。
廃食油で作ったバイオディーゼル燃料で使用することで、長距離走行に関するデータを収集。バンクーバーでもレストランに使用済みの油を譲っていただきましたが、各地で油を集めることで、新しい燃料であるバイオディーゼルの認知度を高めるのが目標です。
一方、世界各地で、ゴミ処理をはじめ、地球環境を守るためにどのような取り組みをしているか、学校でどんなことを学習しているかなどの情報を得て、交流していきたいと思っています。
自家製造のバイオディーゼルを注入する
山田周生さん |
●最後に新報の読者にメッセージをお願いします。
僕は今、50歳ですが、今までどんなものを食べて、着て、どんな風に暮らしたいということは、特にこだわっていませんでした。でも、これからはもっと地球や環境について考えて生きていきたいなと思っています。
パリ・ダカールラリー(通称パリダカ)への参加をはじめ、アドベンチャーフィールドで活躍する山田さん。バイオディーゼルについて勉強を始めて2年で、廃食油での世界一周にチャレンジする。スタッフの一人、村田さんが、「世界一周して有名になりたいというわけではなくて、どうやったら世界の人たちが気持ちよく暮らしていけるかとか、そういうことを考えている人です」と評したように、自然体が印象的だった。
(取材 西川桂子)
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