SPECIAL 2007
2007年11月29日 第48号 掲載
![]() スライドを使って、数字を示しながら説明する大塚総領事 |
![]() 主催者代表あいさつをする、バンクーバービジネス懇話会会長小和瀬真司さん |
在バンクーバー日本国総領事館大塚聖一総領事の特別講演会が、10月19日に日本国総領事館で行われた。主催はバンクーバービジネス懇話会、 バンクーバーの日系ビジネス界を代表する、日加商工会議所・日加協会・企友会・女性起業家協会(JWBA)・木曜会が協力協賛した。
テーマは『数字で見る日本の国際貢献、国際社会の対日好感度』。これまで日本政府が行ってきた国際社会への貢献を、対日好感度と共に具体的な数値データを示して説明した。ここから国際社会が日本に求める国際貢献、日本がやるべき国際貢献のあり方が見えてくる。
ここにその講演内容を要約したものを紹介する。
対日好感度について
国際社会全般的な傾向
BBCワールドサービスが昨年末に行った調査結果によれば、日本に対する好感度は国際社会全般的によい。27カ国の調査対象者のうち54パーセントが肯定的な回答を示し、カナダと1位の座を分け合った。その理由として、核も保有せず、戦争もしない。日本はソフトパワーを発揮して国際貢献している国という印象が強いのではないかと分析した。
12カ国を対象にした『対日』好感度で最も高い数字を示したのは、インドネシアの87パーセント、続いてカナダ、ケニア74となっている。
米国における対日好感度の変化について
日本外務省が1960年より行っている対日世論調査によれば、80年代以降、日米経済摩擦などによりあまり好感度は高くなかったが、95年頃から好転している。その理由には、80年代日本の経済に対して米国を超えるのではという脅威感があったが、バブルの崩壊により脅威感が後退する一方、日本の国際貢献の充実が印象を良くしたと言える。また、文化面で日本のポップカルチャーの浸透やスポーツ選手の活躍などにより対日親近感が生まれたことも一役買っているのではと分析した。
しかし、近年アジアにおける米国のパートナーは?という問いに対し、日本との回答が多いものの、中国の比率が徐々に増えている。また、日米安全保障条約を持続すべきだと答えた割合が87パーセントにも上ることも注目する点である。
EUでの対日好感度
欧州連合(EU)を代表する、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの4カ国を対象にした同じく日本外務省が実施した調査で、日本への信頼度は全体で86パーセントと高い。
日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りを支持しているのが全体で69パーセントというのも注目すべき点である。
ヨーロッパ以外での重要パートナーとして、中国への期待が高いのが特徴。ロシアに対する脅威と中国に対して警戒感が薄いのが理由と見られる。
その他の地域での対日好感度
ロシアでは地域によって大きくばらついている。ただ北方領土問題に関しては92パーセントが認知していると回答した。
ASEAN諸国では日本の認知度は全体的に依然として高く、特にインドネシアでは突出していた。しかし、近年の傾向として米国の認知度が日本より高くなっている。「第2次世界大戦中の日本についてあなたはどう感じますか」という問いに対しては、「悪い面はあったが、今となっては気にしない」の項目が対象6カ国でいずれも1位になった。
韓国での対日好感度
民間調査機関による結果によれば、韓国では、82パーセントが印象が悪いと回答している。しかし、80年以降生まれの世代では、36パーセントが印象が良いと答えるなど、世代間における違いが見られた。
中国での対日好感度
06年の言論NPOと北京大学などによる日中共同調査で、日本に対する印象が、大変良い・良いと回答したのは14・5パーセントで前年より2・9パーセント増加している。大変悪い・悪いというのは56.9パーセントで、6パーセント減少している。
逆に日本での対中国調査では、良い・どちらかというと良いが11.8パーセントで前年比3.9パーセント減、どちらかというと良くない・大変良くないが36.4パーセントで1.5パーセント減少となっている。
現在の日中関係が良いと答えたのは、日本では3・7パーセントに対して中国では10・4パーセントと高く、今後の日中関係では、良くなると答えたのは、日本が18・2パーセント、中国が41・4パーセントとなり、中国では、対日印象が好転し始めているのに対し、日本の中国への印象はあまり良くなっていないというのが現状である。
日本の国際貢献について
「財政支援」から「人の派遣」へ
『日本が世界平和のために取り組んでいること』として平和構築のための3本柱、(1)和平プロセスの促進、(2)(現地)国内の安定・治安の確保、B人道復旧支援がある。
91年の湾岸戦争で日本は130億ドルの財政貢献を行った。その時支援をしてもらったクウェートが新聞広告を通じて各国に感謝の意を表明した。そこには26カ国くらいの名前が掲載されていたが日本の名前がなかった。
そこで日本政府は、「お金だけではなく、汗を流さなくてはいけない」と強く反省。自衛隊を始め、国際貢献支援部隊による平和構築のための支援を積極的に行う時期に来ているのではないかという結論に至った。
92年の国際平和協力法成立を経て、国連平和維持活動(PKO)の一員として、以後カンボジアや東ティモールに自衛隊を派遣、現在では中近東、アフリカ、アジアの各国で自衛隊員が参加する支援活動が行われている。
日本の国際貢献の実績
国連への分担金
07年日本は分担率16.6パーセントの3億3260万ドルを負担。アメリカの22パーセント、4億9320万ドルに次いで2番目に多い額を負担している。次いでドイツが8.5パーセント、1億7160万ドルとなっている。
常任理事国の中国は、わずか2.6パーセント5340万ドル、ロシアは1.2パーセント240万ドルである。日本はこの異常に高い日本の分担率の見直しを求めている。
駐留米軍への負担金について
直接、間接支援を合わせて46億1485万ドルを負担している日本がダントツの1位。続いて2位はドイツで8億6166万ドルである。次が韓国の8億498万ドルである。
駐留米軍人の数が、日本は約4万、ドイツ7万1000人、韓国3万7000人であることを考えると突出している。国連ではカバーできない紛争処理に米軍は大きな役割を果たしているが、日本の駐留米軍支援がなければ実施できないと言っても過言ではない。
ODA(政府開発援助)について
05年実績で、金額の大きさだけで見ると、1位米国約2700万ドル、2位日本1300万ドル、3位イギリス1000万ドルとなっている。
しかし、GNI(国民総所得)の比率で見ると、DAC(OECD開発援助委員会)諸国の中で日本は0.28パーセントの17位、米国は0.22パーセント21位で、1位のノルウェー0.93パーセント、2位スウェーデン0.92パーセントには程遠い。ヨーロッパ諸国が総じて上位を占めている。
日本からのODA国別供与先では、04年実績で、1位が中国、2位イラン、3位インドとなっている。これには日本独特の事情が絡んでいる。日本のODAは戦後の賠償問題から始まっているため、総じてアジア諸国に対する供与が多い。アフリカの貧困国に対しては十分な協力が実施されていないのが現状である。
これから日本が為すべきこと
対日好感度の低い近隣国に日本を理解してもらうことから始める。
日本を訪れる外国人の数は年間で約600万人。世界各国と比べて30位に位置する。1位はフランス7512万人。
JNTO(国際観光振興機構)調査では、日本を訪れた外国人で訪れる前と後の印象では、好感度は確実に上がっている。訪問前に印象がいいというのは21パーセントだが、訪問後には48.6パーセントに増加。
日中の相互理解も、すでに始まっている日中青少年交流計画などを通じて、出来るだけ多くの青少年に日本を訪問し実情を知ってもらうことで、日本への理解を深めてもらうことができるのではないかと期待する。
その他地域の人々の日本についての国際的イメージは概ね良い。
国際的な日本のイメージは、大きく4つが挙げられる。
「伝統・文化の国」、「経済力・技術力を有する国」、「美しい自然・環境と調和した国」、「平和的で民主的な国」となっている。
これは、EUが目指す理想的なイメージと一致することも興味深い。
日本の国際貢献について
日本の国際的イメージが世界で好転している理由のひとつには日本のそれなりの努力があった。
国際貢献へのイメージ戦略として、国際平和協力では二国間支援のみならず多国間支援を実施、軍事力ではなくソフトパワー、シビリアンパワーを重視、国家の安全保障から個人に向けた「人間の安全保障」重視や地球温暖化問題や感染症対策など地球規模問題への取り組み、地震、津波、洪水など自然災害に対する人道・災害復旧支援など、これまでの政府の努力が功を奏してきているという点も大きい。
これからも、国連を中心にしたマルチな支援活動を大事にしていくこと、軍事力ではなく経済力と技術力で貢献していくこと、ODAでは貧困撲滅を目標にアフリカ諸国などにも支援を行っていくことが望ましいと語った。
大塚総領事は、「具体的な数字を示すことにより、日本に対する世界の国々の印象と日本の国際貢献へのイメージがより具体的なものとなって整理されるのではないでしょうか」と締めくくった。
(取材 三島直美)