SPECIAL 2007

2007年10月25日 第43号 掲載


絵手紙に囲まれたなかで美しい朗読の響きを堪能
コスモス・セミナーで札幌の朗読グループが好演


「風の音(ね)」の皆さん


北海道在住作家の作品『馬を洗って・・・』を朗読する「風の音(ね)」代表・鈴木瑠以子さん

イゲストを紹介する大河内南穂子さん

絵手紙の魅力を語る可部谷由紀子さん

 言葉ひとつひとつの持つ情感を、慈しむように丁寧に語り抜く……札幌から来た女性5人の朗読グループ「風の音(ね)」は、朗読を磨きあげた芸術の形で聴衆に披露した。

小説の明暗を織り交ぜ、音響効果を巧みに使って
 「自分を磨き、異文化での生活を有意義に」と日系女性の啓蒙活動を続けるコスモス・セミナー(主宰:大河内南穂子さん)は、10月10日、札幌から朗読グループ「風の音(ね)」と、絵手紙を創作・指導する可部谷由紀子さんと生徒の黒木眞弓さん・鈴木瑠以子さん、そしてシドニー在住の永田朝子さんをゲストに迎えた。

 会場の日系ヘリテージセンター大ホールに、温かみあふれる絵手紙の書画が数多く展示されるなか、セミナー前半では「風の音(ね)」のメンバーが一人ずつ『耳なし芳一』『馬を洗って・・・』ほかの小説を朗読した。

 集まった100人を超す人々は、美しい朗読の響きにしばし日常を離れ、情緒あふれる小説の世界に心酔した。

 会に出席したリッチモンド日本語学院の横山赳夫学院長は「聴いていて涙が出てくるようなところもありました。適確に伝えようと、とても真剣に努力されていることがうかがわれました」、またグラッドストーン日本語学園の村上陽子学園長は「感心しましたのは、内容にふさわしい音楽を使い、服装にまで気遣っていることや、それぞれが作品の内容に合った声質であったことですね。内容の情景まで伝える朗読の仕方に感動しました」と感想を述べた。

ボランティア活動を精力的に
 「風の音(ね)」は、札幌のカルチャースクールの朗読クラスで知り合った鈴木瑠以子さん、関口淳子さん、宮下郁子さん、五十嵐和子さん、横江幸子さんが仲間となって2002年から活動を開始。これまで札幌市内の病院での朗読ボランティアを始め、紀伊国屋書店札幌本店や地元の中学校や高校での朗読会のほか、東京や京都でも朗読活動を行ってきた。今回の渡加は、メンバーの関口さんが当地の知り合いを通じてコスモス・セミナー主宰の大河内さんにつながり、同グループの海外初の朗読会が実現した。

 朗読後、「風の音(ね)」代表の鈴木瑠以子さんに話を聞いた。

ー朗読中は終始、語りの世界に引き込まれ続けました。これほどまで完璧な朗読を実現するには相当な努力があったことと思います。
 昨晩も11時まで、ああでもないこうでもないと、互いに意見を言いながら、最後の最後まで直しを入れていたんです。練習中はいつもそうです。たとえばメンバーに自分の読みたい作品を言っても、「それは聴き手にとって面白くない、退屈だ」などと言われまして、どれほど却下されたことか。朗読は読み手の独りよがりになってしまいがちですが、私などが気持ちよく朗読していると、「自分で作品に酔っていたでしょう」と仲間に指摘されますね。仲間同士が、聴く人の身になって考えることで、ずいぶん助けられています。私たちは先生と生徒のような上下関係がないので、ざっくばらんに意見が言い合えるのでしょうね。

ーバンクーバーで朗読を行ってみていかがでしたか?
 皆さんが水ももらさぬような姿勢で聴いてくださるので、こちらも身が引き締まりました。とても良い経験をすることができました。どうもありがとうございました。


所狭しと飾られた各種の絵手紙作品

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手軽な行為が大きな世界につながる絵手紙の魅力
 会場内を盛り上げた絵手紙は、同じく札幌の可部谷由紀子さんと生徒の作品。札幌市内7か所で教室を持ち、地元の老人ホームなどへの慰問や寄贈も行っている可部谷さんは、会のなかのあいさつで「絵手紙を始めた小池邦夫さんは、ゆっくりの線が味を出し、『へたでいい、へたがいい』と言っています。宗教家でも仏師でもない私たち家庭のお母ちゃんたちが、仏像を描いて般若心経を書く、寺に行ってちょっと描くといったことが大変楽しいものです。小学校で講師に招かれることもあります。先日は大学の先生が『海外の教科書に掲載するために』と絵手紙の写真を撮っていかれました。こうして大きな世界につながっていくことはうれしい限りです」と喜びを語った。


(写真 小野晶、文 平野香利)

 

コスモス・セミナー
活躍する多方面の人々の知識や経験に学んで自分を磨き、異文化での生活を有意義に過ごすための女性の集い。ボランティア・メンバーの周到かつ献身的な行動が会を盛り立てている。http://www.cosmos-seminar.com/
主宰の大河内南穂子さんは当会のほかにも日本でカナダ暮らしを紹介する講演を行うなど、精力的に活動中。http://www.naokocanada.com/