SPECIAL 2007
2007年9月20日 第38号 掲載
![]() レスブリッジ工場のオフィス前で、CTVの取材陣と打ち合わせをする上田和男氏 (中央やや右側、明るい色のスーツ姿) |
![]() 工場内部の様子 (写真提供Triple M Housing) |
![]() 完成し、工場の敷地で搬出を待つ住宅 (写真提供Triple M Housing) |
![]() 代理店、取材陣に公開された2008年度モデルのひとつ。CTVの取材陣も、モービルホームの既成概念を打ち砕くものだと絶賛していた |
![]() モデルルームの内部。内装の仕上げも様々なオプションから選択できる |
高品質なファクトリー・エンジニアード・ホームの生産で有名なトリプル・エム・ハウジング(上田和男−こうだかずお−代表取締役社長・本社バンクーバー)の新製品発表会がアルバータ州・レスブリッジ工場で行われた。当日はトリプル・エム・ハウジングの住宅販売を手がける北米各地の代理店と、その関係者約110人が参加、新製品の特徴や営業方針の説明会、また工場、建築現場の視察が行われた。
ファクトリー・エンジニアード・ホームとは
ファクトリー・エンジニアード・ホームとは木造壁組構造を基本とし、建築本体の約60%〜100%が工場で完了された状態で建築現場に搬入され出来上がる戸建・集合住宅のことを指す。
またファクトリー・エンジニアード・ホームには通称「モービルホーム」とより高級な「モジュラーホーム」の二種類がある。
モジュラーホームはその土台ともいえるフロアが、トラス方式の2×10工法で堅牢に組まれている住宅構造のものを指し、一軒家以外にもホテル、コンドミニアム、アパートなどの集合住宅にも活用されている。一般に一世帯あたり2〜6ユニットに分割されて工場内で製造後、70〜90%完成した状態で大型トレーラーで建築現場に運ばれ、クレーン等を利用して通常のコンクリート基礎の上に設置される。
モービルホームは基本的にはモジュラーホームと共通の2×4(2×6)工法構造だが、スチール製のシャーシーの上に住宅本体が作られ、このシャーシーにタイヤが付けられて現場に牽引される点が異なる。そのためトレーラーハウスと呼ばれることもあり、ファクトリー・エンジニアード・ホーム全体が「比較的小規模で廉価な住宅」というイメージを持たれることが多かった。
確かな工期と高品質で市場を広げているファクトリー・エンジニアード・ホーム
しかし工場内で生産されることから生産管理が行き届き、安定した施工品質と計画通りの工期が保証されるなど、現場(オンサイト)での住宅建築よりも優れた点も多い。特にカナダのように気象条件が厳しい地域では、そのメリットはさらに大きくなる。実際カナダと似た地理的条件のスウェーデンでは、すでに80%近くの住宅がなんらかのファクトリー・エンジニアード・ホームの形で建築されているという。
トリプル・エム・ハウジングで生産される住宅は全て注文生産。顧客の要望にあわせた設計図に基づきひとつひとつ生産される。工場から一般道を使って搬送するため一個のユニットの大きさには限界があるが、それをいくつか組み合わせることで大きな床面積の住宅も作り出せる。
創業から26年、業界のリーディングカンパニーに成長
トリプル・エム・ハウジングの前身である企業は1981年に、単純なモービルホームの生産を行う企業としてレスブリッジに設立された。
しかしモービルホームを生産の中心としていたこの企業の経営は長く低迷。1996年にこの企業を買収した上田氏は、その主力をより高級なモジュラーホームに移すと同時に継続的な技術革新と品質向上、積極的なマーケティングを展開。この企業を北米におけるファクトリー・エンジニアード・ホームのリーディングカンパニーに育て上げた。
レスブリッジ工場で生産された住宅は、その業界標準をしのぐ高品質とリーズナブルな価格が市場に認められ、北米に展開する代理店を通しアラスカからワイオミング、ダコタ州まで、またイエローナイフからサンダーベイ(オンタリオ中南部)までと、広く販売の実績を持つようになってきた。
従業員数も1996年の約200人から現在の410人とほぼ倍増。生産されたユニット数も675(2005年)、828(2006年)、約1000(2007年予想)と着実に増加している。
工場面積も2006年に終了した拡張工事後には6万2500スクエアフィートになり、今後見込まれる需要増加への対応もなされている。
工期の短さは特筆に価する。顧客からの注文の最終確認後、製造開始から住宅完成(建築現場に向かって搬送される)までに要するのは約6週間。また建築現場では、完成している基礎に住宅が設置されるのに1日あれば十分。内部の配線、配管類はすべて工場での作業中に検査が終了しているので、インスペクターのスケジュールに左右されることなく、すぐに入居可能となる。
品質の確かさは、この工場が住宅メーカーとして北米で初めてかつ唯一のISO9001の認定工場になった(1996年)ことからもわかるが、ファクトリー・エンジニアード・ホームの利点はそれだけではない。工期が短い上に遅れが生じることもほとんどないため、予想外の価格変動(材料費の変動、銀行金利の変動など)に見舞われる可能性も低い。通常の住宅建築(オンサイト)ではあたりまえのようになっている、契約時の価格が守られないというトラブルは起こらない。
時代の需要を見越した戦略と、成功へのバランス感覚が成長の鍵に
上田社長による経営が始まった1996年からのトリプル・エム・ハウジングの順調な発展は、氏の経営戦略によるところが大きい。ファクトリー・エンジニアード・ホームの将来性に早くから着目、差別化のための高品質化に投資を怠らなかったことに加えて、商品および販売地域の拡大戦略が奏功し、今日までの成長を確実なものとした。
しかしそれ以上に貢献してきたのは、社長が提唱した「シックス・ウィン・ストラテジー(Six Wins Strategy)」によるバランスの取れた戦略だった。これは6方面―顧客、販売ネットワーク(代理店など、トリプル・エム・ハウジングから見た直接の顧客)、取引ネットワーク(材料供給やコンサルタントなど)、地域コミュニティ、投資家、従業員―全部での成功を考えながら成長を目指そうというもの。
現在でも26年前、最初の会社創立時に採用された社員が何人も現役で働いているのは、そうした上田社長の戦略が実際の業務に反映されている証のひとつと言え、上田社長はもちろん、社員ひとりひとりもそれが正しい選択であったことを納得している。
(次号では、工場オープンハウス当日の様子をレポート)。
(取材 平野直樹)
会社概要 Triple M Housing 本社住所: 1155 Park Place, 666 Burrard St. Vancouver, BC V6C 2X8 Website:www.triplemhousing.com 電話:604-605-6960 Fax:604-648-9323 工場(Alberta Plant) 住所:185 Stubb Ross Road Lethbridge, AB T1K 7N3 |
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