SPECIAL 2007

2007年9月6日 第36号 掲載


世界に一つだけのオリジナル
山本龍香氏「カラー魚拓セミナー」


Tシャツに直接法で挑む参加者と山本さん


パワーポイントを使っての説明


デモンストレーションを真剣に見る参加者

自分て作ったカラー魚拓のTシャツ
を着ていた参加者

 久々に晴れ間が見え、絶好の釣り日和となった8月23日、UBCにおいてインターナショナル魚拓香房会長である山本龍香さんによるカラー魚拓のセミナーが行われた。本来自分の釣った魚がどれだけ大きいかを記録するという目的で行われていた魚拓であるが、カラー魚拓は単なる記録ではなく立派なアート。その鮮やかな色と今にも泳ぎ出しそうな生き生きとした魚を描けるとあって世界中にファンを持つカラー魚拓の世界をのぞいてみよう。

 午後1時30分から始まったセミナーにはUBCの学生だけでなくカラー魚拓のファンなどたくさんの人が集まった。最初に魚拓の歴史やカラー魚拓の方法などを山本さんがパワーポイントを使って説明。ジョークをおりまぜながらの説明に会場からは笑いが絶えなかった。お昼休憩をはさんで午後からは、参加者が山本さんと一緒になってカラー魚拓を行い、魚の扱いに四苦八苦しながらも完成した自分の作品にみな満足していた。

●魚拓の歴史
 昔、漁師や武士たちは自分が釣った魚の大きさを比べて競い合っていたとか。お互いの魚を持ち寄っていたが、釣ったときよりもどうしても縮んでしまい正確に競うことができないでいた。その問題を解決するために考え出されたのが魚拓。魚を釣った瞬間に墨で形をそのまま しとるという方法により、公平に大きさを比べることができたのだ。最古の魚拓は1862年に行われたとされており長い歴史を持っている。

●カラー魚拓とは
 カラー魚拓の題材は魚に留まらず、ペンギンや鯨、さらには生きたままの馬や人間の顔などありとあらゆるものがキャンバスに し出される。方法としては、魚拓をとるものに直接色をつけ布に す直接法と布を題材に被せてその上から色をつけていく間接法の2種類ある。もともと趣味の一つとして生まれたカラー魚拓であるが、今では世界中にファンがおり、山本さんが会長を務めるインターナショナル魚拓香房を中心にアメリカやカナダ、中国などでセミナーが行われている。特に中国では100メートルの魚拓に200人の子供達と挑戦しギネス記録を樹立している。 自分の好きな色を使って思うがままに魚拓をとることができ、同じ題材でも一つとして同じ作品はなく一つ一つがオリジナルであることが大きな魅力だ。山本さんはカラー魚拓専用のカラーインクを印刷会社と共同で製作しており、世界で400人以上の人々が山本さんのカラーインクで魚拓を楽しんでいる。

●カラー魚拓に挑戦
 用意するもの:タンポ、のり、スプレーのり、布(ポリエステルやシルクなど)、スポンジ、専用のカラーインク、ペーパータオル、細い筆、アイロン。


山本さんオリジナルのカラーインク

 今回の魚拓のために用意した題材はカレイ。山本さんのデモンストレーションの後、実際に参加者達がカラー魚拓に取り組んだ。

(1)魚をきれいにする
 魚拓中に魚の水分や血などが出てこないようにペーパータオルでこまめに魚をきれいにしていく。


カレイと格闘


(2)のりでひれなどを固定
 紙などに魚を固定し、その上で自分の好きな 置に背びれや尾びれを持っていきのりを使って固定させる。
(3)魚を完全に乾燥させる
 今回は魚を乾燥させるためにスプレーのりを使用。よりきれいに魚拓を完成させるために大切な作業であり、丁寧に仕上げていく。
(4)布を被せて空気抜き
 布を被せたら一番高いところから低いところへとスポンジを移動させ空気抜きを行う。


空気抜きは大仕事


(5)目を隠す
 目は最後に筆で描いて仕上げるので、布の上から目の部分をテープで隠して色がつかないようにする。
(6)いよいよ色つけ
 自分の好きな色を選び、その中の一番薄い色からタンポを使って色を染み込ませていく。一定のリズムでタンポを使うのがポイント。色をつけ終えたらアイロンなどで乾燥させる(間接的に)。
(7)目を描く
 インクが乾いたら細い筆を使って目を描く。実際の目を観察しながらも自分の思い りに描くことが大切。山本さんは 常、目を描くために一日は要するとか。


目を描く作業に一筆入魂


 「たとえ同じ人が同じ題材でカラー魚拓をしても二度と同じ作品は生まれません。その時の気持ちや考え方で魚拓は姿を変えていきます。それこそがカラー魚拓の魅力です。今日しか生まれることができない、世界に一つだけの自分の魚拓を今日は楽しんでください」と山本さんが参加者にメッセージを送りカラー魚拓の実演が始まった。


一人一人に指導していく山本さん


 カラー魚拓の実践に参加者たちは大興奮。魚と格闘しながらも、丁寧に一つ一つの工程をこなし、会場に置かれたたくさんの山本さんの作品を見ながら自分の好きな色やグラデーションを見つけていた。また用意された布だけでなく自分で持参したTシャツに魚拓をする参加者もおり、山本さんに助けてもらいながら、世界に一つだけのオリジナルなカラー魚拓Tシャツを作って大満足。目を描く作業では魚とにらめっこをしながらゆっくりと時間をかける参加者が多く、完成した作品にみな笑顔を見せていた。最後に山本さんと参加者たちが作品を持って記念撮影をし、大盛況のうちにセミナーは幕を閉じた。


出来上がりにみな笑顔

 セミナー後、山本さんにお話を聞いた。

 「釣りが好きで、たまたま立ち寄ったボートの展示会の一角でカラー魚拓に出合いました。そこから7年飽きずに続けて名取りをし、山本龍香という名前をいただきもう30年以上カラー魚拓を行っています。定年を機に仲間と魚拓香房を作り、今では1年に10回以上海外でセミナーを開きたくさんの人々に楽しんでもらっています。商社に勤めていたときの海外の友人と今だに交流を続けており、彼らに自分の趣味としてカラー魚拓を紹介したのが始まりと言えるでしょう。人との出会いやつながりが私のカラー魚拓を支えています。これからもたくさんの人々にカラー魚拓を知ってもらい楽しんでほしいです」と語ってくれた。

 山本さんの明るく人と話すことが大好きな性格がカラー魚拓を世界に広めるために大きく貢献しているのは明らか。これからもセミナーは世界中のどこでも開催していくとか。山本さんのホームページには、カラー魚拓の世界が広がっている。


(取材 川島絵美)

インターナショナル魚拓香房
URL:http://www.gyotaku.ca
山本さんの作品やセミナー情報などが確認できる。