SPECIAL 2007
2007年8月2日 第31号 掲載
![]() 国際会議で発表する嘉陽さん |
『ソマティック・バランソロジー』について、6月10日からバンクーバーで開かれた、ヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE)国際会議でマイク嘉陽さんが講演を行った。
『ソマティック・バランソロジー』とは
人間の体が連結・連動して動く法則を利用して、体の『歪み』を検査・診察、診断された歪みを取り除くことで、体を正常なバランス状態に戻す方法のことを言う。
この方法を発案・解明し、実践しているのが、マイク嘉陽さん。『バランソロジー』とは嘉陽さんが命名した。
検査方法とその仕組み
ダイアグラム(動診検査図)という人体を象った図式(嘉陽さんが考案したもの)に『 の動き』の結果を書き込んでいく。『40 の動き』とは、嘉陽さんが長年かかって導き出した、身体全体の骨格・筋肉など運動系の正しい連動システムをまとめたもので、この40種80方向の動きを検査することで、体の歪みが診断できる。
診察結果と治療
ダイアグラムに一つひとつ丁寧に嘉陽さんが記録した検査の結果から、痛みや症状の原因を探す。『40の動き』はごく簡単なもので、仰向けで首を左右に振るなど誰でも無理なくできる。それを痛みが走る動作、左右対称でない動作と診察することで、『歪み』のある場所を診断する。
症状が同じであっても、ひずみの元はさまざま。患者一人ひとりの『歪み』の原因を見つけ出し、そこを矯正する操体的動作を処方する。
処方された動作も無理のない動きのみ。「本人がやっていて気持ちがいいと思うやり方が最も効果的」という嘉陽さんの信念が反映されている。
治療はまず診察後、見つかった歪みを矯正する動作を嘉陽さんの指導のもと何種類か行う。その後、自宅で一人でもできる簡単な動作を2つから3つ、次回の診察まで毎日行う『宿題』として与えられる。
その効果とは
講演では、患者の治療回数と完治までの期間がデータとして紹介された。症状がどのような種類のものであれ、『歪み』が原因で引き起こされている症状は、95パーセント以上の確率で完治するという。
しかし、『歪み』が原因ではないと判明した時は、必ず医師の診察を受けることを進言する。
歪みの原因と体のメンテナンス
『歪み』の原因とは、個々が持つ習慣やクセ、ストレスなど日々の生活の中にある。例えば、右の足を上にして組むとか、肘をつくとか、普段何気なくやっている行動の積み重ねである。それを放置しておくと、臨界点に達した時に大きな痛みとなったり、時には重大疾患につながることもある。
そうならないためには、普段から体のメンテナンスが大事。その予防的観点から『バランソロジー』を実践してもらうことが理想だと嘉陽さんは語る。「痛みが出てからではなく、車の定期点検のように、体を点検し、痛みが出る前に矯正することが一番です。診察して一度完治した人でも定期的に検診を受けることを勧めています」
なぜ、『バランソロジー』が注目されているのか
国際会議で発表するほど、なぜ『バランソロジー』が注目されているかと言えば、その絶大な治療効果が、症状、検査結果、治療法、治療結果、治療後の症状、完治まで、『ダイアグラム』を使うことにより、記録データとして確立できるからである。これで身体動作を診断できるだけでなく、身体の『歪み』の全体的な青写真を客観的に捉えることができるのである。現在では日本の大学教授たちとの共同研究も進んでいるということだった。
ソマティック・バランソロジーを体験!!
『ソマティック・バランソロジー』というこの聞き慣れない言葉について、講演を聴き、説明も詳しく聞いた。しかし、今ひとつ頭の中で理論の焦点が合わない。そこでこの理論を体感するべく、実際に記者が体験させてもらうことになった。
プロローグ
まずは結果がわかりやすいように、診察を受ける前の自分の状態を言っておこう。
私の場合は特にどこかに痛みがあるということはなかった。スポーツが好きで週に2、3回はスポーツをし、その割にはこれまで大きなケガはない。事故や病気も一度もない。肩こり、腰痛、冷え性という症状ともほとんど無縁で、体が丈夫なだけが自慢である。今さらながら人よりひと回りもふた回りも大きく丈夫な体に産んでくれた親に感謝している。
診察と結果「私でさえも・・・」
まず「仰向けになって、自分の感覚でまっすぐに寝てください」と言われた。言われたとおり、まっすぐに寝ると「まっすぐだと思いますか」と念を押されたので「はい」と不安げに答えた。すると「じゃあ、今からまっすぐにしますね」と、足首を捕まれ足を動かされた。
「そのまま起きあがってください」。起きあがってみると捕まれた足首は明らかに1.5センチほど左が長くずれていた。「びっくりしたでしょう」と嘉陽さんがニコニコしながら言う。いきなり衝撃を受けてしまった。原因はというと骨盤がずれているからだという。まずは骨盤のズレを矯正してもらって、前述した『40の動き』の一つひとつの診察が始まった。
かなり簡単なものだ。首を左右に動かして、どちらかが特に動かしやすい、動かしにくいという感覚があるかどうかを聞かれる。それが40通り、必ず左右に動かすので80方向。こうして改めて左右の動きの感覚を聞かれると、必ずどちらかに比重があることに驚かされた。
結果は、診察前からの首の痛みのほかに、右の腰の下、右のおしりの上辺りに少し筋肉痛のような痛みが発見された。
この痛みと左右非対称だった動きを矯正する動作をその場で実施した。その後、もう一度いくつかの動きをしてみると、つい5分ほど前まで左右非対称だったそれらの動きは、左右対称にしかもスムーズに動くようになっていた。
この即効性にかなり驚いてしまった。「えっ〜」という感嘆詞を連発しながら、言われる動きを次々とこなしていった。嘉陽さんは「不思議よね〜」と言いながら相変わらずニコニコしていた。
この日は、痛みを取る動作3つを毎日行うという『宿題』をもらって、3週間後また診察に来ることを約束した。
3週間後
約束通り3週間経って診察に訪れた。正確には4週間後だった。もちろん『宿題』は毎日まじめにこなした。前回と同じように、仰向けでまっすぐ寝るように言われた。今度は一発合格だった。思わず顔が「にた〜」となった。
それから『40の動き』も同じようにこなした。前回あった右腰下の痛みも全くなかった。3週間でこの痛みを消したのはえらいと誉められた。「やった」と心の中でガッツポーズ。本当に毎日『宿題』をまじめにやったのだ。
しかし、やっぱり左右非対称の動きはかなりあった。どんなに気をつけていても、普段通りの生活をしているだけで、1カ月ほどでこれほどになるのかとメンテナンスの重要性を実感した。
この日もやっぱり『宿題』をもらった。もちろん、今でも毎日まじめにこなしている。健康に関しての努力は惜しまないのである。健康あっての楽しいバンクーバー生活である。それにこの宿題、やっていて結構気持ちがいいのがうれしい。
今回、このような貴重な体験をさせてもらったことに本当に感謝した。『ソマティック・バランソロジー』、体感して理論の焦点がピタリと合った。このまま私の習慣になっていくのは間違いないと思った。
(取材 三島直美)
ー プロフィール ー |
| マイク嘉陽さん ペンネーム:嘉陽春人さん。 Kayo Clinic 経営、Somatic Balanceology Therapy発案者、バランソロジー療法士。1976年家族と共にバンクーバーに。90年代中頃、本格的にバランソロジーを研究。 現在、後進の指導を行うための学校創立の準備をしている。著書『臨床家のためのダイアグラム操体法』(エンタプライズ)。沖縄県出身。 連絡先:604-430-0151 住所:#115-2238 Kingsway, Vancouver, BC Website:http://somaticbalanceology.com E-mail:balanceology@hotmail.com |
| ヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE) International Union for Health Promotion and Health Education。1951年教育、地域活動および 健康的公衆政策の開発を目的に設立された国際連合体。3年に1度世界規模の会議を開催。 今年で19回目。 |