SPECIAL 2007

2007年4月12日 第15号 掲載


「和を大事にした日本酒を世界に」
-新潟の蔵元『越後伝衛門』-
第29回バンクーバーワインフェスティバル


左から、純米大吟醸伝衛門、純米吟醸酒伝衛門、純米伝衛門

杜氏の堤博之さん(左)と白木正孝さん

 今年で29回目となったバンクーバー・プレイハウス・インターナショナル・ワインフェスティバル2007が3月26日から7日間にわたり、バンクーバーエキシビジョン&コンベンションセンターで開催された。今年は17カ国から180ワイナリー1550種のワインが訪れた人々を楽しませた。
 日本から唯一の参加は新潟の蔵元『越後伝衛門』。初参加した杜氏の堤博之さんは、「意外に悪くないです」とその手応えを語る。途切れることなく『越後伝衛門』のブースを訪れる人々への対応に追われながらも大きな感触をつかんでいるようだった。


新潟の酒『越後伝衛門』

香りも味も個性が光る酒を
 銘酒所で名高い新潟では端麗な酒が多いという。「その中で個性的な香りと味を醸し出すような酒造りを目指しています」と堤さん。「今回はワインのフェスティバルなので、ワインと比較されてもうまく特徴が出せるように仕上げたお酒を持ってきました」

 今回出展したのは、すでにカナダで販売されている本醸造雪ほたると、日本から持ってきた3酒、純米大吟醸伝衛門、純米吟醸酒伝衛門、純米伝衛門。「ここで皆さんに試飲してもらって、反応を見てみたいというのがねらいです」。吟醸酒が最も反応が良いと上々の感触。

 この日はレストラン経営者やワイン評論家などワインの専門家が勢揃い。その中でこれだけの反応を得られたことは「いい勉強になります」と笑顔がこぼれた。

「和」を大切にした酒を世界に
 杜氏の堤さん、酒造りの始まりは実はワインだった。「昔ワイナリーで働いていたこともあるんです。でも日本酒の方がはるかにおもしろい」と言う。新潟の気候を知り尽くし、原料となる米を厳選し、それでも毎年訪れる自然の脅威と戦いながらどれだけ良い酒を作れるか、いつもチャレンジだと。

 そこで大切になるのが、酒造りにかかわる人々の「和」。「酒造りは昔も今も職人の世界です。そこをまとめていける「和」が大事なのだと思います」と職人達の巧みな感覚と新潟の気候風土、米、水、そのすべてが「和」を成した時、上質な酒ができあがる。

 その『和』心あふれる酒を「海外でもっと味わってもらいたい」とこれからを見つめて語った。

高級志向が生むバンクーバーの食文化
 今回のワインフェスティバル出展へのきっかけは、雪ほたるを扱っているCMC Sake & Wine Merchantsの白木正孝さんの強い後押しだった。グランビルアイランドでカナダ初の酒蔵ARTISAN SAKEMATERをオープンした白木さんは、バンクーバーの食に対する高級志向と日本食への興味が、本格的な日本酒の需要に繋がっていると言う。

 「新しいものへの挑戦が見られるバンクーバーでは、本格的フレンチやイタリアンレストランで、だしやカツオなどが使われたりしています。そうしたことからも日本酒への関心も高まっているんでしょう」。高級日本酒への興味は高まるばかりだと語った。


途切れることなく人々が訪れる『越後伝衛門』のブース

日本酒の説明をする白木さん(中央)


 

 

 


シチュエーションにあわせて日本酒を楽しむ
 ワインフェスティバルに来ているのだから試飲しない手はない。純米伝衛門、純米吟醸酒伝衛門、純米大吟醸伝衛門の順に飲むと特徴がよくわかるというので、順番に試飲した。

 日本酒をあれこれ批評できるほど通ではないが、一口飲んだ瞬間、思わず「美味しい!」と言葉が出てしまうほどおいしいことはよくわかった。吟醸酒は魚介類の料理などと一緒だと「酒も料理も会話も止まらないだろうな」と勝手に想像した。そして次に口にしたのが大吟醸。これは香りも味も寄り添う料理を必要としない『凛』とした強さがとても印象的だった。

 ワインのように、料理だけでなく、シチュエーションによっても違う楽しみ方があることはうれしい発見だった。ワイングラスに注がれた透明な日本酒を片手に、「大吟醸は香りが強いので好みが分かれます。でもかなりインパクトはあると思いますね」という堤さんの説明を聞きながら、次は自宅で試してみようと密かに思っていた。

雪ほたるはローワーメインランドのリカーストアで購入できる。
720ml $27.45

株式会社 越後伝衛門
〒950-3306 
新潟県新潟市内島見101-1
TEL:025-388-5020 
FAX:025-388-5120 
Website:www.denemon.com
CMC Sake & Wine Merchants
TEL:604-985-6862 
FAX:604-985-8189 
Website:www.cmc-sake-wine.com



 

 

 

 

 

 

180ワイナリー1550種のワインの中から

Sake One
 日本酒のブースがもう一つあった。オレゴンから参加しているSake One。桃川ブランドから純米吟醸Diamondと純米吟醸にごりPearl、純米吟醸原酒″G″、ムーンストーンブランドからRaspberryとAsian Pearの5種。

 ″G″が飲み応えのあるどっしりした味わいなのに対して、ムーンストーンの2酒はラズベリーとなしの香りが口の中に広がるフルーツワインのような味わい。意外な組み合わせだがあまり癖はなく日本酒に慣れていない人にものみやすいのではと思った。


オレゴンから参加、Sake Oneのブース。
説明をするのはジム・スキュラスさん(中央)

ワインフェスティバル会場の様子。この日はメディア・レストラン経営者など専門家が多く訪れ賑わっていた

 

 

 

 



 代表のジム・スキュラスさんは、「これは日本酒とワインの架け橋みたいな感じです。バンクーバーのこうしたイベントで紹介できるのはうれしいですね」と語った。

フランスのワイナリー Blasons De Bourgogne
 ワインも一つ紹介しよう。日本にも輸出しているフランスのワイナリー『Blasons De Bourgogne』。試飲したのは、白ワインPremier Cru Cote de Lechet 2002、 Chablis 2005、スパークリングワイン Cremant de Bourgogne Cuvee Brut。

 シャブリと聞くとちょっと尻込みしそうな高貴な感じだが、どちらもすっきりとした辛口で飲みやすい。特にChablis2005はリンゴと蜂蜜、柑橘のフレーバーで、あのキリリとした辛口シャブリのイメージではないところが飲みやすいと思った。バンクーバーでも購入できる。

Sake One・Blasons De Bourgogneへの問い合わせ先
Promark Premium Wines & Spirits
1085 Blue Grouse Way,
North Vancouver, BC, V7R 4N7
TEL:604-904-5171 
FAX:604-904-5172 
Website:www.endeavourwineandspirits.com

Blasons De Bourgogneのザビア・バディナンドさん。手に持っているのはスパークリングワインCremant de Bourgogne Cuvee Brut

 

 

 

 

 

 

 


(取材 三島直美)