SPECIAL 2007

2007年2月8日 第6号 掲載


日本の年金制度


在留届

年金手帳

 日本で厚生年金や国民年金をかけたことがある人は、移住してカナダに居住していても、日本の年金を受給できる場合がある。年齢や性別、職場の種類などにより受給資格や条件が異なるため、ここでは一般的な情報をまとめるが、詳細は各自社会保険庁事務所に出向いて相談する必要がある。社会保険制度に関する詳細は以下の社会保険庁のホームページで参照できる。
http://www.sia.go.jp/seido/index.htm


現行の年金制度
 従来、日本の公的年金制度は、民間会社の社員を対象とする厚生年金保険、公務員などを対象とする共済年金、自営業者などを対象とする国民年金というように分立していたが、昭和60年の改正により全国民共通の老齢基礎年金が導入され、その上に厚生年金や共済年金などが報酬比例の年金として支給される、二段階の制度に再編成された。

老齢基礎年金
■支給要件

 保険料を25年以上納めた人などに原則65歳から支給される(※)。
 以下を合計して、原則として25年以上の期間が必要となる。

(1)国民年金の保険料を納めた期間
(2)国民年金保険料の納付を免除された期間
(3)国民年金に任意加入しなかった期間
(4)昭和 年4月以後の厚生年金保険や共済組合の加入期間
(5)第3号被保険者期間
(6)合算対象期間(※)
※国民年金への加入義務は、「日本に住所がある20歳から65歳までの人」となっているため、海外に滞在している間は、国民年金に加入しなくてもよいことになる。そのため、例えば日本で5年保険料を納付し、その後カナダに移住して20年以上暮らしている場合、その 年以上を合算対象期間に含めることができ、納付期間の25年以上を満たすことになる。ただし、受給資格はあっても、保険料を支払っていない分についてはそれだけ受取額は減る。

未納期間が5年以内の場合
 保険料の未納期間があり受給資格期間(原則25年)を満たせない場合は、60歳から65歳までの間、任意加入することによって受給資格期間を満たし、老齢給付を受給することができる。ただし、これは未納期間が5年以内の場合にのみ適用される。また、一定のものには65歳から70歳まで任意加入できる場合もある。

■給付額

 20歳から60歳になるまでの40年間(加入可能年数※)保険料を納めた人の場合、平成18年度の年金額は、年間79万2100円(月額6万6208円)となるが、保険料の未納期間や免除期間がある場合には、その期間に応じて減額される。

※加入可能年数については、大正15年4月2日から昭和2年4月1日までに生まれた人については、25年に短縮されており、以降昭和 年4月1日生まれの人まで生年月日に応じて26年から39年に短縮されている。

■支給開始

 支給開始は、原則として、65歳に到達した日の属する月の翌月分からとなり、死亡した日の属する月分まで支給される。支給開始を繰り上げて60歳から減額された年金を受給することや、繰り下げて66歳から70歳までの希望する年齢から増額された年金を受給することもできる。

 ただし、繰り上げ受給を申請した場合、申請した月に応じて年金額が減額され、65歳以降も減額されたままの年金額となる。また、特別支給の老齢厚生年金や、退職共済年金が支給停止となるなどいろいろな制約もでてくるので、前もって良く調べる。


老齢基礎年金
 全国民共通の老齢基礎年金に上乗せされる報酬比例の年金として、厚生年金や共済年金があり、さらに厚生年金基金や国民年金基金を受け取る資格のある場合もあるが、ここでは厚生年金をかけていた人の場合について概要をまとめる。注:生年月日、性別などで条件は大幅に異なる。

■支給要件
 老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間のある人が、原則として65歳となり老齢基礎年金を受けられるようになったとき、老齢基礎年金に上乗せする形で支給される。

 現在は支給開始年齢を 歳から65歳に引き上げる移行期間にあり、段階的措置として、「特別支給の老齢厚生年金が 歳前に支給されている。

 例えば、昭和16年(女子は昭和21年)4月1日以前に生まれ(図1)、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人には、60歳から65歳に達するまでの間、特別支給の老齢厚生年金が支給される。

 (図1)


 しかし図2の人は特別支給の老齢厚生年金の支給が61歳からとなり、60〜61歳では報酬比例部分相当の老齢厚生年金のみが支給される。

 (図2)



 また、支給要件として昭和16年(女子は昭和21年)4月2日〜昭和24年(女子は昭和29年)4月1日の間に生まれた人は、老齢基礎年金の支給要件を満たしていること、厚生年金保険の被保険者期間が1カ月以上あること(ただし、65歳未満の人に支給する老齢厚生年金については、1年以上の被保険者期間)が必要となる。


(図3)


(図4)


(図5)


(図6)





 図6以降、生年月日、男女により段階的に60歳からの報酬比例部分相当の老齢厚生年金の支給がなくなり、最終的には男性の場合、昭和36年4月2日以後に生まれた人、女性の場合、昭和41年4月2日以後に生まれた人から老齢基礎年金と老齢厚生年金が合わさって 歳からの支給となる。


年金の請求
 年金は、受給資格ができたとき自動的に支給されるものではなく、自分で受け取るための手続き(裁定請求)を行う必要がある。

 手続きに必要な書類(老齢年金裁定請求書)については、最寄りの社会保険事務所、社会保険事務局の事務所または年金相談センターで入手できる。

老齢年金裁定請求書に必要な添付書類
 添付書類リストには34項目載っているが、請求者の各条件により異なるので、必ず確認する。

(取材 安達昭子)

請求の具体例
〈昨年 歳になり、帰省した折に老齢厚生年金を申請したカナダ在住の さん(男性)の場合
 本籍地の最寄りの社会保険庁事務所へ出向き、厚生年金の記録を調べてもらったところ、厚生年金の加入期間とカナダ滞在を含めた納付免除期間の合計が25年に達しており、年金受給資格があった。

 彼の場合(昭和20年4月2日から昭和22年4月1日に生まれた男性枠に該当)、算出された受給額は65歳から満額で年間28万5000円が支給されることがわかった。60歳から63歳までは「報酬比例部分相当の老齢厚生年金」として年間約12万円、63歳から65歳まではそれに「特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)」が加算され、ほぼ満額の約28万円が支給され、65歳からは受給額の満額が支給される。

 また、申請時には、老齢年金裁定請求書への記入と、以下の添付書類が必要だった。

・基礎年金番号通知書・年金手帳(厚生年金、国民年金)[夫および妻]
・戸籍[抄本および附票※] [本人](生年月日に関する市町村長の証明書)

※附票:海外居住を明らかにする書類(後述)

・預金通帳(請求者名義、金融機関の証明がある場合は不要)

海外居住を明らかにする書類には以下の5つがある。

1 戸籍の附票の写し(注:市町村役場に海外居住のために日本を出ることを届け出た場合、その旨記載してある)
2 旅行券に規定する旅券(パスポート)の写し
3 滞在国が交付した居住証明書
4 滞在国の日本領事館などの発行した在留資格期間証明書
5 その他上記に掲げる書類に準ずるもの
(注:弁護士による証明が許可された例もあった)