MAPLE 2007

2007年9月27日 第39号 掲載
 
鮮やかに染まった紅葉を楽しむ
「メープル街道」定番ルート


 オンタリオ湖からガスペ半島の先端まで、セント・ローレンス川に沿って続く1895kmの道は、カナダ建国の歴史を物語る「ヘリテージ・ハイウエイ」として、カナダの人々に大切にされてきた。このセント・ローレンス川沿いのエリアには、楓を中心にした広葉樹の森林があちこちにあり、秋の紅葉も見事。「メープル街道」というのは日本人が勝手につけた名称だが、いかにもぴったりの表現。最近は北米で出版されるガイド本にも「メープル・ルート」などという言葉が使われるようになってきた。

(取材 宮田麻未 / 写真 神尾明朗)



見渡す限りの大地が錦のように染め上げられるロレンシャン高原


ナイアガラの滝周辺も鮮やかな紅葉に染められる

 


定番ルートならではの魅力


  9月下旬から10月中旬にかけてのメープル街道は、どこへ行っても日本人の団体旅行客がいっぱい。しかし、定番ルートならではの魅力はやはり大きい。初めてこのエリアに行くのなら、まず「トロント〜ナイアガラ〜キングストン〜モントリオール〜トロアリビエール〜ケベックシティ」とたどっていくのがおすすめだ。日程に余裕があるなら、モントリオールの北側に広がるロレンシャン高原、ガティノーの丘陵地帯、アルゴンキン州立公園、サンタンヌ・ボープレなどの高原や丘陵地帯で、見渡す限りの大地が燃えるように見えるダイナミックな「紅葉狩り」がおすすめ。また、メープル街道の旅では、しばしば忘れられてしまうオタワを日程にいれると、旅の充実度がかなり深まるはず。

 ナイアガラからケベックシティまでは約900km。最低でも5泊6日、できれば7泊8日ぐらいで日程を組むのがおすすめだ。



メープル街道のみどころポイント


トロント
 バンクーバーからメープル街道に旅するときは、ほとんどの場合、トロントが玄関口になる。多くの観光客はトロントを素通りして、すぐにナイアガラへ向かってしまうが、トロントにも見どころがたくさんある。演劇やミュージカル、各種のコンサートが非常に盛んな街なので、紅葉といっしょに「芸術の秋」を満喫してみてはいかが?また、カナダの秋の美しさをキャンバスに描いた、グループ・オブ・セブンの画家たちの作品を集めたオンタリオ美術館も見逃せない。


見事に色づいた楓の木々

 

ナイアガラ
 迫力いっぱいのナイアガラの滝はもちろんだが、秋は滝周辺の紅葉の美しさがとても印象的。スカイロン・タワーやミノルタ・タワーなどに昇って上から見渡すと、滝と紅葉のコントラストがより鮮やか。ヘリコプターからの眺めも素晴らしい。


水の流れと紅葉のコントラストも美しい


キングストン
 セント・ローレンス川とオンタリオ湖、そしてリドー運河が出合う場所にある古都。1841年、アッパー・カナダ(現在のオンタリオ州)とローワー・カナダ(現在のケベック州)が植民地として統一されたとき、最初の首都になったのがこの町だ。今も19世紀の雰囲気がよく残されている。町のあちこちにある公園や広場の紅葉はロマンチックな雰囲気。また、セント・ローレンス川に浮かぶ小島をめぐる「1000アイランド・クルーズ」の船もここから出港している。それぞれの島は、紅葉でカラフルに彩られ、まるで宝石が水に浮かんでいるように美しい。


古都の雰囲気が残るキングストン

 

モントリオール
 セケベック州最大の都市。ダウンタウンには近代的な高層ビルがぎっしりと立ち並んでいるが、旧市街のオールド・モントリオールには、18世紀末から19世紀の街並みがそのまま残されている。石畳にハラハラと赤や黄色の葉が散る様子は、忘れられない思い出になるだろう。モン・ロワイヤル公園の丘も見事な紅葉ですっぽりと覆われる。また、モントリオール美術館やカナディアン建築センター、モントリオール現代美術館など、アートな心を刺激する名作に出会えるチャンスもある。


オールド・モントリオールでは、川沿いの街路樹の紅葉が楽しみ

 

トロアリビエール
 ケベック州で最も早く工業化した町のひとつだが、ダウンタウンの東側には、ユルシュリンヌ派の修道女たちが静かに祈りの生活を続けている修道院など、18世紀から時間が止まってしまっているような街角が残されている。あちこちの小路を散策して、ケベックの暮らしの素顔に触れてみるのもおすすめ。


18世紀に時が逆流したようなトロアリビエールの街角

 

ケベックシティ
 ケベック州の州都。ヨーロッパの城郭都市のように、旧市街の周辺が石壁で囲まれている。旧市街の中心には、お城のようなシャトー・フロントナック・ホテルがそびえ、その周辺には18世紀から19世紀のクラシカルな建物が残されている。街角に植えられた木々が紅色やオレンジ色に染まるとき、石造りの建物とのコントラストが鮮やかに心に残ることだろう。できれば日程をゆっくり取って、北米で最も歴史のあるロワイヤル街道をたどり、モンモランシーの滝やグランドキャニオンの渓谷、オルレアン島の紅葉も眺めてみたい。


ケベックシティを象徴するシャトー・フロントナック

 

 

もう一歩先に広がる「燃える大地」


 メープル街道の定番ルートから一歩先へ進むと、さらに深い感動が待っている。ロレンシャン高原の奥地でハイキング、ケベックシティからニューブランズウィック州へのドライブ、オタワ郊外のガティノー・パークでサイクリングなど、様々なアクティビティと組み合わせて、カラフルに彩られた大自然に溶け込んでみるのもおすすめだ。メープルシロップから、ナイアガラやイースタンタウンシップのワイナリーまで、「食」の楽しみが深いのもこのエリアの特徴。食事の時間もたっぷり取れるように、日程に余裕をもたせるのがメープル街道の旅のコツだろう。


秋の味覚が揃った、オタワのバイワード・マーケット