家族でおでかけ

2007年4月19日 第16号 掲載


 


ラバーナムの小径は今が花盛り!
バン・デューセン植物園でゆったり過ごすおすすめガイド


 両側に並んだラバーナム(キバナフジ/金鎖の木)の木々が小径に覆いかぶさるように枝を伸ばし、明るい日差しを浴びて、黄色の花が本当に「金の鎖」のように輝く。バンクーバーのバン・デューセン植物園には、このラバーナムの花の下を歩くのを楽しみに、多くの人が訪れる。ここ数年は日本から観光客も増えているという。晩春から初夏にかけて、この植物園は石楠花(しゃくなげ)やツツジ、アイリス、バラなど、つぎつぎと花盛りを迎える。神秘的な青い花を咲かせるブルーポピーも楽しみだ。



花盛りのラバーナムの小径
 

カナダ・アネモネなどの野草も楽しみ
 



住宅開発より緑地帯を優先した市民の選択

 現在バン・デューセン植物園の敷地になっている土地は、1964年までゴルフ場だった。このゴルフ場を閉鎖して大規模な集合住宅の開発が始まるという計画が発表されたとき、これに反対する市民運動が始まった。事業家として有名だったW.J.バン・デューセン氏が資金提供を申し出たことをきっかけに、市や州政府も植物園の建設に力を入れることになり、ついに1975年、バン・デューセン植物園が誕生したのだ。

 バンクーバー市民は、市の人口が2000人に満たなかった時代ですらダウンタウンにスタンレー公園という広大な森林公園を確保したように、「緑」と調和のとれた生活を強く望んでいる人が多い。バン・デューセン植物園を生んだのも、そうした市民の力だ。今も、この植物園の運営には多くのボランティアが活躍している。

イベントも盛りだくさん
 バン・デューセン植物園は、英国風のフォーマル・ガーデンやラバーナムの小径、バラ園などをぐるりと回る30分ほどのコースから、数時間はたっぷりかかる園内一周コースまで、さまざまな巡り方ができる。6月からは開園時間が10時から21時までとなるが、花を楽しむなら、やはり午前中がおすすめだ。明るく見えても夕方になると閉じてしまう花も多いからだ。午前中なら日差しもまだ柔らかで写真を撮るのにも良いし、朝露の残りでしっとりとした空気の中での散策でより心癒されることだろう。園内にはグルメレストランとして知られるショーネシー・レストランもあるので、散策の後、ランチをここでというのも一案。デザートや軽食とお茶を楽しむアフタヌーンティーのメニューも用意されている。

 なお、園内の大体の場所は車椅子でも巡ることができる。長距離を歩くのが苦手な人はボランティアが運転する電動カートで園内を巡ることもできるので、事前に予約をしておくと良いだろう。また、毎日2時から、ボランティアが案内してくれる無料の園内ツアーもある。こちらは予約不要。

 また、バン・デューセン植物園では毎月、さまざまなガーデニング関係のイベントも催される。6月は、2日・3日はタグチ盆栽クラブの盆栽展示、7日〜10日はバンクーバー・サン・ガーデン・ショー、16日・17日はバン・デューセン・プラント・ソサエティ主催のガーデン・セールなどが予定されている。

(取材・文 宮田麻未/ 写真 神尾明朗)



★初夏の散策向きおすすめポイント★
● ラバーナムの小径
 ラバーナムの木々が花のトンネルを作っている場所はめったにない。木の根元に植えられたフラワー・オニオンなど、青や紫の花々とのコントラストが美しい。
● 藤棚
 スタンレー公園のパビリオンなど、バンクーバー市内には藤の大木がいくつかあるが、日本のように藤棚が作られているところは少ない。バン・デューセン植物園のLathhouseはその珍しい藤棚の一つ。日本ではすでに藤のシーズンは終わっているが、ここはまだ咲き始め。満開は6月中旬になるだろう。


見ごろが近づいている藤棚

● 石楠花の道
 バンクーバーやビクトリアは石楠花やツツジの世界的名所。石楠花やツツジは交配種が非常に豊富なので、花の形や種類も驚くほど多い。春の花ではあるけれど、開花の時期が種類によってまちまちなので、これから6月いっぱいでも十分に楽しむことができる。見上げるほど大きく育った木にぎっしり咲く花を愛でながらの散策は、心の贅沢といえるだろう。


カナダ独自の改良種の石楠花

● カナディアン・ヘリティッジ・ガーデン
 植物園の東端にあるので見落とされがちだが、野草の好きな人には必見の場所だ。ここは、カナダ各地から「カナダの自生種」の草花や木が集められている。特に野草を集めたエリアは日本では見られない珍しいものが多い。また、石楠花などは、カナダで独自に改良された種類のものが植えられているので、これもファンには見逃せない。
● 迷路
 子供向きと思われがちだが、大人にもけっこう楽しまれているのがこの迷路。それほど複雑な構造ではないはずなのだが、いったん迷い始めると方向感覚があやしくなってきて、不思議なスリルを味わえる。


実は大人の方が大喜びの迷路

● 渓流沿いの湿地帯
 迷路の北側に小さなせせらぎが作られていて、その両岸の湿地帯には野草が咲く。今は『赤毛のアン』の物語を思い出させてくれるルピン(ルピナス)の花盛り。これから夏にかけて次々とカラフルな野の花が咲き、まるで美しい絨毯のように見えるほど。
● サイプレス池の浮橋
 園内にはいくつもの池があり、コクガンやカモなどのほか、さまざまな野鳥がやってくる。その中の一つ、サイプレス池は、その名前の通り、サイプレスの木々に囲まれた静かな池だが、そこにまるで琳派の絵のような日本風の浮橋が作られている。今、その浮橋の周辺に植えられたアイリスが花盛りなので、とりわけ情緒がある。日本のあやめや杜若(かきつばた)の名所は、シーズンになるとぎっしりと人が押し寄せて、静かに花を楽しめないことが多いが、バン・デューセン植物園なら、野鳥の声を聞きながら、しっとりとした風情を味わうことができるだろう。


「和」を感じさせる浮橋とアイリス

 

 
●バン・デューセン植物園
住所:5251 Oak Street, Vancouver
Tel: 604-878-9274
ウェブサイト:www.vandusengarden.org
開園時間:10:00〜20:00(6月より〜21:00)
入園料:大人8.25ドル、シニア6.00ドル