2007年4月26日 第17号 掲載

このページは、バンクーバーで活躍している
日系起業家を紹介しているコーナーです。



新川宏己氏

JTBインターナショナル・カナダ
取締役・バンクーバー支店長

新川宏己(しんかわひろみ)氏


 今年2月1日付でJTBインターナショナル(以下JTBI)カナダ、取締役バンクーバー支店長に就任、関連会社の社長も兼任する新川宏己氏に今後の同社の目標などを聞いた。

旅行業界のこれから
 インタビューの冒頭、新川氏は日本国内でのBMWの売り上げが最近好調なことに触れ、それには定年退職を迎えた団塊の世代による購入が寄与していることを指摘。これからは、このような時間とお金に余裕のある年代の海外旅行が確実に増加し、一カ所にゆっくり滞在するロングステイの増加も見込まれていることを紹介してくれた。

 「今までのロングステイ経験者からのフィードバックで、もっと地元コミュニティとの係わり合いが持てたらという声が少なからずありました。そこで、JTBIカナダのオフィスビルをイベントの拠点として活用し、旅行者でも気兼ねなく参加出来る仕組みを考えています。そうすれば地元の人との交流にもなって、コミュニティの活性化になればという狙いもあります」

 JTBIカナダではそのためにJEIC(JTB Educational Institute of Canada)を設立、すでにケイコ・アイさんのデジカメ教室(好評のうちに終了)や松村敦子さんの自力整体法のクラスを開くなど取り組みを始めている。また旅行者と地元コミュニティ両方への貢献という観点からの企画も進行中とのこと。「これからの時代、環境問題は全ての人にかかわる問題です。そこでカナダを代表する環境活動家、ディビッド・スズキ氏による講演が夢ですが、新しいチャンスにあふれている旅行業界への就職を目指す方に、私たちの経験を役立ててもらうツーリズム研修プログラムなど現実的なビジネスはすでに開始しています」

旅行業界をとりまく環境の変化に対応していく

 日本からカナダへの観光客は、911同時多発テロを境に減少の一途をたどっている。原因はいろいろあるが、観光のためのインフラ(たとえば日本とカナダを結ぶ航空路線の数や頻度)が、カナダで伸びの大きいグループ(中国、南アジアなど)にシフトしていることが挙げられる。「カナダにある企業としては、こうした現状に適応していくことも大事です。実際、JTBIカナダでは20年以上前にTPI Travelというアジアマーケット受営業会社を設立、今日まで順調に業績を伸ばしてきました」と新川氏。

経営方針は合議制
 氏がバンクーバーに赴任したのは911同時多発テロ事件の半年後で、さらにSARS騒ぎの影響も加わり急激な落ち込みがあった後でも、堅調な業績で今日まで来ているとのこと。「やはり優秀なスタッフに恵まれたことが大きいですね」と氏は語る。また会社の舵取りの方針を聞いたところ、「会社としての最終決定の前に、経営会議(CP Meeting)で議論して決定することで、総意としての方針になるようにしています」との答え。JTBIカナダ全体でベクトルをあわせ、チームワークでこれからの時代を切り開いていく氏の意気込みがうかがえた。

 これからもJTBIカナダ社が、日本とカナダの日本人の架け橋となって活躍していくことを期待したい。


(取材 平野直樹)


新川宏己氏プロフィール
 鹿児島県出身、東北大学法学部卒業後1977年にJTBに入社。最初の勤務地は神戸。1991年には湾岸戦争のさなかロンドンへ赴任。帰国後はJTBワールド西日本でパッケージツアーの企画を手がける。バンクーバー支店に着任したのは2002年。一男一女の子供たちは日本に残り、奥様と二人のバンクーバー生活を楽しんでいる。趣味はゴルフ。奥様はバンクーバーに来てからすぐに地元コミュニティに溶け込み、陶芸やペインティングなど多彩な趣味をこなしている。「彼女から得られる地元コミュニティの情報も、私の企画やアイデアに大いに役立っているんですよ」と微笑む。

リッチモンドにある、JTBIカナダ・バンクーバー支店オフィス