SPECIAL 2006

2006年3月30日 第14号 掲載


2006年度の企友会『トーク&トーク』開催
第1回目のテーマは「どこが違うの? ビジネスinカナダ、中国、そして日本」&「益々面白い隙間産業」


会場のようす


パネラーの鈴見友紀子さん


パネラーの高木逸さん

高木さんが製造している”おまけ”を披露

 企友会の今年初めての『トーク&トーク』が3月9日、ブロードウェイ沿いの「IH Vancouver」(#200-1215 West Broadway)で開催された。

  企友会「バンクーバー日系ビジネス協会」は、カナダにおいて事業を営む人、計画中の人、関心を持つ人が各種イベントを通じて情報を交換し共通のテーマを討議する場をつくることを目的に1987年に設立された団体。年間を通じて勉強会やセミナー、講演会、親睦会などのイベントなどが行われている。

 『トーク&トーク』は年4回シリーズで、年間テーマは「ビジネスのススメ」。今回は「エンインターナショナル・トレーディング」の鈴見友紀子さんと、「タカギトレーディングインターナショナル」の高木逸さんを迎え約 分ずつの話の後、休憩をはさみ、質疑応答トーク&トークが行われた。
 
■中国の工場での面白エピソード『黄色いドラエモン』
 最初は、中国、日本、カナダの3カ国を結ぶ貿易事業を展開する「エンインターナショナル・トレーディング」の鈴見友紀子さんの話から。

 大阪出身の鈴見さんは、中国やカナダで感じた文化の違いやその驚きを面白く話し、会場からは笑いがたびたび起こった。

 日本でさまざまな事業や職を経験した後、93年に大阪の水産加工会社の駐在員としてバンクーバーにやって来た鈴見さん。最初の1年はカナダと日本の『カルチャーギャップ』にすごく苦しんだという。

 「包装紙の注文1つとっても、日本であれば3日でできるところが、カナダでは1カ月かかるなど、特に時間的感覚のギャップが一番大きかったですね」と鈴見さん。
 加工工場でも職場でも、日本とカナダの『常識』の違いを強く感じたという。
 
 97年に水産会社を退社し「エンインターナショナル・トレーディング」を設立。現在は携帯アクセサリーを輸入したり、北米のクリスマス装飾を日本に輸出したりする事業を展開している。この事業ではドラえもんやウルトラマンなどのいわゆる『商標登録もの』を中国工場に受注して作っているという。

 ここでもやはり『カルチャーギャップ』を常に感じるという。

 「面白いエピソードなのですが、中国の工場ではベルトコンベアーで流れてくるドラえもんの人形に、手で色を塗っていくんですね。見ていると『黄色い』ドラえもんがいるんです。慌てて止めて工員に聞いて見ると『青い色が無くなったから』って言うんです。そこで『ドラえもんは青くなくちゃいけないんだ』と言うと、今度は『なんで猫が青色なんだ』と返ってくるんですね。もう、ドラえもんのストーリーから話さなくちゃならなくなる(笑)」

 また、カラータイマーが2つあるウルトラマンが出来てしまったりすることも。また、それが香港の街で売られていたりして、もうコントロールできないところもあるという。「中国では『唖然』とするようなことが度々起こりますね」と鈴見さん。
 
■おまけはコストが勝負、「隙間産業」の世界
 次に、日本や香港の顧客向けにディスプレー、セールスキャンペーングッズなどを製造している「タカギトレーディングインターナショナル」の高木逸さんの話があった。最近では特に「シック」「リステリン」製品のおまけや、テーマパークなどの土産、無料配付グッズなどの開発・製造を行っているという高木さん。実際にそのグッズを紹介しながら「おまけ」の世界を紹介。

 「おまけはコストが勝負です。とにかく100円以下で作らないとダメですね。実際は20円・30円で注文を受けることも。だからいかに安く作るかにかかってくるんです」

 「すべて20万個とか30万個の世界です。シックとかリステリンがいいのは数量が多いこと。で、数量が多くないと中国でつくるメリットもないんです。1万個以下だと日本で作った方が安い。というのは運賃とかいろいろ経費もかかるわけなんですね」

 数量が多く、納期に比較的余裕がある場合に、中国でつくるメリットがあるという。日本人はせっかちな人が多いそうだが、最近では納期よりもコストを重視する傾向にあるので、少しでも安く作れるなら、と納得する顧客も多いそう。
 
 また、中国での苦労話も。インフレ率2桁台の中国では、沿岸部にあった工場がどんどん安い人件費を求めて内陸部に移行しているという。

 「私の場合、中国の工場の社長さんと直に交渉していますが、まずコネが無いと話もできません。友達の友達でもいいからだれか知っていればいい。また、コストや納期を決める時にすんなりとは行きません。最初はいろんな世間話をして、それから酒を飲みに行く。そこでようやくコストの話ができる。だから中国で商売をする人は酒が強くないといけない(笑)」

 「納期管理に関してですが、これもすごく大変なんです。中国の人というのは『面子(メンツ)』を非常に大切にするんですね。ですから、納期が遅れていてもその面子を潰さないようにしながら上手に管理して行かなければならないんです」。

 「中国では工員さんの転職率が非常に高いんです。毎月15%から20%ですから、1年ほどして行くとまるっきり工員の顔が違っているわけです。せっかく丁寧に教えても、その人たちはいなくなっている。日本の企業から教わったノウハウを持って1元(約15円)でも給料が高いところに転職していってしまう。だから品質管理も難しい」
 
 話の最後に、高木さんからこれから「おまけ産業」に参入しようと思っている人へアドバイスがあった。
 「まず、100円ショップなどに行き、実際に商品を手で取り触ってみて商品知識を増やしてください。日本だったら東急ハンズとロフトに必ず行ってください、その中で一番人通りが多い場所に一番売れている商品が置いてあるわけですね。何が流行っているのか、デザイン、色などをよく観察してください」

■仕事は「人対人」
 質疑応答では参加者から活発な質問があった。

 「中国に逆に何か物を売れないか?」という質問に対し、鈴見さんは「もう実は私たちの会社では2年前から行っています。北京の人たちは世界中のものにアンテナを張っていて、日本の製品にも高い関心があります」と答えた。

 また、「どうやったら本当に商売に結びつくか」という質問に対しては高木さんが「初期投資やリスクをなるべく少なくするために、インターネットを活用し商品に対しての反応を見てみては」とアドバイスした。

 具体的な話がいくつもあったが、鈴見さんは「仕事は結局『人対人』です。常に相手が人であり、自分も人であることを忘れないでいることが一番大切なことであり、私の人生の目指すところでもあるんです」と語った。

 高木さんは鈴見さんに同感した上で「結局、自分の心と身体の健康が大切だと思います。元気がなければ話もうまくできないし、商売もまとめられないですからね」と付け加えた。

 企友会では、4月末にPCセミナー開催予定。詳細は追って本紙または同会ホームページ(www.kiyukai.org)で告知するとのこと。

(取材 吉川友恵)

パネラープロフィール
◆鈴見友紀子さん
 日本とアメリカの大学を卒業後、両親が経営する会社で常務取締役及び企画部長を兼任。同会社で飲食事業部を作り事業部長として飲食店を経営。その後、朝日生命教育室、勧角証券新人研修室に勤める。英会話のイーオンのマネージャーに就任。学校経営、新人育成などのノウハウを学ぶ。93年に大阪の水産加工会社の駐在員としてバンクーバーに移住。97年に水産会社を退社、「エンインターナショナル・トレーディング」を設立。弟の会社「株式会社ラナ」の携帯電話アクセサリーの輸入、北米のクリスマス装飾を日本に輸出。昨年から学校経営も始め、今年はシニア向けの新しい学校経営を目指す。

◆高木逸さん
  大学卒業後、家業を継ぐため機械のメーカーで修業。工場現場から貿易、総務に至る業務全般を学ぶ。81年、化成品製造企業に勤務。主に品質管理、国内・海外の顧客営業、輸出入業務を担当。88年、香港にて現地法人会社「高木工業有限公司」を設立。その子会社として94年にバンクーバーに「Takagi Trading Inc」を設立。その後2002年、香港での貿易部門を分離独立させ「Takagi Trading International Co.,Ltd.」を設立。日本や香港の顧客に対してディスプレー、セールスキャンペーングッズなどを企画、製造している。