SPECIAL 2006

2006年1月5日 第2号 掲載



生命保険・疾病傷害保険、重大疾病保険の基礎知識
〜ファイナンシャル・アドバイザーである浅野イサオさんに聞く〜



ファイナンシャル・アドバイザーの浅野イサオさん

  万が一の備えとして各種保険のあるなか、今回は北米における生命保険、疾病傷害保険、重大疾病保険と称される保険について、Vance Financial Groupのファイナンシャル・アドバイザーである浅野イサオさんに伺った話をもとにご紹介しよう。

 保険によってどれだけの保障が得られるかは、銀行への借金のように、その人の信用力が見られることもある。収入のあることや負債のあることは信用につながる。また健康であること、年齢が若いことは保険加入者にとって有利に働く。

 また保険は投機であってはならないため、「普通に働き続けられる状態ならば(=死亡・病気・ケガがなければ)得られるはずの収入」―それを潜在力と呼ぶが、特に疾病傷害保険については潜在力以上に保障されることはない。そうしたことを念頭に置きながら、個々の保険について見てみよう。

1、生命保険  LIFE INSURANCE
目的:死亡後に残された人の金銭面の負担を軽減するための保険(収入の有無にかかわらず加入可能)。

(1)保障額の考え方
 家族の生活費や学費、住宅や車のローン費用、死後、資産にかかる税金等を考えて保障額を決めるのが適当である。そのため、現在の経済生活への責任の大きい人ほど、障額の多い保険に入るのが望ましい。独身者の場合も、葬儀代や親戚の交通費、結婚後のことを考えて入っておくことを浅野さんは勧めている。

(2)生命保険加入に必要な健康診断
 どの保険も加入時には健康診断が必要で、年齢が上がるほど、そして保障額が高くなるほど、加入時に求められる健康基準は高くなる。

(3)生命保険の種類
  @定期保険(Term Life Insurance) 貯蓄性のない、通称「掛け捨て」の保険。設定した年齢までの期間中に死亡した際、保障金が支払われる。通常10 年ごとに掛け金が上がるが、掛け金は終身保険よりも安めである。ただし中途解約時にも掛け金は返金されない。

  A終身保険(Whole Life Insurance)死亡保障が一生涯続く保険(100歳で満期になる)。掛け金は一定額であり、短期間で保険料を払い込むことも可能。配当金の出るタイプもある。当然配当金の出る保険の方が掛け金は高くなる。中途解約時でも積み立てたお金は返金可能である。
  
 Bユニバーサル保険(Universal Life Insurance)貯蓄と保険を兼ねたタイプで、保険会社では掛け金のなかから、保障と諸経費を差し引いた金額を投資に回す。その投資先は投資信託や定期預金などの選択肢があり、途中で投資先も掛け金も変更が可能である。投資先の金利変動の影響を受けるため、リスクがあることを考慮する必要がある。

 生命保険を選ぶときに考慮すべき点を浅野さんはこう語る。

 「小さな掛け金である掛け捨ての保険から、大きな掛け金の終身保険やユニバーサル保険に切り替えることは、新たに健康診断を受けなくてもできます。ですがその逆の場合は、切り替える時点で改めて健康診断を受けることが必要になります。大きな掛け金から小さな掛け金への切り替えは、保険会社に支払われる金額が減り、保険会社にとってのリスクが増えるためです。また、貯蓄性のある保険(終身・ユニバーサル保険)については、金利の変動をある程度気にしている必要がありますが、保険に入れたお金は解約するまでは課税対象にならないですし、貯まっているお金を担保にお金を借りることができるというメリットがあります」。

2、疾病傷害保険  DISABILITY INSURANCE
目的:就業者がケガや病気のために働けなくなった場合に途絶える収入を補うためにある保険。

〈失業保険やその他の保険への加入とのかかわり〉
 ケガや病気になってもすぐに治る可能性もあるため、この種の保険はケガや病気の発生から保障が出るまでには待機期間(Waiting Period)がある。会社では失業保険Employment Insuranceに加入している場合が多いが、失業保険は15日以上働けなくなった場合について121日間(約4ヵ月)の保障をするため、疾病傷害保険では失業保険の切れる4ヵ月以降に保障が始まるよう設定されているのが一般的である。(*:待機期間が異なる保険商品も存在する)。
 また、会社で次のようなグループ保険、Short Term Disability, Weekly Indemnity, Long Term Disabilityに加入しており、個人でも疾病傷害保険に入っている場合、両方からの保障金を受け取ることはできない。保険金請求(claim)の際に、保険会社はその個人が他社にも請求が出していないかを調査することになっている。そのため、自分が疾病傷害保険に加入する場合には、すでにどんな保険に加入しているかの確認が必須となる。こうしたことから疾病傷害保険は、グループ保険に入っていない自営業者が入ることが一般的である。

〈保障額や保障期間〉
 保障額や保障期間の設定には、職業や業務内容が関係してくる。オフィスワーカーよりも肉体を使った労働をしている人のほうが、疾病障害の発生率は高いとされて掛け金は高い。加入時には喫煙の有無等のほか、職業や職務内容が詳しく問われる。個人で加入する場合、掛け金については税金の控除とはならない。ただし支払い金額には税金はかからない。

3、重大疾病保険  CRITICAL ILLNESS INSURANCE
目的:特定の重大疾病にかかった人の保障となる保険。(就業可能・不可能にはかかわりない)。

 「一家の働き手が病気で仕事ができないための金銭面の負担を補うことだけでなく、車椅子で移動できるように家を改築したり、車を特別な仕様に改造したりなど、病気やケガに伴う対応への費用をまかなうためにもクリティカル・イルネスの保険が生かされていきます」と浅野さんは語る。

〈該当する疾病〉
 保険商品のプランによって20から25種類程度の疾病が該当となっており、その内容は、心臓発作、ガン、卒中、多発性硬化症、アルツハイマー症、パーキンソン病、昏睡、失明、失語症、聴覚を失う、内臓移植、腎不全、職業上のHIVの感染、重症のやけどなどである。それぞれ保険会社の定めた保険適応の疾病についての詳細な定義があるため、上記の表現にあたる病気のすべてが適応になるわけではない。その点が注意点である。

〈保障金の支払い方法〉
 この保険は、該当疾病と診断された後に、30日以上生存していた場合に保障の適用が認められる。保障は原則として1回で支払われる。

 保険会社「カナダ・ライフ」の2003年度のデータによれば、同社に寄せられた重大疾病保険加入者からの請求履歴では、ガンが全体の63%、心臓発作が17%、卒中が6%で、そのほかの疾病が14%となっている。同社への重大疾病保険の請求者の平均年齢は49歳、もっとも若い人では21歳となっている。



 重大疾病保険はカナダには96、97年に登場と比較的新しい保険である。今回取り上げた保険以外にも、最近では高齢者がケアホームに入った際に適用になる保険「Long Term Care」が登場するなど、社会事情に応じて保険も進化している。

北米の保険のスタイルや保険会社の事情等を交えて、丁寧に解説してくださった浅野さんは、保険選びについて「保障がいくらぐらい必要かと、その方の予算とライフスタイルに合わせて自分に合った商品を選ぶといいでしょう」と語る。最新の詳しい情報に当たり、自分の必要としている保障を見つけたいものだ。


(取材 平野香利)



浅野イサオさん
 生命保険をはじめ、団体保険、投資信託など幅広い分野でのアドバイザーとして活躍中

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