MAPLE 2006

2006年10月26日 第44号 掲載
 
Go! CANUCKS Gooo!
NHL基礎知識 パート1
〜ルール解説〜


  バンクーバーに冬の訪れを告げるNHLの開幕。日本ではマイナーなスポーツだが、アイスホッケーはカナダの国技。カナダ人は男女を問わず子供の頃から親しみ、温厚といわれるカナダ人がアイスホッケーとなると人格が変わったように熱くなる。特に、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)の人気は高く、地元一般紙で一面を飾るトップニュースとして扱われ、朝からその話題で持ちきりなんてこともよくある。

 ということで、せっかくバンクーバーにいるのだから、アイスホッケーに詳しくなってカナディアンと一緒にNHLを、カナックスを楽しみたい。

 そこで今回は、NHLとアイスホッケーのルールを紹介しよう。
 


 


ゲームを楽しむためのルール解説!
1.プレーヤー


 1試合1チーム18選手以下、2ゴールキーパーで構成される。氷上でプレーをするのは5人の選手と1ゴールキーパーのあわせて6選手。ベンチにいる選手と代わる代わるプレーする。1選手が1回にプレーする時間は約30秒から1分。1試合ではフォワードで約15分、ディフェンスで20分ほど。アイスホッケーの場合、選手交代の回数に制限はない。選手の入れ替わりが頻繁に行われるのもホッケーの面白いところ。ただし、ゴールキーパーは何回も入れ替わることは基本的にはない。

 プレーヤーのポジションには、フォワード(FW)、ディフェンス(DF)、ゴールキーパー(GK)があり、基本的にFWが3人、DF2人、GK1人が常に氷上でプレーをしている。

 フォワードのポジショニングにはレフトウィング(LW)、センター(C)、ライトウィング(RW)がある。基本的にLW・C・RWの3人組をラインと呼ぶ。テレビ解説や新聞などにあるラインメイトとは、同じラインの選手を指す。トップラインといえば、チームで最も得点を稼ぐラインのこと。

 ラインは固定されていることもあるし、試合ごとに変わることもある。例えば今季カナックスの場合、トップラインは、LWナズランド(19)、Cセディーン(33)、LWセディーン(22)。これはだいたい固定されている。ちなみに、今季カナックスには公式記録ではRWがいないので、全てのラインがLWとCの組み合わせとなる。

 キャプテン(C)は各チーム一人。選手紹介でリンデンとモリソンをアシスタント・キャプテンとしたのは誤りで、正しくはオルタネイト・キャプテン(A)、各チーム最高2人まで。



2.試合構成


 1試合は60分。3つのピリオドに分かれ、1ピリオドは20分。ホッケーの場合、プレーが中断するとその間は時計をストップさせる。各ピリオド間は15分30秒(テレビ中継がある場合は17分)のインターミッションがある。
 


3.延長戦 (OT・オーバータイム)


 同点で第3ピリオドが終了した場合に行なわれる。時間は5分間。先に点を入れた方が勝ちとなるサドンデス方式。第3ピリオド終了1分後に開始される。プレーする選手の数は4選手、1ゴールキーパー。


4.シュートアウト


 OTでも勝敗が決まらない場合に行われる。これは、GKに対して選手が1対1で挑むシュートで、各チーム3選手ずつ選出、試合が決定するまで続ける。

 
 ジャン・ブリス(38)
 Photo by Jeff Vinnick/Vancouver Canucks


5.ポイント


 1勝につき2ポイント、OTで負けた場合は1ポイント、負けは0ポイントが加算される。


6.審判


 レフリー2人、ラインズマン2人で1試合を担当する。


7.反則とペナルティ


 選手が反則を犯した場合、その行為に対しペナルティが課せられる。主なペナルティの種類には、2分間のプレー停止となるマイナーペナルティ、5分間のメジャーペナルティ、10分間のミスコンダクトペナルティ、即退場となるマッチペナルティがある。反則とペナルティの種類は審判が判断する。プレー停止となった選手はその間ペナルティボックスといわれる場所で時間が過ぎるのを待たなくてはならない。当然その間相手チームは選手が一人多い状態でプレーできて有利となる。

 反則の種類は多く、なかなか全てを覚えると言うことはできないが、試合を見ているうちによくある反則は自然と分かるようになる。

主な反則行為
フッキング(相手選手をスティックで引っかける)
スラッシング(スティックで相手選手をはたく)
ハイスティックス(相手選手の肩より上に振り上げたスティックで傷つけること)
エルボイング(肘を突き出し相手選手にダメージを与える行為)
 この他にも、ホールディング、ラッフィング、インターフェアレンスなどがある。



そして、なんと言っても反則の華(?)いや試合の華となるのが、ファイティング。これにはかなり詳細なルールがあるが、ある選手が喧嘩をするぞと敵対する選手に対してグローブを氷に叩きつけた瞬間がファイティング開始のゴング。審判が制止するまで他の選手は近づくことはできない。終わった瞬間に、喧嘩に敬意を表すかのように他の選手は氷やリンクの壁をスティックで叩く。観客は大いに盛り上がる。このファイティングには、以前にやられたチームにやり返すということもあるが、選手やチームの士気を高める意味もあったりする。


8.アイスリンク


 アイスリンクの大きさは横200フィート、縦85フィートである。中央の赤い線をセンターライン、その両横にある青い線をブルーライン、ゴールポストの前に引かれている赤い線をゴールラインという。ブルーラインから自チームのGKがいるサイドがディフェンシングゾーン、反対がアタッキングゾーン、中央がニュートラルゾーン。


9.オフサイド


 アタッキングゾーンに入っていく時、パックより先にスケートがブルーラインを越えてしまう反則。この場合はニュートラルゾーンでフェイスオフが行なわれる。アタッキングゾーンで攻撃中にパックがブルーラインから外に出てしまうと攻撃側の選手は全員一度、アタッキングゾーンからでなければならない。


10.アイシング


 センターラインよりディフェンシングゾーン側からアタッキングゾーンに向けてパックを放った場合に、そのパックがどの選手にも触れずに相手チームのゴールラインを越えるとアイシングとみなされる。この場合はディフェンシングゾーンのネット前サークルのフェイスオフで試合が再開される。


 この他にもまだまだ細かいルールがたくさんあるが、まずはGMプレースに足を運び、「氷上の格闘技」といわれる迫力あるゲームの臨場感を体験してみる。そうするとホッケーの面白さが分かり、ますます詳しく知りたくなって、知れば知るほどホッケーを見るポイントが変わって、さらに試合が面白くなるという、ホッケー観戦の正のスパイラルにはまってしまうのである。

 テレビでの中継は解説者が画面を使い何度も同じプレーの説明をしてくれるので、ルールを知るにはいい方法である。ホッケー王国カナダで、本場のホッケーを思う存分楽しんでホッケー通を自負しよう。次回は今年から変更になったルールとスコアシートの解説。

(取材 三島直美)


ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)

 通称NHLと呼ばれるナショナル・ホッケー・リーグは全30チームが2コンファレンスに分かれ、さらに1コンファレンスが3つのディビジョンに分かれている。試合はコンファレンスの別に関係なく対戦が組まれているが、同ディビジョン内の対戦数が最も多い。レギュラーシーズンは10月から4月上旬まで全82試合。

 さらに詳しくNHLやルールはNHLホームページへ。全試合結果、ニュース、各チームや選手へのリンクサイトなど充実した内容となっている。
NHLウェブサイト:www.nhl.com/

西コンファレンス
東コンファレンス
ノースウエスト・ディビジョン アトランティック・ディビジョン

カルガリー・フレームス*
コロラド・アバランチ
エドモントン・オイラーズ*
ミネソタ・ワイルド
バンクーバー・カナックス*

ニュージャージー・デビルズ
ニューヨーク・アイランダーズ
ニューヨーク・レンジャーズ
フィラデルフィア・フライヤーズ
ピッツバーグ・ペンギンズ
セントラル・ディビジョン ノースイースト・ディビジョン
シカゴ・ブラックホークス
コロンバス・ブルージャケッツ
デトロイト・レッドウィングス
ナッシュビル・プレデターズ
セントルイス・ブルーズ
ボストン・ブルーインズ
バッファロー・セイバーズ
モントリオール・カナディアンズ*
オタワ・セネターズ*
トロント・メープルリーフス*
パシフィック・ディビジョン サウスイースト・ディビジョン
アナハイム・マイティダックス
ダラス・スターズ
ロサンジェルス・キングス
フィニックス・コヨーテズ
サンノゼ・シャークス
アトランタ・スラッシャーズ
キャロライナ・ハリケーンズ
フロリダ・パンサーズ
タンパベイ・ライトニング
ワシントン・キャピタルズ

* はカナダのチーム

 


GMプレースでの開幕戦で戦ったシャークスは、カリフォルニア州の南、サンノゼに本拠地を置く同じ西コンファレンスチーム。プレーオフをかけて激しい戦いが繰り広げられる
Photo by Jeff Vinnick/Vancouver Canucks