今回フェスティバル・バンクーバーに日本から参加する「東京アンサンブル」は主に日本人の若手トップクラス音楽家からなる室内管弦楽団。
20人前後のソリスト、室内楽奏者、オーケストラの団員そして才能豊かな学生の集団。ウィーンで音楽の教育を受け、現在バイオリニストそして指揮者として国際的に活躍する「東京アンサンブル」の服部譲二氏に話を伺った。
■バイオリンを、そして指揮を始めたきっかけ
子供の頃バイオリンを始める前はピアノを習っていたのですが、バイオリンのほうが友達に聞かせるために持ち運びができるので、バイオリンを始めました!
指揮に関しては、たとえばダンサーが振付けをやりたくなったり、俳優が映画監督をやりたくなったりするのと似ていると思います。音楽家で人と一緒に演奏をする上で全体のバランスなどに強い関心がある人は、指揮者になる潜在能力を持っているように思います。
■東京アンサンブルとは
東京アンサンブルは、正しくは「室内オーケストラ」です。室内オーケストラというのは、大編成のオーケストラにくらべると、音量や迫力では勝負できないので、もっと繊細でデリケートな音楽作りを強調することになります。そうしたなかで、いわゆる純粋な室内楽(たとえば今回演奏するモーツァルトやボッケリーニの五重奏曲など)も演奏会に取り入れています。したがって、われわれのことを小さなオーケストラではなく、とっても大きな室内楽グループだと思ってほしいですね。
外国に定期的に招かれるためには、それだけアンサンブルのクオリティを保つ必要があるので、そのことはつねに目標にして活動しています。
■モーツァルトの魅力
モーツァルトの音楽は、よく軽く楽しいだけの音楽だと誤解する人がいますが、彼の時代の中ではもっともドラマティックな音楽だと思います。モーツァルトのメインの仕事はオペラの作曲であり、いわば現代の映画音楽のように、それぞれの場面の感情に合わせた音楽を書くことでした。そういう意味で、ドラマティックな要素がモーツァルトの器楽曲にも出ていて、あらゆる感情を表現した、緊迫感のある音楽だと思います。
■20世紀以降の音楽について
東京アンサンブルは20世紀以降の音楽にも興味を持っています。われわれのような小さな室内オーケストラの場合、
19 世紀のロマン派のレパートリーが少ないので、今回のシェーンベルクやショスタコービッチのような 20世紀の作品をよく取り上げることになります。ただ私個人は、シェーンベルクなどでも無調の作品にはあまり関心がないので、調性音楽が中心になりますが。
■今回演奏予定の服部氏と東京アンサンブルのために 作曲された團伊玖磨氏による「黒と黄」について
これはソロ・ヴァイオリンとカルテットの5人のための曲で、東京アンサンブルのユニフォーム(衣装)のテーマカラーである黒と黄色に合わせて、アンサンブルのデビュー公演のときに團さんに書いていただいた作品です。もっとも暗い「黒」と、沖縄の民族音楽を取り入れた明るい「黄」という、2つのセクションのコントラストのはっきりした作品となっています。
■バンクーバーを訪れるにあたり
私自身は、昔一度バンクーバーを訪れたことはありますが、東京アンサンブルとしてはもちろん初めてです。夏のバンクーバーがいかにすばらしいかをうかがっているので、今回一週間以上も滞在できるのをたいへん楽しみにしています。また、バンクーバーの日本人コミュニティーとの交流も楽しみにしています。
一般にクラシック音楽は真面目とか、上等とか上品というイメージがあるのですが、とくにわれわれのアンサンブルはそうした偏見を打ち崩すために、お客さまとのコミュニケーションとか、即興性とか、ドラマティックな音楽作りとか、ユーモアなどいろいろな方法を使って、とにかく活気のある
livelyな演奏をすることを目標にしています。ぜひ気軽に聴きにいらしてください。
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