MAPLE 2006

2006年4月13日 第16号 掲載
 
自然の尊さを再発見! 
デンマン島・ホーンビー島


 ジョージア海峡の北西に位置するデンマン島とホーンビー島。アーティストや自然を愛する人々が移り住み、独特のコミュニティーを作っているという。フェリーを乗り継いで行くため、週末に出かけるには、あまりにも急ぎ足になってしまう。ここはひとつ、最低3泊から1週間滞在して、ほんの少しだけ、島での暮らしに触れてみたい。

(取材 ルイーズ阿久沢)

   


  

 り             しよう




 デンマン・ビリッジ
 長さ19キロ、幅5キロの細長いデンマン島。坂を上ると、ビレッジと呼ばれる一角に到着。白と緑のペンキで塗られたゼネラルストアーは、食料品や酒類を扱う雑貨店。簡単な食事も出来る。向かい側には金物屋と、島に住むアーティストによる作品も置かれた本屋が一軒。
 辺りを見回しても、レストランやパブ、観光客向けの土産物屋といったものがない。道端で、島の住人らしき人がふたり、雨に濡れながらも、長い間立ち話をしていた。ここでは急ぐ人の姿が見られない。 

〜島に住むアーティスト達〜
 道路を走っていくと、大きな木彫りの彫刻が立っていた。島には多くのアーティスト達が住んでいる。民家に続く私道の入口には「ギャラリー」や「陶器」の手書き看板がかけられている。道路脇に広がる酪農場。家庭菜園など、自給自足の生活も伺える。島の人口は約1200人。何日も人に会わずに暮らす人がいてもおかしくない程、森林の奥地にぽつんと建っている民家もあった。


アーティストの作品も置かれた本屋


島のアーティストによる彫刻


 ボイル・ポイント州立公園
 島では、自然や野生動物保存の会が活動を続けている。島の最南端まで、森林の中を散策してみよう。木々の間の細長い、ゆるやかな上がり道を登っていく。すれ違う人の姿もない。あるのは自然だけだ。雨に濡れた葉や草は、それぞれの緑を鮮やかに放っている。何百年もそびえ立っているであろうダグラスもみ。なんだか木と木が話をしているような気配さえ感じる。草むらの向こうに動いた影は鹿。頂点からは、灯台のある小さなクローム島が見下ろせる。波間にはアシカの泳ぐ姿が見え隠れ、空高く、鷲が飛んでいる。自分がどこから来て、どの時代に住んでいるのかも忘れてしまいそうな、不思議な錯覚にとらわれる。




デンマン島から臨むバンクーバー島

ゼネラルストアー&カフェ
 


自然の中にも便利さが共存
 ホーンビー島へは、一度デンマン島でフェリーを降り、車で島を横切った後、別のフェリーで10分。待ち時間も入れると、バンクーバーからホーンビー島までは、約5時間かかる。人口約900人。デンマン島より遠く、人口も少ないのに、こちらにはパブやレストランがあるのは、観光客が多いという事なのだろうか。島の中心地には、生活共同組合のスーパーマーケットと銀行。そのまわりに、カフェやブティック、貸し自転車屋などが軒を連ねている。島の生活に触れたいと思いつつも、こうしたお店を見てほっとしてしまうのは、都会人の悲しい性(さが)だろうか。

長く続く白浜が美しい
 島にはたくさんのハイキング・トレイルがある。カヌー、カヤックやダイビングも可能。海岸を歩くと、海藻や貝殻と共に、たくさんの牡蠣の殻を見つけた。

 海水浴や砂遊びには、トリビューン・ベイ、ウェーリング・ステーション・ベイ。長く続く白浜が魅力だ。ハマグリを掘る人の姿もあった。1週間単位で借りられるコテージも多く、海を見下ろせるレストランも程近い。この島にリピーターの観光客が多いのは、そんな便利さが理由なのかもしれない。


長く続く白浜


リサイクル25年の歴史
 ホーンビー島でリサイクル活動が始まったのは、25年程前。まだリサイクルの風潮が少なかった時代から、この島の人々はモノや容器、服などなんでも再利用してきた。コミュニティーが一体となり、たい肥を作り、その土からまた野菜や果物が育つ。週に3日程、リサイクルの広場がオープン。物を持ち寄るだけでなく、人に会い、会話を楽しむ社交の場にもなっている。



ギャラリーとクラフトの店
 


行き方


 ホーシュー・ベイからナナイモまで、フェリーで1時間35分。下船後、北に向かって約1時間のドライブ。アイランド・ハイウェイ19号よりも、19A号を走って、海岸線の景色を楽しんでいきたい。バックリーベイからデンマン島までは1時間毎にフェリーが出発。思わず、船を待つ人々を観察してしまう。島にはアーティストが多く住み、一風変わった人も多いとか(?)。などと考えている間に、約10分でデンマン島に降り立った。
 デンマン、ホーンビーのどちらの島にも、公共の交通機関はない。道路は狭く、曲がりくねっているので、車も自転車もハイカーも、共に注意が必要だ。



デンマン島へのフェリー
 

BCフェリー:トールフリー 1-888-223-3779 www.bcferries.com

デンマン島: www.denmanisland.com 

ホーンビー島: http://hornbyisland.net

* 野生動物観察用に、双眼鏡があると便利。
* 島では水が貴重な存在。節水に協力しよう。
* 海岸での牡蠣やハマグリ拾いには、ライセンスが必要。
* 島での宿泊は、朝食付き民宿B&Bや貸しコテージ、もしくはキャンプ。デンマン島滞在には、食料持込みが無難だ。


デンマン島(島より)とホーンビー島

旅を終えて
 ゆっくりする事が目的だった今回の旅行。電話やインターネットはもとより、テレビやラジオもつけずに過ごした。雨に降られたデンマン島では、窓ガラスごしに、さまざまな海の様子を眺めた。深緑に映る穏やかな海面、激しい雨と風に吹かれてしぶきを上げる波、朝日に照らされてキラキラ輝く瞬間など、大自然は飽きる事なく楽しませてくれた。それぞれの想いで都会の生活を捨て、島に移住してきた人々。彼等は、便利さよりも貴重なものを、この島で見つけたのかもしれない。