SPECIAL 2005

2005年12月1日 第49号 掲載



JWBA講演会 「あなたの中の癒す力、生きる力」
ーより良く生きるためにー


講演する原田先生

筋肉反射を使った「ボディートーク」の方法でエネルギーのバランスをみる

  今、西洋医学以外の医療「代替医療」と、そしてそれらを統合しようとする「統合医療」が大きく注目され、マスコミでも頻繁にとりあげられるようになってきた。
 そんな中、11月17日にリステルバンクーバーホテルで開催されたのが、「JWBA」(日系女性起業家協会)主催で行われた心理学者・原田直子先生の講演会だった。原田先生は東京医科歯科大学の医学部で博士号を取得し、現在はBC州クリ二カル・カウンセラーで日本統合医療学会実行委員を務めている。

 講演は「自然治癒力とは何か」「自然治癒力を高めるにはどうしたらいいか」「科学と医学と、心理学とスピリチュアルな世界はどのように統合していけばよいのか」などにスポットを当て、心身のストレスを軽くする簡単な実習を交えながらの内容となった。
 参加者には若い女性の姿も目立ち関心の高さが感じられた。会場には心身をリラックスし学習効果を高めるため水が用意され、自由に飲める様になっていたのもユニークだった。

■代替医療に興味を抱いたきっかけ
 心理学者として日本で活躍していた原田先生の転機となったのが現在の「日本統合医療学会」の理事長渥美和彦博士との出会いだったという。

 長年、精神分裂症の研究をしてきた原田先生が「病気の研究でなく、 治るため健康になるための研究はできないのだろうか」とその意義に悩んでいた頃に、渥美博士に誘われ参加した「国際代替医療学会」(ハワイ島コハラ・コーストで開催)も大きな刺激となった。

 同学会は何もかもが通常とは異なっていたという。まず朝食前の早朝、ハワイ島のビーチでヨガ・気功・太極拳などの実習を行い、それから講演や分科会が始まるという毎日だった。また、このような学術的な学会では一般的に、基調講演は学会の”権威“とされる大学教授が行うものだそうだが、同学会では伝説のハワイアン・シャーマンのパパ・ヘンリーが招待されるというユニークなものだったそうだ。彼は学会開催当時94歳。世界中から訪れる難病患者を治療していることで、アメリカの医学会で注目を浴び、医学会のドクターたちがみんないつかは会ってみたいと願っていた人だった。

 このパパ・ヘンリーと原田先生は強烈な出会いをした。

 彼の講演終了後、スタンデイング・オベーションの中、立ち去りかけたパパ・ヘンリーが、大勢の参加者にまぎれて通路に立っていた原田先生を見るなり真直ぐ近づいてきて手を握ったという。それは、まるでマシュマロのような感触の赤ちゃんのような手だったと原田先生。 

 この出会いと以前からの疑問で、原田先生はさらに代替医療に深く関心を寄せるようになった。その後、精神分裂病の研究でアメリカへ渡る予定をキャンセルし、それまでも続けていたカナダでの心理学と神経生理学、中国医学を基礎においた「スリー・イン・ワン」と「ボディー・トーク」の研修でInternational Certified Practitionerの資格をとり、人生の方向をぐっと転換。ついには2002年カナダに移民し、バンクーバーにカウンセリング・オフィスを開設。新しい心理療法を駆使し治療にあたるまでになった。

■自然治癒力を高めるところにアプローチする「統合医療」
 次に原田先生は医療の歴史を簡単にレクチャー。まず、19世紀になって登場した消毒、手術、輸血、麻酔によって急速な発展をとげた西洋医学と、それより以前古代より、ヨーロッパの国々以外にあった代替医療(中国医学、インドのアーユルヴェーダー、チベット医学など)の両方を活用しようとする動きが「統合医療」であることを説明。

  西洋医学が外科手術など救急治療に優れ、症状に対応しようとするのに対し「代替医療」は、本人の自然治癒力を高める、予防医学に力を発揮することを語った。

 「西洋医学では主として『身体=物質=見えるもの』を扱い、代替医療では『精神と身体の関係= 非物質=見えないもの』、簡単にいえばエネルギーを扱っています。身体が病気になる以前に、実はどこかエネルギーのアンバランスがある、と考えるのが代替医療なのです」と原田先生。

■エネルギーバランスを整えて未病・チャクラの「エネルギーワーク」
 そしてエネルギーバランスを整えて自然治癒力を回復する「エネルギーワーク」を紹介。それは、人間の背骨に沿って7つのエネルギーのもとがあるとされるインドのアーユルヴェーダの考え方に沿ったもの(図1を参照)。



 7つのポイントにはそれぞの象徴するエネルギーがあり、順番に挙げていくと、肛門あたりにある1番「Root」は生命力(私はここにいる)、2番へその下、生殖器にある「Sexual」は性的なことや楽しみに関すること(人生は楽しい)、3番へその上は「Solar Plexus」は内臓、行動力に関係しているという(私の望むことはなんでも叶う)。そして4番「Heart」は心臓、愛(私は愛し愛される価値がある)、5番はのど・甲状腺「Throat」(私は真実を聞き、話すことができる)、6番は目と目の間の第3の目といわれ、「Brow」(私はすべてをはっきり見ることができる)、7番は頭のてっぺんで「Crown」、Spirituarityに気づくところ(私は内面の叡智に導かれている)。

 原田先生は実際に簡単な実習を行った。ボランティアに前へ出てもらい先生が筋肉反射を使った「ボディートーク」の方法で、7つのどこのエネルギーが 一番落ちているかをチェック。それから会場全体でエネルギーのバランスを整えるチャクラ・エネルギーの実習(これは右手と左手でそれぞれ、1番と7番、2番と6番、3番と4番、そして最後は両手で5番をタッチしながら、ゆっくり深呼吸)を行った。

 この簡単な実習だけで、会場全体の空気が静まっていくのがわかった。この後で、再び筋反射テストによって、ボランティアそれぞれの人の身体のエネルギーバランスが整ったかどうかを確認。ボランティアのうちの一人で、5番の「のど」のエネルギーが落ちていた人は、「いつもよくしゃべっているけど、実は本当のことはあまり言っていない」という自分の問題に気づき 、 驚いた様子だった。

 この例のように身体のエネルギーのアンバランスと、精神的な問題とは深く関連していることがわかると原田先生。

■自分でコントロールできる幸福感
 先生は次に、赤ちゃんがへびの上で寝ている写真をスライドで提示。「なぜこの赤ちゃんはへびを怖がっていないのでしょうか」という問いを投げかけた。それは赤ちゃんがまだへびを「怖い」ものだと認識していないからなのだが、「怖い」という感情さえも学習して覚えるものだということが研究で分かってきたという。

 例えば、「怖い」という恐怖感は自分の体験だけからだけでなく、親からも学び、それが何度も何度もくりかえされていくと、恐怖感という記憶は脳の奥の扁桃体というところに溜め込まれていくという。

 次に、日本の滝行中の修験者と、チベットの僧侶の写真をスライドで示した。 彼等は厳しい修行をしているにも関わらず幸福感を感じている。それは2人の脳の前頭葉左側が活発に働いていることで示されるそうだ。

 「ネガティブな記憶を溜め込まないように、そして前頭葉の左側を活発にするトレーニングをすれば、どんな人でもある程度は前向きにポジティブに考えていくことができます。物事をどう思うか考えるか、自分でコントロール可能になるでしょう。エネルギーワークを毎日やることで日々のネガティブな記憶・体験を流すことができます。限界までストレスを溜め込む前に、自分でこころのストレスを解消していくことは自分の精神的健康を保っていくためにとても重要なことです」と原田先生。
 
■ストレスを解消する有効な技法
 さらに、心のストレスを解消するために有効な「F/Oホールディング」を実習。頭がストレスでいっぱいの時には右脳と左脳は統合的に機能していないという。この技法は両脳が統合的に働き出すためにとても有効だそうだ。

 その具体的な方法はまず片方の手を額に、もう一方の手で後頭部をおおうようにし、目を閉じ鼻から息を吸い口から吐く。その時に頭に自分がストレスと感じたものを思い浮かべ、そうしたネガティブな感情を深呼吸と同時にすっかり吐き出してしまうイメージでその呼吸を8回ほど行う。吐き出す時の具体的なイメージとしては、後頭部から、首、背骨、尾底骨、さらに座っている椅子から地球の底まで一本の太いパイプがずっとずっと深くつながっていると想像し、一切のネガ ティブな感情を深呼吸と一緒にその太いパイプを通して地球の底の底まで勢いよ く全部吐き出してしまうように行うのがポイント。

■自ら成長していくことも大切
 最後に原田先生は、「1998年にWHOが健康の定義を改定し、『Spiritual』という概念を入れました。『健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に充分満足できる力動的な状態をいい、単に疾病のないことではない』のです。『病気の症状がないから健康』とする考え方を越えていかなければならないと思います。身体的にも精神的にも健康な状態が得られたとしたら、その上にさらにその自分がこの世で生きていく意味は何か、自分の使命は何なのかを深く考えていくスピリチュアルなレベルの目覚めと成長がなければ本当の健康ではないでしょう」と語った。

 そして、「身体・精神・霊(スピリット)」を統合した健康と成長を促すいくつかの方法を紹介。添加物・農薬など有害物質を避ける食事、運動、安眠の工夫、今回紹介したような心のストレス解消の方法に加え、霊的成長として、ネガティブで有害なエネルギーから自分を守ることも非常に重要だと強調。それには時にニュース断食(情報を断つ)、自然にふれる、そして瞑想も効果的だという。

 また、精神的・霊的に高い人の伝記を読む、会うと幸せな気分にさせてくれる人に会う、芸術作品に接する・良い音楽を聴くなどがあった。

 原田先生は、「身体には治る力があります。なぜなら身体には『治癒系』(ヒーリングシステム)が備わっているから。自分の中の治癒系の活動を高めるために、今日から自分ができることを始めましょう」と締めくくった。

 原田先生によると、こうしたストレスの解消を実習するための少人数のグループセミナーを来年から始める予定があるとのこと。詳細は604ー683ー8330まで。

(取材 吉川友恵)

 この講演会は、教育を目的として行われたもので特定の個人の治療を目的として行われたものではありません。ここで得られた情報についての応用は、個人の責任に帰すものとします。ここで得られた情報を個人的に活用される場合はかかりつけのファミリードクターあるいは、医療専門家に御相談下さい。