SPECIAL 2005

2005年10月27日 第44号 掲載



頑張れ、コミュニティー!
ワクワク、ドキドキが大河内スタイル


撮影:今泉慶子

「私は派手で威張るし欠点だらけのタイプです。メカに弱く英語も今だに苦手で数字にも弱いけれど、うまくしたもので幹事役が皆さん優秀なので、私は掛け声だけかけています」  撮影:今泉慶子


大河内さんが、それこそ「影(鹿毛)を慕う」、コミュニティボランティア活動の先駆者。現在、移住者の会の副会長鹿毛達雄氏。

  10月15日に移住者の会が開催した大河内南穂子さんの講演会には、コミュニティリーダーの一人でもあり、50名近くが集まり、盛況となった。講演の後には、浮田知義さんの津軽三味線の演奏、そして有志が持ち寄った和菓子やクッキーなどをつまみながら懇親の機会も設けられ、出席者は和やかに過ごした。

● 「最近、日系コミュニティに元気がないと思って」
 10月15日、ナショナル日系ヘリテージセンターで「移住者の会」が主催した特別講演会のこと。「すみれ会」をはじめ、これまで様々な日系人団体に関わってきたスピーカーの大河内南穂子さんは、「それには理由があると思うのです」と分析する。

 大河内さんがカナダに移住したのは1970年。身内も知人もなく、「移住者の会」や「隣組」は心強い味方、精神的に随分お世話になったと感謝を隠さない。当時は英語を話すことのできない移住者も多かったようで、日系人にとっての心の拠りどころだったと強調する。

 一方、最近では国際結婚が増加し、言葉、つまり英語ができる移住者がさらに増えてきた。様々な技術を持った人も多い。そのため、日系人の会の活動も変化していて、楽しい活動である必要性が出てきているという考えだ。

 「元気に活動している団体は、どこも楽しいイベント運営を行っています」日系人向けの電話帳など日本語での情報が一層、充実してきた今、「楽しくないと、参加する人も増えないのでは」と、イベント企画を行うオーガナイザーに問いかける。参加者やサポーター、そしてオーガナイザーも含めて、関係する全ての人たちが「ワクワク、ドキドキ」することのできるイベントづくりを勧める。そのためにも、オーガナイザー側は常にアンテナを伸ばして、珍しい話や興味深いスピーカーがいたら接近。「この人はステキだなと思ったら、是非、協力していただけるようにしましょう」

● オーガナイザーに求めること
 また、活動が盛んな会にするために、「いっそのこと初めての参加者は無料にしてあげませんか」と提案を出した。「無料で参加する人ばかり増えたら困りますが」例えば、一年の後半、数回だけ無料で出席できるようにするなど、ある程度コントロールする必要はあるが、参加してもらうことが第一歩だと訴える。参加の勧めから根気よく頑張っていこうというのだ。

 さらに、会の活性化には「人」が重要だとして、人脈を増やし、優れた人材は宝であるから、壊さないように守ってあげたいと続ける。「松下幸之助も『物を作る前に人をつくる。いい人材からしか、いい物ができないからだ』と『物を作る前に人を作る』ことが大切だと言っています」

 人材は貴重だ。日系テレビICASを例に、「ICASには随分たくさんのボランティアの人がいます。そんなにたくさんの人がボランティアをしようとするICASには魅力があるに違いないのです」と、ボランティアを上手く活かして欲しいとオーガナイザー側に求めた。

 サポーターの適材適所を見出すのも大切だ。「リーダーには向き、不向きがあるので、できるだけその人にあった役割を見つけてあげましょう」人材観察も大切な仕事だ。

 「でも、役割分担を時々変えてあげてください。それで知らなかった長所が見えてくることもありますから」抜擢することで、チャンスを与える。そして「喝を入れる」という。

 「喝を入れると言っても、刺激を与えればいいのです」そして自己開発の場を、機会を与える。「ボランティアに参加することで、プラスになり、その人の顔が輝いてくるようにしてあげなくては」

 そして、「サポーターをねぎらってあげてください」と尤もではあるが、実行は難しいことを再確認。「サポーターたちの名前を覚えてあげてください。できるだけフルネームで」名前がなかなか覚えられないという人には「痛い」言葉だが、「何事も努力です」という。

 「イベント以外でも集まる機会、懇親の場を作ることで、ボランティアの人たちのつながりが強まり、イベントを楽しみにできると思います」会う機会を増やすことで、お互いの理解を深めることができる。大河内さん自身もポットラックパーティなどを開いて、人間味のあるつながりを重視しているそうだ。

 アフターケアも大切にしている。「スピーカー、ボランティアともに、終わったらちゃんと言葉をかけてあげてください。これはビジネスにも言えることです」お願いする時よりも後の感謝の気持ちが肝心だという。

● ボランティアの勧め

 さらに、日系人ひとりひとりに対しても、どんどんボランティア活動に参加して欲しいと呼びかけた。「あの団体はちょっと…」と尻込みしている人に一言。「中にいる苦労も知らないで、外野席からは何も言えないです」各団体に対して運営など、内部で関っていないのに、否定的なコメントをする人がいるが、まずその組織に入ることで、見えていなかった苦労などがわかる。

 どんどんボランティアとして活動に参加して欲しいということだが、特に夫婦での参加も勧める。「私も亡くなった主人と一緒にボランティアをしていました」と少し、しんみりする場面も。すぐ後に「お子さんがいらっしゃる方がボランティアに励んでいると、子どもたちに良い影響を与えることができます」と明るく語った。子どもは親の背中を見て育つというわけだ。

 大河内さんは標語、格言の類が大好きだとか。持参したカレンダーの「日々の言葉」の中から、サポーター側に特に求める3つの名言を紹介した。
土光敏夫 「人間の能力には大きな差はない。あるとすればそれは根性の差である」
石川 洋 「出来ない事と、しない事を混同してはならない」
金栗四三 「人並み以上の体力、最後まで駈け通す気力、どんなに苦しくとも訓練する努力が必要」

 「私は何でも突進してしまいます。でも、突進して行った先に何かがあって、それを見つけるのが楽しみです」まず、行動に移そうというのが大河内流だ。他の人たちにも、自分の可能性にチャレンジして自己開発の場を見つけるようにとエールを送る。

 「オーガナイザー側、サポーター側の両方でもっと日系コミュニティを盛り上げていきましょう!ワークショップの機会を作って試みてみたら素晴らしいですね」


<出席者の皆さんにコメントをいただいた。>
Kさん:「大河内さんは女性の会をオーガナイズされることが多いので、今後は男性も含めた会での活動を!」冗談まじりで「男性は嫌いですか?」
大河内さん本人は、企友会でもボランティアしてきたし、女性の会ばかりじゃないですよと反論。「私、男性は尊敬していますし、素敵な方、大勢いますよ」
Mさん:ボランティアが日系コミュニティに必要というのは、まさしくそのとおりです。でもお金の問題など、なかなか一筋縄ではいきません。お金と無関係で活動できるような人がもっと増えてくれるといいですね。
Sさん:自分の心の中を全てさらけ出してくれて、良い講演だったと思います。大河内さんは色んな活動に関わっていますが、この人柄があったからこそ、ここまでできたのでしょうね。僕もKさんと同意見。今後は男性の会をやって欲しいです!
Rさん:大河内さんの行動力、決断力にはいつも感心していますが、今回の話で見落とし勝ちな「自分も努力することが必要」ということがよくわかりました。日系人の会に、子どもたちを関わらせたいと思っても、嫌だろうからと声もかけなかったのですが、親から導いてみることから始めたいですね。やってくれるかもしれないし…。
Kさん:大河内さんは、30年間、こうやって色んな会を引っ張ってきた人ですよね。今回、こうやってお話を伺って改めて本当に気配りのできる人だと感じました。言葉一つ一つちゃんと選んで喋っていますよね。

(取材 西川桂子)

講演会を主催したのは
グレーター・バンクーバー移住者の会
The Greater Vancouver Japanese Immigrants' Association
#245-6688 Southoaks Crescent,
Burnaby, BC, Canada, V5E 4M7
Tel: 604-777-7000

 バンクーバー大都市圏で活動する日本からの移住者の代表組織。
JCCAの「月報(bulletin)」と合冊して毎月「会報」を発行するとともに、精神衛生プログラムや「カナダの常識」「日本語による法律講習会」などを発行。