SPECIAL 2005

2005年10月20日 第43号 掲載



日加商工会議所、バーナビー商工会議所
エマーソン大臣を迎えて夕食会を共催


写真右からバーナビー観光局のMatthew Coyne事務局長、バーナビー商工会議所のBala Naidoo会長とDarlene Gering事務局長、David Emerson産業大臣と奥様のトリサさん, 多賀敏行総領事、Pacific Western Brewing小松和子社長、バンクーバー港湾局George Adams局長、カナダ三菱商事・松浦史一社長
写真撮影:今泉慶子(写真家、日加商工会理事)

講演中のDavid Emerson産業大臣
写真撮影:今泉慶子(写真家、日加商工会理事)


講演中のカナダ三菱商事 松浦史一社長
写真撮影:今泉慶子(写真家、日加商工会理事)

  10 月12日、ダウンタウンのターミナルシティクラブで、連邦政府のエマーソン産業大臣、そしてカナダ三菱商事の松浦史一社長をスピーカーに迎えて、ビジネス交換夕食会が開催された。共催したのは日加商工会議所とバーナビー商工会議所で、両会議所のメンバーなど約260名近くが集まる盛況の会となった。

 今回の交換夕食会は、日加商工会議所とバーナビー商工会議所のジョイントメンバーシップを記念したものだ。両者が横のつながりを深めていくことを目指して、両会議所が連携したこともあり、ディナー開始前には、参加したビジネスリーダーの間で、積極的なネットワーキング活動も行われた。
 冒頭に挨拶をした日加商工会議所前会長でもある、パシフィック・ウェスタン・ブリューイングの小松和子社長は、多文化社会のカナダでビジネスを行う上で、他の文化を知ることの重要性を訴え、お互いを知ることでゲートウェイを作ることができると語った。

日加関係の進展に期待

 特別講演は、日本をはじめとするアジア太平洋諸国と、カナダ政府との貿易振興で中心的な役割を果たしているエマーソン大臣から始まった。
 大臣はまず、日系人コミュニティとカナダのビジネスコミュニティが手を結んだということで、その意義について素晴らしいことだと述べた。このところ、中国の話題が増えている。しかし、日加関係は昨年、修好75周年を迎え、長い歴史を誇るということに注目して、今後もこのような関係をますます広げて行きたいと強調した。

 エマーソン大臣が日加関係の歴史を示すとして挙げたのは、カナダ社会で活躍する日系人についてだ。遺伝学者で環境保護活動家でもあるデービッド・スズキ、科学者のアイリーン・ウチダ、カナダを代表する建築家レイモンド・モリヤマなど、数多くの日系カナダ人が様々な分野で活躍してきたし、現在も活躍している。

 またバーナビーとの関係について、バーナビー市にはハイテク企業が多数ある点、そして日本はハイテク産業で世界に名だたる国であることを指摘。バーナビーと日加商工会議所の組み合わせは素晴らしいことだと、特に今回のジョイントメンバーシップにも触れて今後への期待を示した。

 続いて、エマーソン大臣は経済関係についても日本が重要なパートナーであるという。中国は人口の多い大きな国だ。そのため、貿易の可能性という面で注目を集めているが、GDPでみると、中国、インドを含めたアジア諸国全てを合わせてもまだ日本のほうが大きいというほど日本経済は巨大だ。さらに例えば、BC州の経済で重要な位置を占める林産業に関して、BC州からの木材輸出先としては、中国と日本を比較すると、日本のほうがはるかに大きい。BC州にとって、カナダにとって日本は重要なパートナーであると繰り返した。

 一方、ここ数年、日加関係で根本的な部分で変化が見られているとの説明があった。これまでのモノの輸出入から投資へと移行しているそうだ。日本からの投資はBC州のみではなく、他のカナダの州でも伸びている。今から振り返ると、70年代から80年代にかけての木材や紙パルプの輸出は、今日の日加関係におけるゲートウェイであったということだ。さらにこの投資は日本からカナダだけではなく、カナダから日本への投資率が最近急速にのびている点が挙げられる。つまり両方向で増えていることにも触れた。

 そして、米加針葉樹製材紛争などで問題になっているNAFTAについて、うまく作用していない、欠点を直していく必要があると語った。そのためにも、隣国アメリカは、カナダにとって最大の貿易相手ではあるが、日本を代表とする他の国も見る必要があるとの認識を示した。特に多発テロ事件以来、米国でセキュリティを強化することで、カナダが受けている経済への影響についての懸念も示した。

 最近、「ゲートウェイ」ということばがよく話題にのぼっている。マーティン首相やエマーソン大臣が、今年1月に訪日した際に使われ、ここ6ヵ月程度で一般的になってきたが、エマーソン大臣は、「ゲートウェイ」の概念はもう10年以上前からあるものだと考える。日加両国、特に西部のBC州と日本は、輸出入を行う双方にとって、北米、そしてアジアへのゲートウェイについて、自動車の例を紹介した。北米への日本からの自動車輸出で、カナダは常にゲートウェイとしての役割を果たしてきた。レクサスを日本以外で製造しているのはカナダのみだ。去る6月には、デルタ市にあるトヨタの部品工場の生産能力を拡大し、北米での自動車販売を増やすため、3900万ドルを増資すると発表したという。

 最後に、日本の不況についてだが、そろそろトンネルから抜けようとしている、「陽はまた昇」ろうとしていると、日本経済の再生をバーナビー商工会議所のメンバーたちにもアピール。約10年前、多くのカナダ人が日本を訪れ、日本のビジネスについて学んできたが、この動きが戻ってきている、そして新たに、ダイナミックな、より強い関係を築こうとしていると語った。そして、エマーソン大臣自身が日加関係の強化に向かって応援していきたいと、日系社会にとって心強いメッセージでスピーチを締めくくった。

カナダ人出席者をうならせた総合商社の取り組み
 続いて、日本のビジネス社会を知る上で重要な鍵の一つともいえる総合商社について、カナダ三菱商事の松浦史一社長から紹介があった。

 松浦氏の説明は、世界的にユニークなビジネスモデルである総合商社三菱商事について、カナダ人出席者にもわかりやすいようにスライドを使って行われた。

 まず三菱商事の取り扱う製品やサービスについて、ファーストフードのKFCから飛行機まで、イラストの入った図で実質的に全ての商品を扱う企業だとの話があった。そして、日本国内に の拠点を持ち、グループ企業は全世界で500社余りあるということなど、総合商社としての三菱商事の規模がいかに大きいものか、そして多岐にわたり事業展開しているかを紹介。出席していたカナダ人ビジネスマンからは「SOGO SHOSHA」は大きいと聞いていたが、こんなに大規模なのかと驚きの声も聞かれた。

その他、説明があったことは
 ・機能
 東南アジアでの自動車に関わる活動を例に挙げて、原料や部品調達から、燃料、物流サービス、自動車まで、総合商社が自動車という一つの製品についていかに様々な分野で関わっているか。
 
  ・中国でのビジネス
 カナダでも注目されている中国におけるビジネスについて、三菱商事が北京に持ち株会社を所有し、2004年度(事業年度)は78 億ドルの売り上げがあった。また貿易に欠かせないロジスティック・物流についても、去る9月には日本通運と正式に事業提携を結び、現在では34の都市に107ヵ所の拠点を持ち、輸送網の拡充に努めている。これは中国で急速に物流の需要が高まっているためだ。

 最後にカナダでの事業について、本社をバンクーバーに持つカナダ三菱商事が、パルプ生産のAlpacや鉄鉱石鉱山のIron Ore Company of Canadaをはじめ、様々なカナダの事業に投資を行っていると述べた。その上で、多文化国家のカナダの多様なビジネス環境で、お互いが発展していくためにも、人的協力が大切であるという認識を明らかにするとともに、今回の日加商工会議所とバーナビー商工会議所とのジョイント
メンバーシップについて歓迎。プレゼンテーションを終えた。

(取材 西川桂子)

●多賀敏行在バンクーバー日本国総領事●
 「日本がカナダにとって重要だと、カナダのビジネス界にもよくわかってもらえるスピーチでとても良かったと思います。
 例えば、BC州からの日本への輸出は、BC州の総輸出の12%を占めます。対日輸出は中国への輸出の3倍です。輸入で昨年、初めて中国に抜かれました。それも中国が18%で日本が16%といった僅差のことです。最近、中国、中国と言われることが多いですが、まだまだ日本はカナダやBC州にとって重要な国です。

 エマーソン大臣はCanforの社長を務めていたことから、日本の経済界とのつきあいが長く、日本の重要性を身を持って知っています。奥様とも話をしましたが、日本好きのようで心強いです。日加関係の昔と今の両方にも触れていただいた、素晴らしいスピーチだったと思います」