SPECIAL 2005
2005年9月29日 第40号 掲載
![]() 日本地酒協同組合の渡井清憲さん |
![]() 大和川酒造の佐藤芳伸さん |
![]() 飯沼本家の飯沼喜市郎さん |
![]() 瑞鷹株式会社の吉村謙太郎さん |
日本地酒協同組合が主催する「本物の地酒を蔵元と楽しむ会」が、9月17日、バンクーバーの壱番館レストランで開催された。
日本からは、大和川酒造、飯沼本家、瑞鷹株式会社が蔵元の代表としてバンクーバーを訪れた。軽快なジャズの音色が響く中、集まった人々は大吟醸酒、吟醸酒、純米酒、焼酎と、それらの酒に合わせてつくられたさまざまな料理に舌鼓を打ち、心ゆくまで“日本の秋”を楽しんだ。
日本地酒協同組合と壱番館レストランが企画
日本地酒協同組合は、今から30年前、日本全国の地酒メーカーの有志が集まって、地酒の振興と販売促進を目的に結成。日本だけでなく、海外へ進出し、地酒ブームを生み出している団体である。
バンクーバーでの試飲会は、2001年にフォーシーズンホテルに12名を集めてスタート。「当地の団体と一緒にやってみてはどうか」という小沢俊朗前在バンクーバー日本国総領事のすすめで、翌年からは木曜会と共催で「地酒を楽しむ会」を開催した。また、ジェトロ・バンクーバーの主催で、「地酒の試飲会」も同時に開き、カナダ人のワインコンサルタントや食関係のジャーナリストを招き、地酒とそれに合う料理なども紹介した。今回のイベントは、その第4弾で、日本地酒協同組合と壱番館レストランが企画。日本人だけでなく、カナディアンにも、「日本酒がこんなに美味しいなんて思わなかった」と大好評を博し、早くも次回の会を楽しみにしていると参加者からのメッセージも届いている。
(取材 ミネ・内田・ビイラー)
作り手の顔が見える酒造りがモットー「大和川酒造」
大和川酒造は、「蔵とラーメンの町」として知られる喜多方に、江戸中期の寛政2年(1790)に創業。200年以上にもわたって、新酒が季節になると大きな杉玉「酒ばやし」を昔ながらに掲げて、その伝統の酒造りを守っている老舗である。社長の佐藤芳伸さんは、6代目の日本地酒協同組合の理事長も勤め、海外進出にも非常に意欲的で、バンクーバーだけに限らず、台湾や香港などにも数年前から輸出をはじめた。「最高の中華海鮮料理と日本酒との組み合わせも絶妙ですよ」とにこやかな笑顔で語る佐藤さん。
最近力を注いでいるのは、自分たちの手でつくった米で酒造りを行うこと。田植えの季節には自らも田んぼに出るという。近隣の有機米栽培農家と契約を結び、無農薬、低農薬の酒造好適米「山田錦」を酒造りに使用。仕込みには飯豊山系の伏流水を使っている。
今回の試飲会でのおすすめは、「良志久(らしく)」の大吟醸と吟醸酒。茶室の名前から命名した「らしく」はやんわりと熟した果実の香りと、すっきりした飲み口が特徴で、特に女性に人気が高かったようだ。
ヲ大和川酒造:
〒966−0861 福島県喜多方市字寺町4761 電話:(0241)22−2233(代表)
http://www.yauemon.co.jp/
国際的に愛される蔵元を目指す「飯沼本家」
「訪日外国人を2010年までに、1000万人に倍増させるという目的を掲げた小泉首相の『ビジット・ジャパン・キャンペーン』のおかげで、最近は外国人の方の見学がとても多くなりました」と語るのは、成田空港に一番近い蔵元の「飯沼本家」の社長・飯沼喜市郎さん。創業は元禄年間で300年以上の歴史を誇り、千葉県下最大の清酒出荷量。甲子正宗でお馴染みの蔵元である。北総台地の中程の酒々井町は、酒造りに適した水を豊富に生み出すところから、酒の井伝説にちなむ地名となったらしい。
飯沼さんは、海外で日本の酒を飲んでみて、品質が“劣化”していることに驚いたという。大吟醸や吟醸の場合、低温での保存が必要だが、実際にはなおざりにされているようだ。飯沼さんは酒造りにこだわるだけでなく、そうした輸出の手だてにも細心の注意を払い、旨い酒をワインのように手軽に海外の人たちにも飲んでほしいと語った。
今回の試飲会でのおすすめは、吟醸酒の「吟辛(日本ではひらがなでぎんから)」。ドライですっきりした飲み口は、いろいろな料理に合うと評判だった。
ヲ 飯沼本家
〒285−0914千葉県印旛郡酒々井町馬橋106 電話:(043)496−1111
http://www.iinumahonke.co.jp/main.html
ユニークな蔵元として注目度の高い「瑞鷹(ずいよう)株式会社」
「熊本県の酒は、熊本酵母抜きにしては語れない」といわれるほど、吟醸酒づくりにはかかせないこの酵母を育てたのが、慶応3年(1867)創業の瑞鷹の酒蔵である。大正7年には、この酵母でつくった瑞鷹の酒が全国新酒品評会でトップの座にも輝いている。
瑞鷹はまた、東肥赤酒、「灰持酒(あくもちざけ)」でも近年注目を集めている。「灰持酒」は、酸を中和し保存性を高めるため、もろみを搾る前に「木灰」を入れることが最大の特徴で、高級調味料として有名。「あの元祖料理の鉄人、道場六三郎さんや著名な料理人が、上品な甘みと豊富な旨味、また酒類ではまれな“超アルカリ性”と絶賛したことからブームになったんですよ」と語るのは、瑞鷹の課長の吉村謙太郎さん。
今回のおすすめは、芳醇で、純米らしいきりっとした飲み口の「瑞鷹純米酒」と「一本槍焼酎」。「一本槍」は、厳選した大麦を原料に、阿蘇の伏流水でもろみを仕込み、瑞鷹独自の減圧蒸留で仕上げた薫り高い本格焼酎。この日の肴の一品、“しんじょのレンコン挟み揚げ”にもぴったり。カナディアンにも人気を集めていた。
ヲ瑞鷹株式会社
〒861−4191熊本県川尻4丁目6−67 電話:096−357−9671
http://www.zuiyo.co.jp/zuiyo.html
地酒が 種類以上。ジャズを聴きながら洒落た雰囲気でお酒が飲める「壱番館」
この日、会場を提供した「壱番館」は5月に改装して、すべて一新。赤と黒の大胆なインテリアに、ジャズが流れ、お洒落な空間。それなのに、価格はリーズナブルな居酒屋だ。さつま揚げ、枝豆チーズなどの居酒屋メニューは$3.50〜。寿司類は$1.25〜。「日本のようにいろいろ気軽につまんでもらえるように、タパス感覚のメニューにしてみました」とオーナーのマツバ・ヒロさん。餃子($5.00)、カニクリームコロッケ($5.75)、ほっけ($6.95
)と日本人好みのメニューもうれしい。地酒が50種類以上並んでいるのも壮観だ。日本酒に目がない人なら、一度は行ってみたい店である。
| ●日本酒ミニ知識・ 高品質本意の地酒づくり● |
| 日本酒の種類は、米、米麹、水だけでつくった酒か、それ以外のものを使った酒かに大別される。さらに、その原料の扱い方や造り方の違いによって右記のように分類される。 純米酒: 醸造アルコールや糖類を一切加えず、米と米麹と水だけが原料。(精米歩合の表示が義務づけられている) 吟醸酒: 酒米の外側を削り、米の中心部をじっくりと低温発酵した芳香な香りの酒。(精米歩合60%以下) 大吟醸: 吟醸酒の中でも特に高精白したもの。(精米歩合50%以下) |
| 「ICHIBANKAN SAKE BAR」 770 Thurlow Street Vancouver Tel: 604-682-6262 次回の地酒の会についてのお問い合わせは: 日本地酒協同組合・北米駐在事務所長 渡井清憲さん: 電話・FAX:250-472-6013 kwatai@telus.net |
![]() 旨い酒にはやはり美味しい肴 |