SPECIAL 2005

2005年8月25日 第35号 掲載



日米加吟詠連盟 日本國流詩吟吟舞会
バンクーバー国際大会開催


晩餐会では宗家が音頭をとって祝杯があげられた。写真左より、カナダ國風流詩吟連盟会長・田並國詔氏、米国國風詩吟吟舞連盟会長・末次國音氏、バンクーバー会員・赤木佳風氏、雨宮國風宗家

第1部より、男女混合の合吟

横浜から参加の田村典正君(8)と名麻ちゃん(6)兄妹

 バーナビーの日系ヘリテージセンターで8月 日、カナダ國風流詩吟連盟主催による、第4回日米加吟詠連盟・日本國風流詩吟吟舞会国際大会が開催された。この大会がバンクーバーで行われるのは、 年に開かれた第1回以来の10年ぶり。今年はバンクーバー國風流詩吟会創立50周年にもあたり、日本・アメリカからも大勢の会員が参加、盛大なイベントとなった。

詩吟は心身ともに健康になる

 詩吟とは、漢詩・短歌・俳句を独特の節をつけて詠うもので、腹式呼吸による発声と韻、抑揚で、詩歌が持つ叙情を最大限に表現する、壮大な芸術である。漢詩は中国で古代から作られてきたものだが、和歌(短歌など)が盛んだった日本で一般に広まったのは、江戸後期となる。

詩吟の手法には1人で詠う「独吟」、複数が交代で行う「連吟」、グループで合唱のように詠む「合吟」などがある他、ナレーションを入れて物語仕立てにした「構成吟」や、吟詠のために作られた舞踊「吟舞」「剣舞」とともに吟ずる舞台要素が強いものもある。

 芸術面だけでなく、横隔膜を刺激する複式呼吸は健康にもよい、ストレス発散にも一役買い、漢詩や短歌から歴史や先人の心を学ぶ知的な喜びもあるのが詩吟の特徴だ。

日本と北米各地から200名が一堂に


 流派は数多くあるが、海外にも大きな支部を置き、このような国際大会を開催している流派は希少な存在であり、長年海外で暮らす日本人にとっての心の拠りとなってきた。この日は全国の会員が交流できるとあり、アメリカから約40名、日本から約100名を含む、計200名近くが一堂に会した。

 國風流の流祖、故雨宮國風師が初めてバンクーバーを訪れたのは1954年で、以降29年間に9回来加し、吟詠の奥義を広めることに尽力した。現在、バンクーバーには市内の他、スティーブストンにも國風流の活動拠点があり、約 名の詩吟人口を誇る。バンクーバーも含め、詩吟愛好家の多くは人生の甘苦を知るシニアだが、今大会には日本から児童の参加もあった。

大会後には豪華晩餐に一同舌鼓

 午前9時より行われた大会は、第1部にカナダ・アメリカ地区の合吟、日本地区の合吟・連吟、吟舞・剣舞の順に披露された。そして昼食を挟み、第2部は第3代雨宮國風宗家、多賀敏行在バンクーバー日本国総領事らの挨拶から始まり、師範による招待吟詠、師範以上の部、総伝師範吟、総師範吟などが続いた。大会の後には引き続き会場で晩餐会が行われ、同時に米国國風詩吟吟舞連盟会長・末次國音氏の 歳の誕生日も一同で祝うなど、会場は終始華やいだ。

 中国の漢詩を元に千年以上も前の和歌から発展、江戸時代にほぼ確立された詩吟。朗々と詠みあげられる詩吟は、日本語の美しさ、奥深さを感じさせ、また、その背景には偉大な中国文化が色濃く残る。日本が誇る歴史的無形芸術は、海を越えて根を張り、今後も継承されてゆくであろう。


宗家にインタビュー


 海外で吟詠大会を催し、日本初の詩吟流派NPO化を果たすなど、進歩的な詩吟流派・國風流。その指揮を執る宗家と総本部役員、カナダ國風流詩吟連盟会長らに大会終了後、お話を伺った。(宗家=第3代雨宮國風氏、田並=カナダ國風流詩吟連盟会長・田並国詔氏、小林=総本部常務理事・小林國輝氏、武内=総本部理事総務局長・武内國紘氏)

詩吟の流派はどのくらいあるのですか

 宗家「数えたことは無いですが、千くらいはあると思います」

漢詩に節をつけて詠うものが詩吟である・・・
 宗家「今日もおひとりいましたが、最近では自作の詩文で詠うこともあります。当会では漢詩を作る講座も持っています」

國風流の歴史は
 宗家「70余年になります。北米へは、流祖(初代)が戦前に渡来して普及に努めました。その後戦争が始まり、北米に住む日本人が収容所に送られて、詩吟が数少ない楽しみとなって収容所で詠われて。戦後、北米各地に日本人が戻り、再び流祖が詩吟を教えに行ったところ、皆さんが詩吟を愛してくれた。北米の詩吟にはそういった背景があります」

宗家は第3代目でおられますね
 宗家「こういった芸事は世襲なのですが、流祖には子どもがいなく、妻が2代目を引き継ぎました。2代目は母の姉で、私の伯母になります。私は元々サラリーマンで、3代目になったのも を過ぎてから。実は冠だけで詠えないんです(笑)」

それで今日はお謡いにならなかった(笑)
 宗家「はい(笑)」

日本・アメリカにはどれくらい会員がいるのですか
 宗家「3500人くらいです。アメリカは150人くらいでしょうか」

ほとんどがシニアの方ですが、バンクーバーも同様ですか
 田並「50くらいの方が4〜5名で、後は皆年金世代ですね。後継者育成は力を入れています」
 宗家「これからは50、60になってから始める方が入りやすい環境になっていくと思いますし、入っていただけるよう模索しています」

詩吟を始めたきっかけは
 田並「僕は35年やっていますが、初めは知人の勧めでした。詩吟をやって良かったと思います。カラオケとはまた違い、高尚です。詠っているときはピシッとして気持ちがいい。(詩吟は)いいものですよ」
 小林「25歳のときに始めました。詩吟は結婚式で聞いたことがある程度でしたが、単調なサラリーマン生活を送っているときに、何か趣味を持った方がいいのではと。たまたま電車の中で詩吟の広告を見て入りました」
 武内「私は親の影響です。退職してからは時間もできたので一生懸命やっていますが、なかなか上達しない(笑)。先輩らに教わったのは、何度も何度も漢詩を読み、漢詩に込められた作者の思いを詠うということ」

感情移入をするわけですね
 田並「そう。それが一番大事ですね」

詩の内容はどういったものが多いのですか
 田並「やはり人生を詠んだものが多い。西郷隆盛とか漢学者の頼山陽とか、その他多くの漢学者や作詩家、日本総本部理事長高橋輝一郎先生の漢詩も良く吟じられます。」

皆さんも漢詩をお作りになるのですか

 武内「ウチの理事長が漢詩の大先生で、横浜で講座を持っていまして、私もそこで習っています。最近は通信講座も開講して、日本全国で習うことができるようになりました」
 宗家「そのうちインターネットで受講できるようにできたら・・・」

北米でも受講できますね!
 武内「実際、結婚式などで詩吟を披露するのは気持ちがいいですよ。『お前、詩吟ができるのか 』って周りが一目置きますし(笑)」

雨宮先生は詩吟を習われたご経験は

 宗家「最初に習えと言われまして、十何年やっていますが、未だ1曲も・・・(笑)。ただ本会は4年前にNPO(特定非営利活動法人)になりましたので、これからは世襲ではなく、会員さんが作っていく会なので、私はその手助けをさせていただいています」

吟舞・剣舞というのも独特ですね
 小林「流祖が剣舞をやっていらして、会で教えていたのですが、その踊りが紋付袴の質素な格好で、足型は能から来たもので。重みがあるのが特徴です。また、流祖は元々琵琶の語り手でした」
 武内「ですから、ウチの流派は他の流派には無い詩がたくさんあるんですよ」

楽器は尺八が主ですか
 田並「尺八と琴もよく使われます」
 小林「歌謡曲や民謡、演歌を取り入れたものもあります」

柔軟ですね
 宗家「生き残りです(笑)。今回、カナダ連盟が創立50 周年なのですが、町村前外務大臣から感謝状をいただきまして。21世紀に向けて國風流をきっちり残す、これが我々の使命ですね。これからも皆さんが楽しんで詩吟をできる会にしていきたいと思います」

(取材 藍智子)

雨宮國風
(あまみや・こくふう)
 1934年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学商学部卒。メーカー勤務のサラリーマン生活を終えた後、先代から雨宮國風を受け継ぐ。ユーモア溢れる人柄が魅力の宗家で人望も厚い。

宗家・第3代雨宮國風氏













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