SPECIAL 2005

2005年8月4日 第32号 掲載



団塊の世代の住まいの選択
リタイヤ後を考えた日系センター周辺への転居


「ここを選んで正解」と青木ケンさん

日系センターと向かい合うコンドミニアム

建設中のコンドミニアム
「エマーソン」のモデル

 バーナビー市内日系ヘリテージセンター至近のコンドミニアムの10階。リビングルームからはサレーを越えて、バウンダリーベイやトワッセンが見える。隣室の西側の窓からはバンクーバーのダウンタウンとウエストバンクーバーが一望できる。

 今年の春、ここに転居してきた青木ケンさんは、団塊の世代であり、70年代にカナダに移住してきた人々の1人である。子どもが独立し、一軒家を持ち続けることに負担を感じ、今後の住まいはメンテナンスの楽なコンドミニアムと決めたところから、物件探しが始まった。

 ウエストバンクーバーからホワイトロックまで物件をあちこち見て回ったが、その頃同じ年代の移住者たちの「リタイヤしたら、日系ヘリテージセンター周辺に落ち着くと思う」という声が青木さんの耳に入ってきた。そこから「日系ヘリテージセンター近隣に居住していれば、高齢になっても各種の催し物や活動にかかわりを持てることだろう」という思いが青木さんに芽生えてきた。周囲の環境についても検討したうえで、最終的に現在の場所にと思いを固めた。「眺めの良い南西向きの窓のある物件が出るまで待つ」という方針で不動産会社に依頼し、2・3ヵ月待っていたところ首尾良く今の物件が売りに出た。


一軒家からコンドミニアムに住み替えての感触

 住み心地について青木さんは「長い間家に住んでいたので、隣近所からの音が心配だったが、コンド内に子どももいるし犬もいるけれど、周囲も室内も静か。これは正解だった」と語る。また「この辺りは繁華街と違って、不信な人を見かけることもなく安全」だとも語る。「一軒家は空き巣に狙われやすいし、メンテナンスも大変だが、コンドなら旅行に出るにも鍵一つかければ済むので安心だし楽」と、青木さんの今のライフスタイルにはコンドミニアムがぴったりであるようだ。


日系ヘリテージセンター周辺の住環境

 食品、日用品の買い物には、近くのショッピング街「ハイゲートビレッジ」が活用できる。ここは最近きれいに一新したモールで、セーブオンフーズ、ショッパーズドラッグマート、リカーストア、銀行などが入っている。メトロタウンまでもバスで12分しかかからないため、青木さんはそちらまで足を運ぶことも多いとか。

 食の点で青木さんは「キングスウェイ沿いにはレストランがたくさんあり、近くに安くておいしい日本食レストランもある。これで日本食のデリを販売する店が近くにできれば文句なし」と評価している。


落ち着く遊歩道を使って公園や駅へ

 コンドミニアムを出ると遊歩道があり、広々としたセントラルパークまで続いている。「セントラルパークまで片道30分か40分」とのこと。帰りにはメトロタウンでコーヒーを飲んで帰ってくるというのが、お決まりの散歩コースになっているようだ。最寄りのスカイトレイン駅はエドモンズ。家から駅までは、車の入れない遊歩道が続いているので、徒歩約10分の道のりをゆったりと歩くことができるとか。

 転居地決定の要因となった日系ヘリテージセンターに関して青木さんは「利用はまだこれから」と語る。「日系ヘリテージセンターでもっと参加したくなるようなイベントがたくさんあれば」という点が青木さんの希望だ。


ダウンタウンからの所要時間は30分

 バンクーバーのダウンタウンに住む人からは遠く感じられがちな日系ヘリテージセンター周辺だが、スカイトレインでウォーターフロント駅からエドモンズ駅までは22分。徒歩を含めても全体で30分強という所要時間である。渋滞の時間を避ければ車でも30分とかからずダウンタウンから行き着ける。一大ショッピングモールのメトロタウンから近いにもかかわらず、他の地域ほど物件の価格が高騰していない点も魅力と言えるだろう。


日系センター周辺の物件情報

 日系ヘリテージセンター周辺の物件情報をサットングループで不動産仲介を行う村上丈二さんより紹介していただいた。

 日系ヘリテージセンターの面するサウスオークス通りに立つコンドミニアム3棟は、1997年、1999年、2002年にそれぞれ入居開始となった建物である。現在再販売されている物件の価格は最も古い棟で2ベッドルームが26万9000から28万9000ドル。最も新しい棟では30万8000から39万9000ドルである。

 先に紹介したキングスウェイ沿いのショッピング街「ハイゲートビレッジ」のすぐ裏手には、4棟のコンドミニアム「エマーソン」が建設中である。入居開始予定日は、棟により年内から2年後までとなっている。早くに入居できる棟では購買可能な物件が残り数戸となっているが、2年後に完成の棟はさまざまなタイプの物件のなかから物件を選ぶことが可能だ。すべての物件は、キッチンのカウンタートップに大理石が使用され、ガスのレンジ、暖炉を備えており、1台分の駐車場とロッカーが使用可能となっている。価格は2ベッドルームで29万1900から35万9900ドルである。「ハイゲートビレッジーエマーソン」の販売事務所では、大きなパソコンのモニターで、地上10階の南西はこの眺め、地上15階の北西ではこの眺めというように、その階に住んだ場合の眺望を確認することができる。

 子どもが巣立った後の住宅維持を考えて、青木さんのようなコンドミニアムへの転居を考える人は少なくない。その際、周囲の環境に何を求めるか。食や交通の便といった基礎的要件のほかに、日系人の集いの場所を含めてみることは、人と触れ合う機会の維持や生活の充実感を満たすことにつながる有意義な選択と言えるだろう。

(取材 平野香利)

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取材協力 村上丈二さん
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