SPECIAL 2005
2005年3月24日 第13号 掲載
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![]() おなじみ吉乃川酒造も大人気 |
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世界でも有数な国際的規模のバンクーバー・プレイハウス、インターナショナル・ワインフェスティバルが3月14日から20日までバンクーバーで開催され、17カ国の174ワイナリーが参加、1100種類に及ぶワインが出品された。メインイベントはワインテイスティングで3月17日から3日間、5回にわたって行われ、約2万人がカナダプレースを訪れた。27回目となった今回のテーマ地域は南アフリカ。また、日本からは利守酒造、マスカガミ酒造、吉乃川酒造がそれぞれこだわりの酒をかかげて参加した。日本酒のコーナーは数多いブースの中でも際立って、常に盛況な賑わいを見せていた。今回のフェスティバルに初参加の利守酒造専務取締役・利守弘充さんに、フェスティバルでの感想、日本酒に対する思い入れなどをうかがってみた。
フェスティバルに参加された印象はいかがでしょうか。
想像していた以上に日本酒に対する関心が高くて驚きました。ワインは日本酒と同じ醸造酒ではありますが、日本人的な感覚だとワインと日本酒は違うように思うのですが、こちらの方はワインの流れからスッと自然に日本酒に入れるというところが感心しました。
今回出品しましたのは3種類。2002年からカナダで出しております純米吟醸酒〈備前〉。次の年に発売しました古酒〈酒一筋〉ビンテージ1998年もの。そして、純米大吟醸のクラッシックボトル「酒一筋」です。
興味深いことに、カナダ人には古酒が人気のようです。私どもの古酒はどちらかというと甘みと酸味が強く、ちょっとしたシェリー酒に近いかもしれませんね。食前酒として飲むならクラッシュ・アイスに注ぎ込んだり、食中酒ならちょっと冷やして、カルパッチョやオリーブオイルを使った料理に合うのではないかと思います。
あと、吟醸酒なら魚料理と思い込まないで、〈備前〉などはコクや深みのあるお酒なので、チキン、ターキー、ウズラ料理などにも合うのではないでしょうか。
利守酒造の酒づくりに対するこだわりは有名で、特に『赤磐雄町』と呼ばれる江戸末期からの歴史を持つ酒米は、一時その栽培のむずかしさから生産者が減少し、弘充さんのお父様でもある4代目蔵元・忠義さんが復活された話は伝説となっていますが、現在収穫の方はどうなんでしょうか。
今カナダで販売されている3種類はどれも「赤磐雄町」から造られています。そもそも「雄町米」というのは、酒造好適米として評判が高い「山田錦」や「五百万石」の祖先に当たるといわれています。その雄町のふるさとが岡山なんですが、私どもの蔵のあるあたりは砂礫質の土壌のために、稲の根が地中深くまで伸びて、質の良い雄町米が採れ、土地の名をつけて「赤磐雄町」といわれているんです。
吟醸酒ブームなどもあって、最近では「赤磐雄町」を作る農家も、地域も増えていますが、正直いい米は限られています。雄町米は丈が高いのですが、土作りをきちんとしていれば、台風などで稲穂が傾くことはあっても折れることはないんですね。復活当初からうちは無農薬有機栽培ですが、化学肥料などを使って作ると災害に弱く、折れてしまった穂先が水に浸かって発芽するなんてことも出てくるわけです。
そして、水は地元の地下水、軟水を使っています。米、水とくると酵母となるわけですが、酵母は糖分をアルコールにする微生物、酵母菌のことで、利守酒造ではすべてに自社酵母を使っています。蔵に合った質のいい酵母を純粋自家培養して、マイナス
度で保存してあります。
ユニークな試みとして、地元の陶器、備前焼の大がめで純米大吟醸酒を仕込んでいらっしゃるとか。
当社の地酒に対する考え方は、地の米、地の水を使い、地の気候風土で醸し出すというのが基本なんです。その考え方で一貫してやってきましたが、あとは備前という地にあって、備前焼で酒を造ってみたいというのが社長の夢だったわけです。
そこで、備前焼で著名な森陶岳さんに頼み込んで、6つの大がめを作っていただきました。幻の酒造米と備前焼で造った純米大吟醸、その名も「天下人」です。備前は素焼きで呼吸をしていますから、そこにまた酵母菌が住みついて個性的な風味を創り出していると思います。どちらかというと、やはり素朴で力強く、深みのある味といいましょうか。
今回カナダに進出するにあたって、日本での商品と変えた点はありますか。
何もありません。質の良い日本酒造りにこだわるというだけです。利守酒造では、10年以上前にアメリカのニューヨークに自社製品を送り出していて、その後ドイツを経由してオーストリアに。アジアでは2年前に台湾に、そして最近上海にも進出しましたが、いいものを世界に広めたいという気持ちです。
弘充さんは、将来5代目蔵元になられるわけですが、何か夢はお持ちでしょうか。
私の考えでは蔵自体を〈シャトー〉にしたいですね。現在、自分たちでも米を作っていますが、それだけでは足りなく農家に依頼しています。でも、将来的には田を拡大し、自家田で育てた雄町米の収穫で全部まかなえるようにしたいですね。ワイナリーでは通常、自分の畑からとれたぶどうでワインをつくっているのと同じように。
あと、世界の中で認められる酒造りが目標です。例えば世界の5大シャトーっていわれた時に、利守酒造の「酒一筋」という名がノミネートされるといったように。
●日本酒ミニ知識
純米酒:醸造アルコールや糖類を一切加えず、米と米麹と水だけが原料。(精米歩合の表示が義務づけられている)
吟醸酒:酒米の外側を削り、米の中心部をじっくりと低温発酵した芳香な香りの酒。(精米歩合60%以下)
大吟醸:吟醸酒の中でも特に高精白したもの。(精米歩合50%以下)
古酒:熟成させた日本酒
(取材 ミネ内田ビイラー)
■■■利守酒造株式会社■■■
岡山県赤磐郡赤坂町に江戸末期から酒蔵を持つ。
1980年代、4代目蔵元の利守忠義さんは、栽培が困難なことから“幻の米”と言われていた“雄町米”を有機無農薬で復活。
‘95年には、地元の備前焼の大がめで酒を仕込むという前代未聞の酒作りにチャレンジ。
名蔵に名杜氏あり。杜氏・田村豊和さんは40年間蔵を守っている。
2002年にカナダへ進出。
住所:岡山県赤磐郡赤坂町西軽部
ウェブサイト:www.sakehitosuji.co.jp
Email:hitosuji@sakehitosuji.co.jp