SPECIAL 2005

2005年2月 6号 掲載



★RRSP★うまく利用して賢く節税!
ゆとりのある定年後の暮らし


カナダ・ライフ 浅野イサオさん


 この時期になると「RRSP」という言葉を聞いたり、見たりする機会が多くなる。それは、RRSPの入金締め切り日が年が明けてから60日以内だからだ。(今年は3月1日)。 RRSPとは、Registered Retirement Saving Plan の略で、退職した後のために個人が貯蓄する年金のこと。税金申告の際、できるだけ支払う税金を少なく、あるいは、払い戻しさえも可能にするRRSPとはどんな投資・貯蓄プランなのか。25年以上の保険外交/投資アドバイザーの実績を持つカナダ・ライフの浅野イサオさんにうかがってみた。


1. メリットはどんなことですか?

 ひとことでいうと節税しながら、将来の貯蓄ができるのがRRSP。実際にはRRSPという金融商品はなく、発行する機関(保険会社、銀行、証券会社、信託会社など)との間で取り決めた*金融商品を(「項目8」を参照)カナダ税務署(Canada Customs and Revenue Agency)に登録すると、それがRRSPとなる。政府に登録したことによって、通常、税金の対象となる元本に対する課税、それに付随して発生する利益(利子、配当、値上がり益など)に対する課税も、RRSPを引き出すまでは控除される。


2.RRSPは誰でも買えるのですか?

 カナダで勤労所得(Earned Income)がある人で69歳までなら、誰でもRRSPは買える。(利息や株、投資など、また日本からの年金をもらって生活している人はこれには当てはまらない。)駐在員の方ももちろんOKだし、ワ―ホリの人でも買うことができる。確定申告(Income Tax Return)をすると、その後アセスメントが送られてくる。その最後の項目にRRSP Deduction Limit Statementと書かれたところがあり、その人が買える金額が表示されている。

3.いくらまで買えるのですか?

 今年のRRSPを買いたいのなら2003年度の収入(前年度の総所得 Gross Income)の*18%まで、あるいは高額所得者の場合は、$15,500が上限となる。例えば、$35,000の年収の人ならば、$6,300までRRSPが買えることになる。もし、この時$5,000のRRSPを買ったとすると、残りの$1,300は翌年、あるいは使う時まで繰り越されていく。

(*ただし、会社の年金制度やユニオンに加入している人は金額が下がることがある)


4. いつ買えるのですか?

 RRSPは1年中買えるが、ほとんどの人がその年の4月30日までの確定申告(Income tax Return)の時期に合わせるため、通常年が明けてから60日以内(2005年では3月1日)に購入されることが多い。そうすることによって、その購入金額は前年度(2004年)の収入から控除され、税金が戻ってくるケースもある。


5. 具体的にRRSPを買うとどうなりますか?

 例えば、年収$50,000の場合、もしRRSPを限度額の18%$9,000購入したとすると、その分は税金が控除されるので、税金は$41,000に対してのみだけ。基礎控除約$7,500を差し引いた$33,500に対して約*22%の$7,370が所得にかかる税金になる。($33,500 x (0.16+0.6)=$7,370)

  もし、RRSPを買わない場合は、$50,000から基礎控除約$7,500を差し引いた$42,500に対して*31%の$13,175が所得にかかる税金になり、RRSPを買った時に比べ、約$5,800も余分に税金を払わなくてはならない。

 さらに、RRSPの$9,000を元本に年5%の金融商品で運用したとすると、$450の利益が生まれる。この元本、利益ともに、RRSPを解約しないうちは税金がかからない。

(*FederalとBC州の税金一覧表を参照)

Federal Tax(連邦税)

Net Income(実収入) Tax Rate(税率)
  $35,000 16%
$35,001 $70,000 22%
$70,001 $113,804 26%

$113,805

  29%

BC Tax(州税)

Net Income(実収入) Tax Rate(税率)
  $32,476 6.05%
$32,477 $64,954 9.15%
$64,955 $74,575 11.7%
$74,576 $90,555 13.7%

$90,556

  14.7%

 

6.途中で引き出すことは可能ですか?

 引き出しはもちろん可能。事実、税金対策として短期買いをする人も中にはいる。極端な例では、$30,000を超えた分の$5,000を3月1日に購入、3月2日の解約でも昨年の税金額を一時的に減らすことはできる。ただし、解約する時点で源泉徴収税(Withholding Tax)もかかってくる。

非課税でRRSPを引き出すことができる例がふたつある。

・Home Buyers Plan(自宅としての利用に限る)

 過去5年間に家を購入していなければ、家を買う際にRRSPが非課税でひとり$20,000まで、夫婦ならば合わせて$40,000まで引き出すことができる。ただし、引き出した金額は15年以内にすべてを返却しなくてはならず、毎年最低15分の1以上の返却が必要となる。

(返却しない時は、15分の1がその年の収入とみなされる)

・Life Long Learning Plan
 フルタイムで学校に行く時に利用できるプラン。非課税で$20,000まで引き出せ、1年に1回$10,000まで、4年間有効。10年以内に返却しなくてはならない。


7. 配偶者のためにはどうすればいいのですか?

 妻が専業主婦で収入がない場合でも、夫が妻のRRSPを購入できる。税金控除は夫の所得に対して行われる。例えば、夫の年収が$35,000であれば、「項目3」で述べたように$6,300までRRSPを買うことができるが、この時$3,000ずつ夫妻それぞれの名義で購入すると、将来年金として受け取る時にメリットがある。ひとり年間$1,000までは非課税なので節税でき、ほかの年金の減額を避けることもできる。

 万が一、3年以内に妻のRRSPを引き出した場合は夫の収入としてみなされ、3年以降は妻の収入として税金がかかる。

(*正式に結婚した配偶者だけでなく、Common Low Spouseと呼ばれるパートナーにも適応される。) 


8. RRSPの種類にはどんなものがあるのですか?

タイプは大きく分けて3つある。

・Deposit Type(預金)


 定期預金(GIC)など、元本保証タイプのもの。預け入れした時の金額を下回ることなく、元本金額が返却され、利息が支払われる。

・Investment Funds(投資信託)

 投資家から集められた資金をプロが運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元するもので、定期預金などとは違って元本保証はない。リスクもあるが資金を増やすことも可能。自由に換金できるMutual FundsやSegregate Fundsなど。

・Self Directed Plan

 口座を開いて株やボンドなどを自分で買ったり売ったり、投資資金を運用するタイプ。


9. 満期はいつで、どう解約したらいいのですか?

 RRSPは退職後の資金を長期にわたって貯蓄・投資しておくもので、ほとんどの人は退職する時に解約をして、その後の収入とする。退職をする時期は人によってさまざまだが、RRSPの満期日は、69歳になった年の12月31日なので、その日までに解約しなければならない。解約の方法は3つある。

・ Cash In(一括解約)

 それまで貯蓄してきたRRSPをいっぺんに現金化する方法。すべて引き出された金額が、その年の収入としてみなされるので、当然税額が跳ね上がり、なにか特別な理由がない限りはあまりすすめられない 。

・ Payout Annuity(終身年金制度)

 保険会社が扱っていて、毎月一定の額が受け取れる年金制度。RRSPを解約した時の本人の年齢、性別、その年の金利などによって受給できる金額が決まる。さまざまな種類があるが、どれもすべて終身タイプで、確定期間(本人が亡くなった後に家族が年金を受け取れる期間)も10年、15年などがある。受給される金額がいったん決まると変更がきかないので、金利が低い時には注意が必要。

・RRIF(Registered Retirement Income Fund)

 RRIFとは簡単にいえば、RRSPの逆。それまでは支払ってきたが、RRIFに切り替えた後は、毎年引き出していく。最低引き出し金額は、年齢と1月1日時点での貯蓄高によって決まり、この引き出し額には税金がかかるが、元本は依然非課税。この元本を投資資金として運用し生まれた利益も非課税である。

 今年からでもぜひRRSPを使って節税を。RRSPを買いたいけれど、余分なお金がないという人にはRRSPローンもある。ローンを使ってでも実質節税になることも。

(取材 ミネ内田ビイラー)