SPECIAL 2005

2005年1月 2号 掲載



理解を深めて賢く保険と付き合う・
一般住宅の火災保険


日本語担当の保険ブローカー、ビーチャン・ピアソンさん(右)と宮崎範子さん


  
 ひと口に火災保険といっても、一戸建て保険、コンドミニアム・タウンハウス保険、テナント保険などさまざまで、保険料もいろいろな要素が加わり異なってくる。

一般住宅(パーソナルライン)に対する的確な保険の掛け方について上高原保険(カミ・インシュランス)のビーチャン・ピアソンさんに尋ねてみた。


火災保険基礎知識

  元来火災保険は火災・落雷・爆発の3つをカバーするものであったが、現在はそれだけで販売されることはほとんどない。

その基本の補償範囲を拡大した内容として以下のものがある。

『Fire & Extended Coverage 』
 保険の約款に記載された条項(落下物の衝突、パイプ破裂による水漏れなど)だけをカバー

『Named Perils』
 上記の内容に盗難などが加わった保険(保険会社により名称が異なる場合もあり)

『All Risks 』
 補償対象外条項(Exclusion。戦争、テロ、腐朽・腐敗など)記載以外のものはすべてカバー

  どれも地震保険は追加料金となるが、地震による火災は火災保険でカバーされるケースが多い。

その場合も保険会社によっては地震保険に加入していないと適用されないこともあるので要確認。

自然災害でも落雷は補償されるが、河川などの氾濫による洪水は基本的に適用外だ(ビジネス保険では高額の免責で加入可能)。

保険は使わないことが前提のお守り

 火災保険は賃貸(テナント)・持ち家に関係なく、現在自分が居住するところ(Primary Location)に保険を掛けることが基本だ。

火災保険に加入していない場合、例えば隣家の過失による火災ではその損害賠償保険で補償されるが、放火された隣家からの延焼となるとどこからも家財(Contents)に対する補償はされない。

このことは上層階からの水漏れにしても同様で、水道線の閉め忘れなら相手の損害賠償保険でカバーされるが、配水管の破裂など「事故」のケースは、自分の保険で補償する以外手立てがないことが多い。

また、相手が保険に未加入の場合は支払い能力がなければ泣き寝入りだ。

その逆にいつ自分が加害者になるかもしれない。

そのため、火災保険は通常、損害賠償と併せたパッケージとなっている。

いずれにせよ、保険というものは使わないことを前提とした万が一の安心のためであることを知っておこう。


■■■戸建て住宅(Homeowners Insurance)■■■

 保険の種類としては主に次の3つがある(各保険会社により名称が異なる場合もあり)。

『スタンダード・フォーム』
建物、家財とも Named Perils(前出)
『ブロード・フォーム』
建物はAll Risks(前出)、家財は火災・盗難を含むNamed Perils
『コンプリヘンシブ・フォーム』
建物、家財とも All Risks


保険の一般的な内訳
@ Property(資産)

*母屋(Dwelling)の保険限度額・・・100%

*付属建造物 (ガレージなど。Detached Private Structure)・・・10 〜20 %

*家財(Personal Property Contents)・・・70 〜80 %

*災害時の経費(仮住まいのホテル代、外食費など。Additional Living Expense)・・・20 %

 これらは一般的な例だが、各内訳の割合は保険会社によっても違う。

それらを項目別にせずにすべて包括(Single Limit)して限度額だけを記している証書もある。

その場合、上記の保険金額の適応割当を可動できるので、融通がきく。

なお、保険料は母屋の保険限度額によって決まるため、その他の部分を削除しても保険料の節減にはならない。

ALiability(損害賠償)

*損害賠償保険 (Personal Legal Liability)

第3者への法的補償・弁護士費用なども含む。通常、補償は100万ドルないし200万ドル。

*任意賠償保険 (Voluntary Medical Payments/Voluntary Property Damage)

 第3者への医療費用・器物賠償。法的責任の有無は問わない。

この金額は会社によって異なるが前者の金額より大幅に少ない。

保険料の算出

 現在の建物が全焼したと仮定して、同様の家を新たに再築する費用(Replacement)を RCT という基準法を元に算出。

そのため、延床面積だけでなく、バスルームの数、カーペットの材質や壁の素材など、かなり詳細な情報が必要となる。

だからリフォーム(カーペットをフローリングに替えた、キッチンを増築したなど)の際は保険ブローカーへの報告も重要である。



■■■集合住宅(Condominium Unit Owners Package)■■■

 コンドミニアム・タウンハウスなどの集合住宅は、共益費に建物への保険料が含まれているので、個人で加入する保険は家財対象となる。

ホームオーナー保険と同様、家財に対する保険限度額を100%とすると、その数割(20 〜40 %)が自動的に災害時の経費(Additional Living Expense)に適用される。

また、各社補償割合は異なるが、『Improvement / Betterment』 も含まれる。

新築時にカーペットだった床をもっと上質のフローリングにリフォームした場合など、災害の際に建物の保険が適用されるのは元のカーペットの金額までだが、この補償ではフローリングとの差額をカバーする。

 また、建物の損傷に対してストラータ組合(管理組合)から個々の入居者に請求がきた場合にも適用されることがある。

ただし、建物の保険の免責額(自己負担金)による請求に対してはどの保険会社も小額しか適用しないので要注意。

普段からコンドミニアムの会合などに出席し、どんな条項が有効なのか確認しておくことも必要だ。

損害賠償についてはホームオーナー保険と同じ。

保険料の算出に関しては、立地場所や警備システム、飲食店店舗が建物内にあるかなども考慮される。

保険会社によっては1・2階の保険料を若干高めとすることもある(空き巣や盗難のリスクが高いため)。



■■■賃貸住宅に居住(Tenant Package)■■■

 一戸建て・アパートに関わらず、家財はコンドミニアム保険同様、個人で加入する。

建物そのものは家主が火災保険に加入しているはずだが、テナントの家財はカバーされない。

また、火災の原因がテナントにある場合、家主に対して建物の補償が下りても、今度は家主の保険会社が失火したテナントに訴訟を起こすことができる。

その際にテナント保険に加入していないと個人で負債を抱えることに。

テナント保険にも損害賠償(ホームオーナーズ保険、Liability項目参照)は含まれている。

保険料はコンドミニアム同様、建物内の入居世帯数や、木造か鉄筋、高層ビルなどによっても変わってくるが、一般的にホームオーナー保険やコンドミニアム保険と比較するとテナント保険は割高である。

また、家族以外の複数で共有・賃貸している場合は、各自がそれぞれ保険に加入していなければならない。



■■■賃貸住宅を所有(Rental Dwelling/Condominium Insurance)■■■

 カバーされる条項はNamed Perils がほとんど。

補償対象家財は Major Appliance(冷蔵庫、オーブンなど)のみが普通。

All Risksにする場合は高額となり、ある程度の条件を満たさなければ保険は掛けられない。

また、同時に対象地限定の第3者への損害賠償も加わる。

オプションで災害時の家賃に保険を掛けることも可能。



■■■別荘(Seasonal Dwelling/Condominium Insurance)■■■

 普段居住者がいないため、基本的には火災及びかなり限定された項目だけに保険を掛けるというのが一般的。

盗難や破壊行為などのリスクをカバーするには追加料金となる。



■■■その他■■■

 地震、一定の金額を超えた宝石、ラップトップ・パソコンなどは特別保険となる 。

また、車や一定のサイズを超えるボートなども、たとえそれが家の中にあっても住宅保険では補償の対象外となるので別途保険が必要だ。



■■■各種割引■■■
 高齢者割引、過去の保険請求の有無、鉄筋コンクリート建造物割引(燃えにくい)、新築割引(配線などの劣化リスクが少ない)、免責(自己負担金)額の増額、セキュリテイの状態(モニターアラーム、スプリンクラーなど)、保険の継続加入年数(Royalty)、住宅ローンの有無、立地場所の治安度などがあり、同じようなサイズの家および保険限度額であっても、保険料は相当変わってくる。



被保険者としてすべきこと

 住宅保険では出先での盗難も補償されるなど、幅広く生活をカバーする。

日頃から何が補償の対象かを熟知しておくと安心だ。

同時に万一に備えて個人資産を証明できるようなものを用意しておくことも被保険者側の義務といえる。

火事の場合は手立てがないケースもあるが、その他ではレシートがなければ取扱説明書や写真などの記録も役立つ。

いずれにしても持ち物の把握は重要であり、それに合わせて保険額を調整することが大切である。

 また、免責額(自己負担金)は現在500ドルが一般的だが、初めて保険に加入する場合は1000ドルの免責額を要求する保険会社がほとんどである。

保険請求による次年度からの保険料増額を考慮すると小額の請求は避けたほうが賢明ともいえ、免責額の設定をさらに増額すればかなりの保険料の割引を見込める。

その他、家族構成や室内外の増改築、長期不在となる場合など、何か変化があるたびに保険の担当者に連絡して登録情報を更新することも正しい補償を受けるためには必要なことだ。


保険ブローカーとの付き合い方

 ビーチャンさんは「保険ブローカーは保険会社の社員ではありません。ただ保険を売るのではなく、お客様のライフスタイルを理解し、その方々にもっとも相応しい保険をお勧めできる、リスクマネージャー、お客様側の味方。家庭、住居環境を知っていればいろいろな提案もできますし、もっと私たちを利用、活用してもらい、疑問などがあればどんどん尋ねて欲しい。私たちにとって最も残念なことは、実際に何かが起こってから必要な保険に加入していない、条件が食い違うケースです。保険の約款を全部読むのは不可能だと思いますが、内容と補償外リスト、宝石や現金・自転車など限度額のあるものには目を通しておいてください」と語る。

火災保険との賢い付き合いは、住居補償のファミリードクター的な保険ブローカースタッフとの密な連絡に鍵があるようだ。

これからはもっと気軽に保険ブローカーを訪ねてみよう。 
 (取材 藍智子)



****5年間保険請求をしていない場合の保険金算出例****
(支払い金額は最低払込保険料か算出保険料のどちらか数値が低い方を選択)
  割引き率など 金額 小計
基本プラン   $600.00  
年齢割引き 45〜54歳 $600×5% -$30.00  
築年数割引 0〜10年 $570×14% -$79.80  
アラーム割引 15% $490.20×15% -$73.53  
住宅ローン割引 該当なし    
保険請求履歴割引 5年以上請求なし $416.67×20% -$83.33  
2世帯家族割増 10% $600×10% $60.00  
暖房器具保有割増 10% $600×10% $60.00  
免責控除 10% $600×10% -$60.00  
  算出保険料 $393.34 最低払込保険料 $393.00