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MAPLE 2005 2005年10月6日 第41号 掲載 |
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バンクーバー国際映画祭レポート
話題の『闇打つ心臓』 新旧同時上映 |
| 新旧作品の同時招待が話題となった『闇打つ心臓』。自主制作された82年度版から23年の時を経て、同じ配役と監督で“その後”を綴ったという、人生を懸けた希少な連作である。82年度版は当時ロンドン映画祭へ招かれ、その際に撮り下ろしたという短編『ロンドン・コーリング』も今回特別公開された。1日と2日には長崎俊一監督と主演の室井滋さんによる舞台挨拶もあり、人気女優をひと目見ようと会場は日本人ファンで賑わいを見せた(文中敬称略)。 |
本紙のインタビューに 答える長崎俊一監督 |

本紙のインタビューに 答える水島かおりさん |
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| 長崎俊一監督、律子役の水島かおりさんへインタビュー! |
―お二人はご夫婦だとか!
水島「ええ、もう12年」
―監督と女優さんとして出逢われた・・・
水島「そうです。出逢ってわりとすぐ結婚しました」
―監督の作品にもずいぶんとお出になられていますね
監督「結婚してからは特に(出演が)多いですね」
―奥様を起用するのはやりづらくないですか
監督「仕事ですからねえ」
水島「仕事場で出逢ったので現場に行けば自然とそのモーションになります。初めは周りも気を使ってましたが、私が下町っぽい性格なので、だんだん誰も気にしなくなった(笑)」
―『闇打つ心臓』の2005年版を作ろうとしたきっかけは
監督「当時のプロデューサーが作品を非常に気に入ってくれていて、いつかリメイクをという話があって。初めはリメイクということで乗り気ではなかったけれど、前作のその後など、いろんな要素を入れたら新しい映画を作れると考えて」
長崎監督と出演者らはほぼ同世代で、当時の自主制作映画のネットワークともいえる関係。 年版『闇打つ心臓』は、1週間で撮影したという。皆、アルバイトをしながらの映画製作であった。
監督「室井は早稲田のシネ研で、内藤と僕は日大の映画学科の同期。製作当時はもう卒業していましたが。周りからはプロとは認められず、でも自分たちはちゃんとやっているつもりだった」
―82年版の方は、劇場公開されたのでしょうか
監督「小さなところですけど。一般の評判はわかりませんが、プロデューサーやトニー・レインなど何人かが、すごく気に入ってくれました」
バンクーバー国際映画祭に招待するアジア映画を選出し、上映では解説役も務めるトニー・レイン氏。レイン氏は、日本の8ミリや16ミリを世界に紹介した最初の人物の1人であるという。長崎監督の『ロンドン・コーリング』にも出演しているように、監督とは長い付き合い。
監督「トニーに言われるまで、海外で上映するという発想は無かった」
―そのロンドン滞在中に『ロンドン〜』を撮った・・・
水島「餞別をもらったりしたので、機材もあるし、みんなのお土産として」
―『ロンドン〜』大変おもしろい映画でした!
水島「おもしろかったですねぇ。新婚の頃に一度見たんですが、あまり記憶に無く(笑)、今日大きなスクリーンで見ていい映画だなと」
80年代初め、世間では子供を殺す事件が相次いでいた。それを題材に『闇打つ心臓』は作られた。事件の概要以外に、彼らにも自分たちとさほど違わない生活があったはずだと監督は思ったという。
監督「どんな風に出逢って、どんな生活をして、どんな理由で事件に至ったのか。だから日常生活から想像できる範囲の内容にしたかった」
―劇中、主役の男女が入れ替わるシーンがありますが
監督「室井に男役をやらせたら魅力がでるのではと思ったのと、セックスシーンが多いので、あまりストレートに男女を強調したくなかった気がします。見る側にも、性別を越えた部分を感じ取ってもらえるのではと」
―ところでボカシが入っていませんでしたが、大丈夫だったのですか
監督「商用ベースのものでなかったので。今のところお咎めなしです」
―水島さんが演じる律子の役割は
監督「彼らが最初に出逢う大人の世界で、後で出逢う内藤カップルとの橋渡し的役割。重要な役です」
―この役は水島さんでとお決めになっていた
監督「はい、そうです」
水島「私がこの脚本が好きで、『どうしても出たい!』と脅迫のようにお願いしたんです(笑)。今こういう作品はなかなかないので、何でもいいから参加したかった。監督がダメだと言ったらプロデューサーに頼もうと(笑)」
いつも映画祭は必ず一緒に出かけるという。そしてビデオカメラでその様子を撮影し、編集して関係者にお土産にするのだとか。今回はワールドプレミアでもあり、いつも以上に力を入れているとのことで、カメラを回す水島さんの姿が劇場内でも見受けられた。
―どのような作品を目指していらっしゃいますか
監督「画面を見て、人間が感じ取れる、そこに人間が生きていると信じられる世界を作っていきたいと思っています」
―これからも監督の映画に出続けたいと
水島「ぜひ。女房が言うのも何ですが、私、監督のファンなんです。その人の持つ良さを引き出す才能がある。(監督に)これからもよろしくお願いします」
―でも、さすがに奥様には濃厚なシーンはやらせたくないですよね?
水島「『ドッグス』という映画で、私が男性を犯すというシーンがあったんです。監督は適当なところで止めるって言ったのに、全然止めない(笑)。パンツも脱いであとは本番以外(演技が)ないところまできて、男優さんも焦って顔が引きつってました。予算が少ない映画で前張りもないのにカメラはお尻の方から回しているし(笑)。後で抗議したら『男優さんがあまりにもいい顔してたから』ですって!スタッフからキチガイ夫婦だって言われました(笑)」
―今後もそんなことがあるかもしれないですね
水島「絶対あるでしょうね(笑)」
ポツリポツリと噛みしめるように言葉を吐く監督と、元気で明るい水島さん。お互いを尊敬して思いやる心が周囲にまで伝わってくるような素敵なご夫婦だった。その監督がこだわった「男優の表情」、ぜひ見てみたいものである。
(取材 藍智子)
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闇打つ心臓1982(Heart, Beating in the
Dark 1982)
監督:長崎俊一
出演:室井滋、内藤剛志、諏訪太郎、他
妊娠を機に結婚した若い夫婦。未熟さゆえに、生まれた赤ん坊を育てきれずに死に追いやってしまう。罪から逃げるため、友人から借りた寂しげなアパートの空き部屋に身を潜める。その追い詰められた心理と、葛藤しながらも生は続くという現実から、人間という生き物がうまく表現されている作品だ。舞台のほとんどがアパートの一室。観ている方もともに行き詰るような迫力がある。まだ早稲田の学生だったあどけない室井と、まだ少年といった感の内藤が、未成熟な夫婦役を演じている。日本での公開は未定。
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闇打つ心臓2005(Heart, Beating in the Dark 2005)
監督:長崎俊一
出演:江口のりこ、本多章一、室井滋、
内藤剛志、諏訪太郎、他
来年全国公開の作品。一般的に“リメイク”と表現されているが、むしろこれは全く新たな作品といえる。主人公は若い夫婦(江口・本多)で、やはり赤ん坊を育てきれずに殺めてしまい、逃げている設定。時代のせいなのか、82年版の劇中では室井がしていた家事などを、05年版では男がしている。そして何の因果か、その若い夫婦と、今は別々の人生を歩んでいる室井・内藤が出会い絡んでゆくのだが・・・。生は性。新旧共に狂気や優しさが入り乱れ、追い詰められた動物のようにも見える。撮影風景や82年版の映像をフラッシュバック的に要所に差込んであるのもおもしろい。
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ロンドン・コーリング(London Calling)
監督:長崎俊一
出演:法貴和子、田口和美、内藤剛志(ナレーション)、他
『闇打つ心臓』(‘82)がロンドン映画祭へ招待され、映画祭出席のためにロンドンへ滞在した長崎監督が、日本の仲間に見せるため撮り下ろした未公開短編。13分と短いながらも、非常に楽しい作品に仕上がっている。なんと、バンクーバー映画祭のアジア映画選出担当トニー・レイン氏の若き姿も。ストーリーは、映画祭に来た主人公がある女性をロンドン中探すというもの。猥雑な映像テイストが何ともいえず、この作品が世に出ないことが惜しまれる。 |
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| 長崎俊一 |
神奈川県横浜市出身。高校時代より映画に興味を持つ。日大映画学科卒業後、自主制作映画を作り続ける。70年代後半から映画界各方面で注目浴び、88年の『ロックよ、静かに眠流れよ』、93年の『ナースコール』、99年の『死国』など多くのヒット映画やテレビドラマを世に送り出している。現在『8月のクリスマス』が劇場公開中。
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| 水島かおり(本名・長崎由美子) |
東京都世田谷区出身。バレーボールでオリンピックを目指していたが、体を壊して挫折。
流行りに乗ってタレントオーディションに応募し、合格。女優として順調な滑り出しだったが、本当にやりたいことを模索するためにいったん芸能界を離れ、3年間フリーターを経験。23歳で復帰。以来、テレビや映画で多彩に活躍する。
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