MAPLE 2005

2005年8月18日 第34号 掲載
 
北米最東端の島は新鮮な驚きでいっぱい!
ニューファウンドランド州への旅
一度は行ってみたい「遠い街」

 ニューファウンドランド州(NFLD)はカナダの最東端に位置する島だ。とは言っても、北海道の1.5倍ほどあるので、島という感じはあまりしないが・・・。NFLDの魅力は、ほとんど手付かずのままに残されている大自然。本来地球の奥深くにあるはずのマントルが地上に露出していたり、三葉虫の化石がどっさり見つかったり、カンブリア紀の断層が海岸から眺められたりと、まるで地球の鼓動を直接聞くような大自然が広がっている。ハイキングが好きで、エコツアー系の旅を楽しみたい人、特にバードウォッチングが好きな人には、ぜひおすすめしたい場所だ。

 世界遺産にも指定されているグロスモーン国立公園で、何日間もキャンプをしながらハイキングをすることもできるが、それほどのアウトドア派でなくても十分に楽しめる場所もたくさんある。初めてNFLDに行くなら、州都のセント・ジョンズに宿泊し、あちこちへ日帰り小旅行をするように日程を組むと良いだろう。
 
 
アイルランドの香りがただよう街

 セント・ジョンズはNFLD最大の町だが、人口は15万人ほど。セント・ジョンズ湾を取り囲むような斜面に、パステルカラーに塗られたかわいらしい家が並んでいる。この周辺は豊かな漁場で、15世紀ごろまでには「驚くほど鱈が釣れる海」としてヨーロッパの漁民たちの伝説の地になっていた。そして、15世紀末に、ジョン・カボットによってNFLDが「発見」され、1853年には英国領の植民地になった。ファーストネーション(先住民)の人々の歴史を別にすれば、「カナダ」はこの地域から始まったと言ってもよいだろう。

 残念ながら、今はかつてほど漁業は繁栄していないが、それでもおおらかな港町の雰囲気は十分に残っている。アイルランド系移民の子孫が多いので、英語の発音にも独特の丸みがある。もちろんアイルランド風のビールがおいしいパブもたくさん並んでいる。

 市内観光のポイントは北米最東端のスピア岬。1836年に建てられたクラシカルな灯台と、今も使われているシンプルな新灯台の2つが並んでいる。5月末から7月にかけては、運が良ければこの崖の上から鯨や氷山を眺めることもできる。もう1つの展望名所はカボット・タワー。1762年に、北米での覇権をめぐって英軍と仏軍が最後の決戦をした舞台、シグナル・ヒルの頂上付近に建てられている。この塔は、1897年にビクトリア女王の統治60周年を記念して作られたもので、まるで英国のお城のような姿だ。


 
鯨と氷山、そして パフィンに会いに行こう

 セント・ジョンズを基点にした旅のハイライトは「鯨・氷山・パフィン」ウォッチング。

セント・ジョンズの南にあるウィットレス・ベイの周辺には海鳥の巨大なコロニーがあり、ユーモラスな姿のパフィンも岩場にたくさん生息している。この周辺は、夏になるとザトウ鯨が集まってくる場所でもある。

NFLDには、世界中のザトウ鯨の3分の1にあたる、4000頭以上がやって来ると言われ、ホェール・ウォッチングのボートが鯨に囲まれてしまうことも珍しくないほど。そしてタイミングが合えば、氷山と鯨をいっぺんに見るという、本当に贅沢な体験をすることもできる。

 NFLDの氷山は、グリーンランドの氷河から海に落下した巨大な氷が、海流に乗って北極海から南下してくるもの。毎年500個は流れてくるといわれているが、その大きさや見える場所は、その年の海流や風しだい。

セント・ジョンズ湾の入り口に巨大な氷山が居座り、夏中天然のエアコンになった・・・などという雄大な逸話もある。空の青さ、氷山の蒼さ、透明な海水に透けて見える氷の青さ、そして藍色の海と、青のグラデーションの見事さは、誰にとっても長い間心に残る感動をよぶ美しさだ。

 
さらに広がるNFLDの旅
 日程に十分な余裕があれば、内陸フィヨルドやマントルが地表に露出した岩場が見られるグロスモーン国立公園や、10世紀にバイキングが上陸した証拠として知られるランス・オウ・メードウなどの世界遺産を訪ねてみたい。

広大なエリアなので、飛行機とレンタカーを組み合わせての旅がベスト。長時間の運転に慣れていないなら、日本人ガイドのいるミキ・エンタープライズ(Tel:709-747-2233/ www.mikieco.com)などの現地ツアーを利用するのもおすすめだ。
(取材・文 宮田麻未  写真 神尾明朗)