MAPLE 2005

2005年5月12日 第20号 掲載




お寝坊さんでも大丈夫。すぐ近くの別世界!ボーエン・アイランドへ小旅行

 
 週末はダウンタウンを離れて、どこか遠くへ出かけてみたい。 でも、お休みの日ぐらいは ゆっくり眠りたいから、早朝出発というのはちょっと悲しい…

そんなわがまま(?)な「旅」にぴったりなのが、ホーシュー・ベイから船で20分のボーエン・アイランド。フィヨルドの海峡を渡って、ロマンチックな小島へでかけよう。
 
 
11:35発のフェリーに乗れば大丈夫
 ボーエン・アイランドはウエスト・バンクーバーの西端、ホーシュー・ベイから出航する小さなフェリーで20分のところにある小島。船には車で乗り込むこともできるが、車無しでも十分に楽しめるのが嬉しい。ダウンタウンからは、ホーシュー・ベイ行きのバスに乗ればフェリー乗り場の前が終点。週末は朝の6時35分からフェリーが出ているが、そんなに早起きしなくても大丈夫。10時35分か11時35分発に乗れば、島のレストランでゆっくりランチが楽しめる。

 20世紀初頭から、ボーエン・アイランドはバンクーバーの人々の「小旅行スポット」だった。ユニオン・スチームシップ・カンパニーという会社が180個ものコテッジを建て、ピクニック用の広場や野外劇場などを作って、蒸気船でさかんにお客を送り込んでいたのだ。800人が踊れるダンス・パビリオンまであったらしい。

蒸気船の黄金時代にかげりがさしてきた1940年代、派手な雰囲気の海辺のリゾート地としてのボーエン・アイランドは衰退してしまう。しかし、70年代以降はこの島の深い森と、それをとりかこむジョージア海峡の美しさに魅せられたアーティストたちに「再発見」され、今も多くの人々に愛されている。と、いっても観光地としての開発はまだまだなので、ここはバンクーバーっ子の「隠れ家」的な場所。おっとりとした雰囲気はそのせいかもしれない。

 島にはかわいらしい家を改造したB&Bがたくさんあるので、数日滞在してのんびり過ごすのがベストだが、ほんの数時間過ごすだけでも心も体もリラックスできる。短いけれど、船の旅というのが気持ちをすっかり切り替えてくれるからかもしれない。
 
フィヨルドの海と残雪が輝く山々

 ホーシュー・ベイから船に乗り込むと、すぐ目の前に沿岸部山岳地帯の山々が広がり、フィヨルドの美しい海岸線が続く海峡が見渡せる。これだけでも、旅気分は十分に満足させられるだろう。氷河が通り過ぎた後に残された小さな島々が深い藍色の海に浮かんでいる。風が心地よいので、晴れた日は最上階のサンデッキにほとんどの人が出ている。人が多すぎると感じたら、船室に入ってみよう。進行方向の一番前の席を確保できれば、静かに景色を満喫できる。

 5月から6月の初旬ごろまでは、山々の頂付近に残った雪がキラキラと輝いて見えるはず。双眼鏡があれば、入り江の奥の山にティアラのように載った氷河も見えるだろう。ナナイモへ行く大型のフェリーとすれ違うときが一番のシャッターチャンス。時々はシャチも姿を見せるので海面にも気をつけよう。

 
ユニオン・スチームカンパニーの夢の跡
 島についたら、左手に見えるクラシカルな展望台のついた建物をのぞいてみよう。ここはユニオン・スチームカンパニーの事務所だった建物。このほかにも、蒸気船会社の時代のかわいらしい建物が図書館や観光案内所、レストランやB&Bに生まれ変わって並んでいる。この周辺にレストランが数軒あるので、まずゆっくりランチを食べてみよう。お弁当持参なら、メモリアル・ガーデンの中にあるベンチか、その北側にある橋のたもとのベンチがおすすめ。橋からはディープベイの海と山々が見渡せる。

 食事の後はフェリー乗り場のすぐ右手にある桟橋のお店でカヤックを借りて海へ出るのもいいだろう(ここでは自転車も借りられるが、島はけっこう坂道が多いので要注意)。それとも森の中の散策はいかが?図書館の前や観光案内所で「Crippen Regional Park」の地図を入手しよう。往復1時間足らずの散策コースから、岩場もある傾斜のきついハイキングルート(ただし距離は短い)まで、いくつものルートが紹介されている。どのルートも整備された道標があり、初めての人ばかりでも十分に楽しめる。


 おすすめはブライダル・ベールという小さな滝への道。ほとんど平らな歩きやすいトレイルで往復1時間足らず。滝には鮭の遡上を助ける「魚の階段」も設けられていて、秋にはここを登ってくる鮭をみることもできる。ジョージア海峡の雄大さを味わうなら、ややキツイ坂道があるがDorman Point Trailがおすすめ。高台にたどりついたら、ホワイトクリフ公園の岩場やブリティッシュ・コロンビア大学のあるポイント・グレイの半島、そして天気が良い日ならアメリカの山々まで見渡せる。さらには、青鷺や白頭ワシなどが大きな翼を広げて舞うのを見るチャンスもあるだろう。
 
アートな気分の日はアーチザン・スクエア

 アーチザン・スクエアは島で一番新しい「みどころ」。フェリー乗り場からトレイルを通って20分ほどのところだが、坂道なのでシャトルバスを利用すると良いだろう。見晴らしの良い丘の上に、島に住むアーティストの作品を集めたギャラリーや手作りのアクセサリー、インテリア小物のお店などが集まっている。手づくりパンがおいしいBowen Bistro やチョコレートが主役のCocoa West Chocolatierなどのカフェもある。

 島で夕食を食べて、20:35分のフェリーで戻れば、夕陽に照らされた静かな海を眺めながら帰ることができる。しかし、早めにホーシュー・ベイにもどり、フェリー・ターミナルの近くのレストランで夕食、またはパブで生ビールというのも別の楽しさがある。ホーシュー・ベイは小さな入り江を見渡すコミュニティ。ボーエン・アイランドより、少しオシャレな感じの店が多いので、ここで気分を変えると小さな旅にもう一つ思い出を増やせそうだ。

 
データ

ダウンタウンからのバスの情報は
www.translink.bc.ca


フェリーの情報は
www.bcferries.com

ボーエン・アイランドの情報は
www.bowenisland.org

(取材・文 宮田麻未 写真 神尾明朗)