MAPLE 2005

2005年4月28日 第18号 掲載




大空を翔る夢をかなえよう!カナダの大空フライト体験

 
  大空を自分の手で飛んでみたいーカナダのような澄みわたる空を知ったらなおのこと。その大空へ羽ばたく夢をただの憧れに終わらせない道がここにはある。

 早速その一歩である「体験フライト」に挑戦するために、バンクーバーから車で1時間、デルタ・バウンダリーエアポートにあるフライトスクール「FLIGHTEC」に足を運んだ。

 指導にあたってくれたのはインストラクターの平野直樹さんだ。
 
 
飛行前にショートレッスン
 最初に講義室で説明を受ける。「飛行機は左右の座席にある操縦桿やペダルが連動しているので、もし2人が同時に動かせば、力の強い方が勝つんですよ。でもそれでは困りますから、必ずどちらかが責任をもって操縦しますが、その確認のための合言葉があるんですね」と教えてくれたのは、相手に『I have control』と言われれば『You have control』と答えてペダルや操縦桿から手を離すようにというもの。

逆に『You have control』と言われたら、私は即座に操縦桿をしかと握って『I have control』と答えることが必要なのだ。いつぞや見た木村拓也主演のパイロットのドラマを思い出させるやりとりだ。そのほか、周りの状況を目で確認するためのテクニックなどを教わった後、いざフライトへ。
 
2人の機体で空に飛び立つ!

 滑走路に出てみると、約 機のセスナが目に入る。私たちが乗り込んだのは2人乗りセスナ機。機内は軽自動車にいるような感覚だ。目の前にはずらりと計器やボタン類が並んでいるが「今日は計器は気にせず体で機体の動きを感じて操作しましょう」と平野さん。マイクの付いたヘッドホン(ヘッドセット)を装着してかなり気分が盛り上がってきたレポーター。

その間にも平野さんはあちこちのボタンやレバーを操作しては、機体の機能状況を確認したり、周囲を目視したりと、数多くの点検を流れるように行っていく。

 管制塔との交信のための周波数をラジオにセットすると、他の飛行機と管制塔との交信が絶え間なく耳に飛び込んできて、やや緊張するレポーター。とはいえ、離着陸は平野さんの仕事。私は安定した飛行状況に入ってから操作が体験できるとのことだ。機体を滑走路手前に移動。そこでもさらに点検を行い、いよいよ離陸に挑む。

 
自分で操縦できる醍醐味を味わう
 座席のすぐ下にある車輪の動きを感じながら、ぐんぐん速度を上げて進むと、ほどなくしておしりが軽くなったようになり、私は空の人となっていた。眼下には右手に海、左手には畑と森の緑が広がる。海がきらきらとしてまぶしい。その美しさに「おおーっ!」と叫びたかったが、飛行の邪魔になってはいけないと自制。左に旋回していくと、前方を横たわるフレーザー川が目に入る。自分が訪れたことのある場所を探したり、新緑の広がりに夢中になって、私は平野さんに教えてもらった周囲の確認方法をすっかり忘れていたことに気が付いた。

そんな折、「そろそろ操縦してみましょうか」と平野さん。続けて『You have control』と私に指示を出した。私はパッと操縦桿を握り、ペダルに足を置いて『I have control』と返答。続けて平野さんは「あの前方にある赤い橋を目指していきましょうか。少し操縦桿を左に倒したり、引いてみたりしてみてください」と指示した。

 おっかなびっくり操縦桿を少し倒してみると、数秒後に機体がぐぐーっと左に傾く。左側に乗っている私からは左方は地上の風景で一杯になった。「右に動かしていいですか?」と確認して右へ操縦桿を切ってみる。

 やはり少し遅れて機体がフラットな状態になる。少し操縦桿を引いてみると、ゆっくりとした曲線を描いて機体が上向きになり、目標にしていた橋が見えなくなった。それを自分の感覚で元に戻す。やや高度が下がったということで、平野さんに操縦をバトンタッチする。緊張気味だった私はほっとひと息。

 再びゆったりと周りを眺める。ノースバンクーバーの山々、ダウンタウン、バーナビーマウンテン、アレックスフレーザーブリッジ、サレーの町並み…すべてが自分の視界に入る。海・山・川・森・町並みの調和したグレーターバンクーバーの魅力を、一度に味わっているような気分だ。1畳ほどもない空間の外、私の前後左右を取り囲んでいるのは空だけ。そこを悠々と飛んでいると、地上で生きているときとは、考え方の尺度も変わってしまいそうだ。

 機体の窓を開けてみるとビュービューと勢い良く風が入り、相当なスピードで移動していることを実感。そうこうして何度か操縦を交替した後に、機体を着陸態勢へ。どんどんと地上が目の前に迫り、スムーズにランディングを終える。大型旅客機のようなアナウンスを待つことなく、厚さ数センチのドアを開ければ、そこが地上なのだった。

 本格的に訓練を受けて見たい人は、体験フライトの後に講習の説明を受けることができるという。何度も飛んでいる平野さんにとって、空を飛ぶ魅力とは何だろうか。「何と言っても『飛んでいる』という事実に毎回感動していますね。『飛ぶ』ためには操縦技術だけではなく、天気の移り変わりの予測や適確な状況判断などが要求される、その緊張感が魅力につながるんだと思います。でもその一方で、バンクーバー近辺の美しい自然と、四季の移り変わりを空から眺めることで『飛びながら癒されている』のも事実ですよ」。

 飛行機のことを話し始めると目がとたんに輝き出す平野さんは、こうした空の魅力に惹(ひ)きつけられてしまった一人のよう。料金も手頃な体験フライト。空の魅力を肌で実感してみたい人はぜひ。
 
体験フライト  
料金$40.66
飛行時間30分(説明と点検時間を含めると1時間半程度)
 
行き方
車の場合
ハイウェイ99を南下、リッチモンドを過ぎてトンネルを抜ける。
Exit28でハイウェイ17に乗り換える(「BC Ferries」の標識に従う)。
ハイウェイ10との交差点(歩道橋が目印)で左折。
やがて右手に「Boundary Bay Airport」の看板が見えきたら右折。
踏み切り直後のT字路で左折すると、やがて右手に空港ターミナル(平屋建て)が見えてくる。

バスの場合

ダウンタウンのBurrard Stationから「601 Ladner Exchange」行きに乗る。
Ladner Exchangeで「318 Scottsdale Exchange」行きに乗り換え、Boundary Airportで下車。