MAPLE 2005
2005年1月1日 1号 掲載
冬こそ楽しいカナダ東部の旅 Part1 「ゆったりと印象派の世界に出会うオタワへの旅」
カナダの風景の美しさや人々の暮らしの素顔に出会うなら、夏の観光シーズンばかりでなく、冬の旅もぜひ体験してみたい。
言うまでもないが、カナダは北国。長い冬をどう楽しく過ごすかに人々の暮らしの知恵が発揮されているからだ。
カナダ東部の冬の旅シリーズの第1回目は首都オタワ。
国会議事堂をはじめ、連邦政府のお役所の並ぶ街・・・というイメージが強いせいか、ここを観光で訪れる日本人はあまり多くない。
しかし、オタワには素晴らしいコレクションで世界的に知られる国立美術館をはじめとして見所も多く、運河でアイススケートを楽しむという、カナダならではの体験も手軽にできる。
ガラス張りのユニークなデザインで知られる国立美術館 |
「グループ・オブ・セブン」の描いたカナダと出会う
日本の大都市では毎日のように有名な美術作品を集めた展覧会が催されている。
しかし、どの会場も驚くほどの混雑。人波に押され、頭越しに作品を眺めるだけになりがちだ。
しかし、オタワの国立美術館でならめったにそんな混雑はない。
十分に距離をとって、大きな作品の全体を鑑賞する楽しみは日本ではなかなかできないことだ。
特に現代彫刻などでは、作品周囲の「空間」も芸術のうちだそうだから、日本のように狭いところにぎっしり作品が並べられた展覧会では味わえない感動が期待できる。
この国立美術館では、「グループ・オブ・セブン」の作品を集めた、カナダの絵画セクションをぜひ訪れたい。
「グループ・オブ・セブン」は、トム・ソムソンやローレン・ハリスらが1920年代から始めた画風。
カナダの荒々しい自然の壮麗さに注目し、紅葉の美しさや湖の静謐さをキャンバスに描いたのも彼らだ。
もちろん冬景色を描いた作品も味わいがある。
また、この美術館にはヨーロッパの有名画家の代表作といわれるようなものは少ないが、モネやセザンヌ、ピサロなど、印象派の秀作が集められている。
ピカソやゴッホなどの作品を誰にもじゃまされず、ゆっくりと楽しめるのもオタワならではだ。
オタワには美術館ばかりでなく、国立科学技術博物館、ヒットラーの愛車などもある戦史博物館、航空博物館、コイン博物館まで、大小の博物館がたくさんある。
これらを巡るだけでも、十分に数日は楽しめる。なかでも見逃せないのは、オタワ川をはさんで国立美術館の対岸に建っている国立文明博物館。
ここにはカナダのファーストネーションやイヌイットなど、先住民の文化遺産がたくさん集められている。
入り口から大ホールを見下ろすと、たくさんのトーテムポールが並んでいて、その生き生きした迫力には圧倒されるものがある。
カジノへはダウンタウンから市バスでアクセスできる |
博物館ばかりでは…という人にはカジノもある!
「知識系の見学ばかりじゃ、ちょっと飽きるかも?」という人にも、オタワは十分楽しい。
まず、国立文明博物館のあるガティノー市(旧ハル市)にあるカジノ。
ケベック州の公営カジノなので、安全でくつろげる。
ただし、ヨーロッパの高級カジノの雰囲気を見習おうとしているようで、あまりカジュアルな服装では歓迎されない。
ちょっとオシャレして出かけよう。カジノにはヒルトンホテルが併設されているので、寒さと一切関係なく、カジノ三昧の休暇を楽しむこともできる。
またヒルトンにはスパの施設もあるので「きれいになる」をポイントにしてもいいだろう。
せっかく首都に来たのだから、国会議事堂の内部見学もおすすめだ。
晴れた日なら、中央のタワーの上まで昇って真っ白に雪化粧されたオタワの街を見下ろすのもいいだろう。
家族連れなら、国立農業試験場の農場Central Experimental Farmもおすすめ。
冬季はカナダの農業に関する展示会場は閉鎖されているが、牛や馬、かわいらしい小動物などの家畜を集めた巨大な納屋や牧場は無料でオープンされている。
もうひとつ、オタワならではの冬の楽しみは運河でのアイススケート。
街の中心を流れるリドー運河が世界一長いアイスリンクになるのだ。
(円形ではないので、リンクというのはちょっと変だが)。
スケートのレンタルショップもあるので、旅行者も市民と一緒に楽しめる。
冬の満月の光に浮かびあがった国会議事堂 |
食べ物もおいしいオタワの冬
オタワは味にうるさい(?)高級官僚たちの注文に応えてきた有名レストランがたくさんある。
イタリア料理のMamma Teresaや運河を見渡すロマンチックなカフェ・レストランCanal Ritz、フランス系カナダ料理のClair de Luneなどが、地元っ子のおすすめ。
もっと気軽に食べたいときは、ダウンタウンの中心にあるバイワード・マーケットに行こう。
オタワ周辺の農家から運ばれてくる野菜や果物をはじめ、手づくりのアクセサリーなども売られている。
そうそう、マーケットに行ったら、ビーバーテールと呼ばれるドーナツのようなお菓子をぜひ食べてみよう。
揚げたてのホカホカを食べれば、寒い風も気にならない。
フレンチフライの上にたっぷりチーズとグレービーのかかったプーティーンも冬においしいスナックだ。
(取材・文 宮田麻未 ・ 写真 神尾明朗)