2005年6月23日 第26号 掲載

このページは、バンクーバーで活躍している
日系起業家を紹介しているコーナーです。


不動産セールス
吉村秀彦 さん

 バンクーバーウエスト、落ち着いた住宅街に囲まれた 番通りの一角にあるオフィスで迎えてくれた吉村秀彦氏。大柄でがっしりした体格とは対照的に丁寧で控え目な印象だ。

 不動産セールスに至る道のり 北米に関心を寄せていた吉村氏は、大学卒業後、就職して資金を得た後はすぐに海外へ飛び出そうと計画していた。そのため就職先には
短期間で様々な経験をさせてくれる建築資材を扱う商社を選んだ。その商社は、社員一人ひとりが経営者の頭を持つようにと、新入社員にも経営者研修を受けさせ、個人に取引きの決済権を与えて売り掛けから集金までを任せるような会社だった。

入社から3年後、吉村氏はその会社での学びを携えてカナダに渡り、旅行会社に就職して手配や企画、セールスの経験を積んだ。永住権を取得後は「自分のペースでできる仕事をしたい」と可能性を探った。その際、資本がそれほど必要でなく、これまで得たセールスの経験や建築資材の知識を生かせるものとして不動産の仕事が浮かび上がった。元々住宅に興味があり普段からオープンハウスに度々足を運んでいたことも、仕事の選択につながったようだ。
  

建物自体の耐久性を考慮したアドバイスを

 一般住宅の購入を考える人は、見かけの印象やキッチンがリノベーションされているかなどを重視しがちだが、見た目は良くとも、建物自体に問題がある場合もある。吉村氏は住宅の検査官と共に屋根の上にも上がり、家の状態を自らの目で確認する。建築資材に詳しい吉村氏は、確認した家の状態を踏まえて外壁の塗り替えや屋根の葺き替えが何年に1度必要かといった、メンテナンスにかかわる知識を顧客に提供していく。

また、断熱の状態や設えてある暖房器具を見て、十分な暖房環境かを確認して「窓を二重に変えた方が快適」といった提案も行っていくという。同時にそうしたメンテナンスやリノベーションにどの程度のコストがかかるかを購入前に伝えることで、顧客はトータルのコストを含めて購入を判断することができる。

 「今はインターネットを通じて物件情報はどなたにも手に入りやすくなっています。そうした情報ではわからない知識の部分をなるべく提供していきたいと思っています。物件を売買するときは、楽しみと共にプレッシャーがありますよね。そのストレスをいかに軽減してあげられるかをいつも考えて行動しています」と吉村氏は語る。たとえば忙しい共働きの家族のために、家の清掃や修繕の手配を代わって行うなど、それぞれの人たちにとって何が重要なのかを考え、一番助けとなることに気を配っているという。

 「仕事のやりがいは?」との問いに「やったらやっただけ結果が出てくることですね。怠けると収入が減りますし(笑)。良いプレッシャーを受けながら仕事をしている感じです」と吉村氏。「座右の銘は?」との問いには少し考えて「好きな言葉は『武士道とは死ぬことと見つけたり』ですね。

昔の武士は戦や決闘でいつ死んでも良いような心構えがあったのだと思う。自分自身、あの時ああすれば良かったということがないので、極端な話、今すぐ死んでも後悔しないと思っています。そしてこれからも後悔しないように生きていきたいです」と少し照れながら答える吉村氏。氏の誠実でまっすぐな姿勢が全身から伝わってきた。

(取材 平野香利)

吉村 秀彦氏(Fred H.Yoshimura)プロフィール
 栃木県出身。1969年生まれ。日本大学法学部出身。大学時代はアメリカンフットボールに熱中したスポーツマン。商社時代に叩きこまれたものが今も大きな助けとなっている。
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