SPECIAL 2004

2004年10月 43号 掲載



企友会主催2004年度 第3回 トーク&トーク
「誰にでも出来る!! 会社設立」

 


参加者の質問に対応するドン西尾氏(左)とゲァリー・J・マトソン氏


  企友会主催第3回トーク&トークが10月14日バンクーバー市のInternational House Vancouverで開かれた。テーマは、「誰にでも出来る!!会社設立」、講師は、企友会顧問弁護士のゲァリー・J・マトソン氏とカナダ公認会計士・カナダ税理士のドン西尾氏。

 この講演会はこれまで、第1回「あなたのビジネスにおけるホームページの効果について」、第2回「誰にでも出来る!!輸入ビジネス」と開催し、多くの参加者を集めてきた。今回も約70人が参加、明日の起業家を目指す人たちの熱気であふれていた。

 日本語を流暢に操る両氏が各分野で簡単に起業のポイントを説明したあと、質疑応答形式で会が進行。講演会内容に加え、質問とその回答も紹介しよう。

新事業設立のためのチェック事項
−カナダ公認会計士・カナダ税理士、ドン西尾氏−


 新事業を開催するにあたって、必ず考慮したいチェックポイントを紹介。西尾氏の事務所に相談した場合には、このチェック事項を参考に依頼者と2、3時間かけてじっくりと検討するほどの必ず考慮したい重要事項が含まれている。

●一般:収入、ビジネスの成長などの目標、ビジネス・マーケティング計画、予算など

●組織:経営形態(自営業、共同経営、法人)、株式の種類、株主、取締役など

●資本・開設準備:開始時の運転資金、既存企業の買収、事務所・店舗、固定資産など

●予算:収入、売上原価、売上総利益、経費(会計、保険、ローンの利息、従業員給与、所得税など)

●資金調達・金融
:どこから資金調達をするのか。株式資本、株主ローン、銀行ローンなど

●事務所・店舗:場所、広さ、リース、自宅内事務所、倉庫など

●従業員
:労働基準法、フルタイム・パートタイム、給与、福利厚生など

●免許・許可証:市の営業許可証、州の免許(酒類販売、衛生、環境など)

●登録:法人税ビジネス番号、GST、雇用者納税番号、PST、労働災害保険

●社内規則と手順:業務マニュアル、ファイルシステムなど

●マーケティング:カナダ国税庁とBC州税務局への提出物、税金プランニングなど

 会社を設立する前に考慮する項目として、「会社が倒産する3つの原因」を紹介、
1.客層がだれなのか、何を売るか、いくら売るかなどを計算していないこと、
2.ビジネスになるかどうかの判断なしに、趣味でビジネスを始めること、
3.利益以上に、キャッシュフロー、お金の流れが大事であることを考慮しないこと、が挙げられるという。

 さらに、ビジネス開始時の運転資金について、一般に会社設立から軌道に乗るまでの1、2年は自分への給与なしで経営していくというケースが多いので、その間の生活の余裕がない場合は、会社を続けていけないケースがあること、1年間の新規設立会社のうち2年以内には半分が倒産していることなど、「みんな簡単に出来ると思っているけれど、本当に経営していけるのかということを考えて起業して、成功してほしい」とアドバイスした。


法律的な観点から法人設立に向けて
−企友会顧問弁護士、ギャリー・J・マトソン氏−


 法律的な観点から、おもに法人会社設立に向けてのアドバイスをしたマトソン氏は、まず、今年4月から新会社法(the Business Corporation Act)が適用されたこと、BC州には会社設立についてさまざまなサポートをしてくれる公共機関Canada/BC Business Services Society(601W. Cordova St.
TEL:604-775-552、 1-800-667-2272、www.smallbusinessbc.ca、英語のみ)があるのでそこでアドバイスを受けるのも一つの方法であることを冒頭で紹介した。

法人会社設立の手順

●会社名の登録(Name Reservation)
:名前の中には、Distinctive Element(固有名):Descriptive Element(事業名):Corporate Designation(Co. Ltd. Inc)の3つの要素を必ず入れる。最後のCo.(Corporation)、Ltd.(Limited)、Inc.(Incorporation)は、どれも同じ意味で株式会社を指す。どれにするかは自分の好み。登録料は30ドル。
●会社設立日(Incorporation Effective Date):設立日は基本的に申請が受理された日。しかし、100ドルを支払えば指定出来る。
●設立者(Incorporator Information)
:設立者は個人または法人でも可。
●代表取締役(Director Information):最低ひとりの代表取締役が必要。この場合必ず個人でなければならない、法人は不可。ただし、新法では代表取締役がBC州に在住している必要はない。
●株式の形態(Share Structure):普通株、優先株など
●通知(Notification):法人申請結果の通知形態を選択する。現在は全て電子化されたため、申請してから約1週間以内に結果が分かる。

 これは法人を起業する場合に最低限必要な手順の一部で、必ず専門家にアドバイスを受けることが起業後の対応のことも考えても賢明とのこと。

 法人設立は自営業よりも複雑で、費用もかかり、毎年年次財務諸表(Annual Financial Statement)を制作しなければならない。

  しかし、法人会社にしたほうが自営業よりも有利な点は、個人的に会社の責任を負う必要がないこと。法人の場合は、会社の負債が個人資本にまで及ばない点で業種によっては法人が適している場合があるということ。

質問・回答
 ここでは、参加者から出された質問とその回答をいくつか紹介。

Q:自営業の場合のタックスリターン(税金申告書)は?

西尾氏:T1という個人用で申告します。添付書類は自営業申告の場合は、損益計算書という特別の計算表を使用。

Q:自営業設立は複雑ですか?

マトソン氏:弁護士やサービスセンターをわざわざ使わなくても簡単に出来ます。

西尾氏:さらに自営業の場合、登録を必ずしもしなければならないと言うことではありません。ただし、営業名を登録したい場合は自営業登録をした方がいいですが、とくにこだわらなければ必要ありません。

Q:でもどこかに「自営業です」と通達しないと自営業者にはならないのではないのですか。


西尾氏:税務上は登録が必要です。しかし、法的には必要ありません。

Q:自営業として税金を処理したいのであれば、T1に自営業として申告すればよいということですか。

西尾氏:そうです。

Q:自営業で自宅に事務所を構える場合、なにか制約がありますか。部屋のサイズや設備など。


マトソン氏:特にありません。お客さんが来たりして何かあった場合、訴えられるようなことがある危険性がある職種であれば、法人にした方がいいでしょう。

西尾氏:自宅の場合、税務上ではその一部は経費になることがあります。家の保険やローン、光熱費などです。

Q:日本に本社があってのカナダ支店と、カナダ本店での日本支店はどちらがいいですか。


マトソン氏:会社の目的によります。それに、カナダ支店にするか、子会社にするか、全く新しい会社にするかという選択肢もあります。

Q:BC在住だが、日本とBC州で収入がある場合は、どのように扱えばいいのでしょうか。ビジネスの便宜上日本の講座に振り込んでもらった方がいい場合が多いのですが、カナダの収入として申告しなければならないのですか。

西尾氏:カナダ居住者の場合は、世界中どこで収入を得ても、カナダで申告しなければなりません。

Q:日本で収入を得た場合の所得税と、カナダでの所得税との関係はどうなっているのでしょうか。

西尾氏:日本での収入や経費など全てカナダドルに換算して申告するのが原則です。

 法的には簡単ですが、実務的には、円とドルの取引がありますから少し複雑です。

 カナダ税務署では換算レートには特別なルールがないですから、妥当なレート、例えば一年中取引があった場合、一年の平均レートで換算したりすることもあります。

 日本で営業をしたら日本でも申告しなければならないというルールがあると思いますが、その場合、カナダで申告する時は二重課税にならないように、日本で支払った分の税金に対しては控除されます。