SPECIAL 2004
2004年7月 31号 掲載
ラッセル・マーク日加協会会長。RM Catalysts事務所にて |
昨年5月から日加協会会長に就任したラッセル・マーク氏。日本における外交官としての経験や幅広いネットワークとその人柄で、バンクーバー日加協会を率いている
ブリティッシュ・コロンビア州日加協会
オタワに日本大使館が開設された1928年と同年 「The Japan Society of Vancouver」(バンクーバー日本協会) が設立された。在日カナダ大使館が開設されたのが翌年の1929年。
この時代、日加友好関係樹立を目的とする唯一の相互的団体としての役割を担っていた。
その後、第2次世界大戦で一時活動を停止したものの、1950年代日加国交正常化とバンクーバー領事館再開を機に再び活動を始め、1963年2月正式名称を
「The Canada-Japan Society of Vancouver」(バンクーバー日加協会)と変更、規模も拡大し、活動も盛んに行われた。
1992年5月、同会はバンクーバーだけでなくブリティッシュ・コロンビア州を代表する日加間友好の架け橋となるべく、「The British Columbia
Canada-Japan Society of Vancouver」(ブリティッシュ・コロンビア州日加協会)と名称を改め、新たな歴史の一ページをめくる。
現在、会員は約250人、法人会員 社約120人、個人会員、退職者会員約130人が登録している。
活動内容
社交的な場を提供することを最優先する催しを企画、運営することを主な活動としている。一年で最大のイベントは、毎年秋に行われるフォール・ディナー。毎年180人から230人ほどが集まって、親交を深めている。
その他にも、ブレックファースト講演会、ワイン&チーズといったイベントも企画。年間を通して活発に活動を行っている。
これらの企画を実際に運営しているのが、マーク氏の片腕、ジョン・モンゴメリー氏。「彼なしでは、日加協会のイベントは成功しませんよ」と微笑む。
「私たちが心がけているのは、会員の皆さんにとってどんな人の講演が興味あるのか、講演内容はどんなものがいいのかということをいつも念頭に置いて、企画することです。有名人であれば誰でもいいということではなく、会員にとってためになる講演を行ってくれる人というのが基準で、講演会などを開催しています」と話す。
「今年の講演者を挙げると、2月初めには日本から富士ゼロックスの元副社長米村紀幸氏、在日カナダ大使館のパクストン氏、3月は在日カナダ大使館公使参事官経済担当のブレーク氏、4月はオタワからカナダ外務省日本担当者と、経済に関係する後援会が多く続きました。
ただ、面白いのは、彼らの視点がそれぞれに違うことです。
米村氏は、日本人の視点で、パクストン氏はカナダ人の視点でそれぞれに日本経済について話しましたし、ブレーク氏においては、もっと現実的な視点から日本経済を分析、講演を行いました。こういうさまざまな視点からの意見を聞けることがこの講演会の利点です」と話す。
高円宮妃久子さま、 バンクーバーご訪問
今年6月日加修好 周年を記念してカナダ政府の招待により、高円宮妃久子さまがカナダをご訪問。バンクーバーでの滞在は7日から9日まで、日系社会にゆかりの深い土地を積極的にまわられた。
なかでも6月8日パン・パシフィックホテルで日系関連 団体約200人が参加して妃殿下を歓迎したレセプションは、日加協会にとってもマーク氏にとっても印象深いものとなった。
日加協会が中心となって行ったこのレセプション、マーク氏が進行役を務めた。
「私にとっても日加協会にとっても、とても光栄なことでした」と微笑んで、「面白いのは、私があのレセプションで司会進行を務めたのは、私が日加協会の会長だからという理由ではないのですよ」と笑って話す。
「日加協会が中心だったのですが、私が進行役を務めた理由は、あの時3人のまとめ役がいたのですが、まず私が個人的に妃殿下を存じ上げていたこと、領事館・外務省との関係が深いこと、そして会場となったパン・パシフィックホテルとの間に親しい関係があったことが理由なんです。
さらに、日本語が話せるということで、結局私が務める形になったんですよ。だから、別に日加協会会長だからというのが理由ではなかったんですよ」とちょっとした秘話を披露。
日加協会のネットワークの広さや長い歴史をかけて作り上げてきた日系社会への信頼感だけでなく、マーク氏個人への信頼感と幅広い交友関係があの大役を務める理由となったようである。
バンクーバー日系社会での日加協会
BC州で最も歴史の長い日加関係団体である日加協会は、高円宮妃ご訪問時のレセプションでの活躍に見られるように、ほかの日系団体との繋がりも深い。懇話会をはじめ、日系プレース、木曜会は古くから交流がある団体で、8人の日加協会理事会委員のうち、4人は同3団体から選ばれている。
さらに、日本カナダ商工会議所や企友会、隣組など、各団体が催すイベントに積極的に参加するなどしてそれぞれと交流を図っている。
「ただし、各団体それぞれ目的が違うので、共同でひとつのことを行ったり、共同イベントを開催したりという企画は今のところ持ち上がっていません」と横の繋がりを大切にしながらも、各団体の意図、目的は尊重するという理想的な関係を築く努力をしている。
また、カナダに在住した経験のある政財界人で形成され、約200人の会員を持つ日本の日加協会とも交流が深い。「私も以前は会員でしたし、今でも年2回発行されているニュースレターに執筆しています。
お互いに講演者を紹介したり、講演したりと、盛んな交流を行っています」と日本との繋がりも大切にしている。
親睦を深めることが最大の目的
「私がなぜ日加協会のメンバーにそもそもなったかというと、同じような興味を持っている人たちに出会える機会が増えると思ったからです。
そして日加協会の目的も、『ブリティッシュ・コロンビア州における日加市民の間の友好と理解の促進を図り、発展させることです』とホームページ上でも紹介されているように、あくまでも共通の興味を持つ個人の親睦を深める場を提供することです。
ここでのキーワードは、友好と理解。特にビジネスチャンスを作るためだけの会ではありません」という。
「もちろん、お互いに友好を温め、のちにそれがビジネスに発展するということは大いにあり得ますし、そうなってくれたら嬉しいです。そういう風にネットワークを広げて行く場として有効に利用してもらえればいいですね」と語る。
これからの日加協会
「どの団体もそうだと思いますが、まず、会員を増やしていくことですね」と言う。最大時には350人ほどの会員を有していたが、日本経済の落ち込みに比例してその数も減少。
「やっぱり、日本経済が活気を取り戻し、安定すれば人々の興味もまた日本に向くと思います。
しかし、こればかりは私たちではどうしようもないので、私たちができる範囲で、私たちが得意とする分野、つまりBC州に住む日本に興味のある人たちがお互いに友好と理解を深める機会を与えることを続けていきたいと思います」と、これからも今まで通り、社交的な場を提供する団体としての立場を持ち続けていくと語った。
(取材 三島直美)
ラッセル・マーク氏
ビクトリア出身、中国系4世。ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。カナダ公認会計士。
UBC学生時代ラグビーの代表として初訪日。のちに中央監査法人で会計士、BC州政府駐日代表、在日カナダ大使館投資振興部参事官などとして 年間日本に滞在、現在はRM
Catalysts Ltd.社長。バンクーバー在住。