SPECIAL 2004

2004年6月 26号 掲載


知って得する、カナダで受給する国民年金
ファイナンシャルプランナー 飯田道子さん

 

    日本人であるならば、20 歳以上は必ず加入しなければならない国民の義務、国民年金。しかし、海外に住んでしまったらどうなるのかということは以外と知られていない。

  そこで今回は、海外在住者のための国民年金制度について紹介しよう。今回協力して頂いたのは講演のためバンクーバーを訪れていた、日本でファイナンシャルプランナーとして活躍している飯田道子さん。

  カナダでの年金の受給や加入方法など、役立つ情報が満載の話しとなった。

国民年金とは


 「国民年金は、老齢、障害、死亡について、すべての人に共通の基礎的な年金給付として、基礎年金が支給される制度」(社団法人日本国民年金協会)。日本に在住している日本人であれば、 20歳以上 歳未満の人は必ず加入、 60歳を過ぎると段階的に年金が給付される年金制度のこと。会社員が加入する厚生年金や公務員が加入する共済組合は国民年金に上乗せして支払っている制度で、これらの加入も 20歳以上60歳未満となっている。

海外在住者の国民年金


  では、海外に在住している人は、加入もしくは受給ができないのだろうか。カナダ在住の場合について紹介しよう。

1、カナダでの国民年金受給

  年金給付には3種類、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金とあるが、ここでは、老齢基礎年金の場合について紹介する。
 老齢基礎年金とは、いわゆる一般的に「国民年金を受け取る」と言われる時の年金のことを指す(以下年金と称す)。
 日本に在住していた時に加入していた国民年金(厚生年金、共済組合)は、カナダでも受け取ることができる。

A 受給資格者とは?

●日本国籍を有すること

● 20歳から 60歳までに最低25 年以上国民年金に加入していたこと(免除期間を含む)

左記の条件を満たしていれば、カナダで年金を受給できる。

B カナダ国籍を取得した場合は?

  カナダ国籍を有している場合でも、すでに25年の最低年金加入義務期間を終えた後カナダ国籍を取得した場合は受給できる。 25年の加入期間中に国籍を取得した場合は、年金加入資格がなくなるため受給もできない。ただし、その場合は脱退一時金を請求できる。

 脱退一時金とは、加入途中で外国籍を取得したために加入資格を失ったり、日本人以外の人が日本での就労を終え年金加入資格を失った場合に、それまで支払った年金の一部を払い戻してもらえる制度。半年単位、最高3年分まで請求できる。

  国民年金のみに加入していた場合の脱退一時金最高額は約24万円。ただし、日本で年金加入の資格を失ってから2年以内に請求しなければならない。請求先は、社会保険業務センター業務渉外課。

C 受給が始まる年齢と受け取れる金額は?

 年金を受給できる年齢は11 段階に分かれていて、年齢、加入年金の種類(国民年金、厚生年金、共済組合)、性別によって決まる。

 例えば、1年以上会社員として厚生年金、もしくは公務員として共済組合に加入していた人で、退職後国民年金に加入した人の場合、60 歳から国民年金と厚生年金/共済組合が受給できる人もいれば、国民年金は61 歳から、厚生年金/共済組合は60 歳から受給できる人と個々により異なる。

 受給金額も、それぞれの加入期間や支払った保険料によって決まる。そのため自分の場合はどうなるのかというのは必ず社会保険業務センターもしくは社会保険事務所に問い合わせること。

 ただし、国民年金のみに加入していた人の場合、加入年金の種類に関係なく1961(昭和36 )年4月2日以降生まれの男性、1966(昭和41 )年以降生まれの女性の場合は、一律65 歳からの受給となる。

 カナダに滞在していても、受給年齢や金額は基本的に日本の場合と全く同じである。

D 年金受給の手続きは?

 年金受給の手続きは、国民年金加入期間のみの人(第1号被保険者)は、日本での最終住所地の市区役所・町村役場で、厚生年金・共済組合加入者(第2被保険者)、またはその配偶者(第3被保険者)としての加入期間がある人は社会保険事務所や共済組合で手続きをする。

 自分がどこで手続きをしたらいいのかわからない場合、日本での問い合わせは社会保険事務所や年金相談センターへ、カナダから郵送で問い合わせる場合は社会保険業務センターへ。

  その場合、基礎年金番号、海外在住期間など自分の情報や何について知りたいのかを詳しく明記すること。

 基礎年金番号とは1997年1月1日付けで発行された年金番号。加入する年金制度の種類にかかわらず、この番号で一貫して加入手続きや照会ができる。

 基礎年金番号がわからない、もしくは持っていない場合は、氏名(年金加入時のもの)、生年月日、職歴、年金の手続きをしていた市区町村名を記載して問い合わせる。

E 受給手続きに必要な書類は?


 裁定請求書、戸籍謄本、年金手帳、年金振込先口座など。裁定請求書は社会保険庁から送られてくる。希望すれば海外へも送ってもらえる。

F 年金の受給方法は?


 年金の支給が決まったら、まず社会保険業務センターから、「支給決定通知書」と「年金証書」が送られてくる。その後、年6回、指定の金融機関、カナダの口座の場合はその口座に振り込まれる。送金手数料は原則として年金受給額から差し引かれない。

◎注意点


  受給時の注意点として、まず自分の状況を問い合わせて確認すること。結婚前会社勤めの時に払っていた厚生年金が正しく含まれているか、厚生年金から国民年金に変わった場合、その全てが正確に反映されているか、支払っているのに途中で抜けている期間はないかなどを正確に把握することが重要とのこと。

  そのためにも、基礎年金番号、もしくは年金手帳は大事に保管しておくこと。

 カナダと日本の国民年金に加入していてどちらの受給資格も満たす場合は、両方から受給できるので、どちらか一方と勝手に思いこんでいる人は、確認してそれぞれの国へ申請すること。

2、カナダからの国民年金加入


 年金を受けるためにはもちろん加入をしていなくてはならない。義務として加入する当然加入期間は 20歳以上60 歳未満。しかし、海外在住者には任意加入や加入免除期間の制度がある。

A 任意加入

 海外に在住して自ら支払いができない20 歳以上65 歳未満の日本人が対象。方法は、家族や親類に代行して手続きを行ってもらう。海外移住する前、最後に住民票があった市区町村の市区役所、町村役場の窓口で直接行う。親族に依頼できない場合は、(社)日本国民年金協会に加入手続きと保険料の納付を依頼できる。

B 加入免除期間

 これは海外に在住している期間は、国民年金の加入が一時免除となる制度。この免除期間は25年の最低年金加入期間として換算される(カラ期間という)。

 例えば、20 歳から25 歳まで国民年金に加入、 26歳から30 歳までカナダに滞在して帰国後再び加入し、45 歳まで支払ったとする。この場合、 26歳から 30歳までの5年間は年金を支払っていないけれども、申請すれば免除期間として扱われ、この時点で25 年間の最低年金加入期間という年金受給の条件を満たすことになる。受給金額は、支払った分に応じた額となる。

 申請方法は、住民票のある市区役所、町村役場にパスポートを提示、日本にいなかった期間が証明されれば免除期間と認められる。

◎注意点

 免除期間を申請するのは早ければ早いほどよい。パスポートを紛失したり、更新したりして証明が不可能な場合は免除期間が認められないため、帰国後すぐに手続きをするのが望ましいとのこと。

◎アドバイス


 自分の年金を考える時に最良の方法は、例えば40 歳45歳という節目の年代になった時、一度自分の年金の状況がどうなっているのかを確認すること。この時に、受給資格を満たすまでの年数や、海外在住時の免除期間を確認しておくことで、その後の対処が早めに行えるとのこと。

  「カナダに来たから年金がもらえないだろうとか、金額が少なくなるだろうとかといった間違った考えは、せっかくこれまで支払ってきた年金を無駄にしてしまいます」と飯田さん。

「知っていればそれをどう利用しようとあとは自分の判断。ただ、知らずに人生の一部を無駄にすることはないと思います」と語る。「年金は各個人で全く状況が異なるので、自分で専門機関に問い合わせて確認することが望ましいと思います。知って賢く利用してください」とにっこり笑ってアドバイスをくれた。     
     (取材 三島直美)

社団法人 日本国民年金協会
102-93 東京都千代田区平河町
2-5-5 全国旅館会館ビル3階
TEL:03-3265-2885、
FAX:03-3265-2894

年金に関する問い合わせ先
年金の受給について

●海外からの郵送による問い合わせ先
社会保険業務センター 中央年金相談室
〒168-8505 東京都杉並区高井戸西3-5-24 
TEL:03-3334-3131

●日本国内での問い合わせ先
全国312ヵ所にある最寄りの社会保険事務所、
または全国 ヵ所にある年金相談センター。
これらの住所検索は、ホームページで。
WEB:www.sia.go.jp/

●国民年金加入についての問い合わせ先
住民票がある市区町村の市区役所、町村役場まで。
年金に関するウェブサイト:www.nenkin.go.jp/

飯田道子さん
●ファイナンシャルプランナー(CFP)、リスクマネージャー(CRM)
●銀行勤務を経て、1996年ファイナンシャルプランナーの資格を取得。以後フリーのCFPとして活動するかたわら、講演やジャーナリストとしても活躍。スキーやダイビングのインストラクターとしての顔も持つ。静岡在住。
連絡先:Paradise Wave
Email:fwnf3204@mb.infoweb.ne.jp
Web:http://homepage3.nifty.com/paradise-wave/