SPECIAL 2004
2004年6月 23号 掲載
今回も情報提供に協力をしてくれた、浅野イサオさん。リッチモンドオフィスにて |
Registered Retirement Saving Plan(RRSP)の購入の仕方を締め切り間近に迫った2月に紹介した。
RRSPとは、Revenue Canada Agency(RCA)に登録している個人で管理する退職後の年金プランのことを指し、収入が多い時には税金控除の対象になる貯蓄プラン。
では、このRRSPが満期になったりもしくは解約したい場合はどうなるのだろうか。購入している時に税金が免除されるとなれば、収入として受け取った時には当然税金がかかってくる。
その時に、賢い解約方法を知っておかないと、老後の命綱として蓄えておいた年金に多額の税金がかかり、損した気分になりかねない。
そこで、今回は満期になった時のRRSPの解約方法と、購入している時に目的によって一時的に税を免除されたまま解約できる、Home Buyers’ Plan(HBP)とLifelong
Learning Plan(LLP)を紹介しよう。
退職後のRRSPの解約方法
RRSPとは退職後の資金をあらかじめ貯蓄しておくことを目的としている制度で、大多数の人は退職後に解約をしてその後の収入とする。RRSPを解約したときには必ず税金がかかる。
解約により収入が生じたと見なされるためである。せっかく毎年貯蓄しても解約時に多額の税金が課せられたのではその後の生活にも響くというもの。そこでそういうことがないように解約の方法を知っておこう。
解約の時期
退職をする時期は個人によってさまざまなので、解約をする時期を決めるのは本人の意志による。しかし、RRSPは69歳になった年の12月31日までに必ず解約しなければならないと決められている。その時点で職に就いていてもこれは変わらない。
解約の方法
RRSPを解約して年金を受給する方法には、現金にする、Registered Retirement Income Fund(RRIF)にする、Annuity(終身年金)にするという3つの方法がある。
1.Cashing it in(一括解約)
これは一目瞭然、これまで貯蓄してきたRRSPを現金として引き出すという方法。この時引き出された全金額がその年の収入としてみなされる。貯蓄額が少額の時は問題ないが額が大きければ大きいほど課税額も増えるので注意。
2.Registered Retirement Income Fund(RRIF)
毎年一定額を引き出さなければならない制度。RRSPから切り替えができる。最低引き出し金額は、年齢と1月1日時点での貯蓄高によってその何パーセントという形で決まる。年齢が高くなるにつれて引き出さなくてはならない金額も高くなる。
例えば、2004年に69歳となる人が10万ドルRRSPを全額RRIFに切り替えるとする。その場合、まず2004年12月31日にまでにRRSPを解約しRRIFに切り替える手続きをしなくてはならない。引き出し開始時期はその時点で本人が決める。
その時期を2005年としたとすると、一定の年間最低引き出し額は2005年1月1日現在の残高10万ドルと2005年に達する年齢70歳が基準となり決められる。この方法で決められた金額を2005年の1年間で必ず引き出さなくてはならない。翌年の引き出し金額は同様に決まる。引き出す方法は一度にまとめてでもかまわないし、月々でもかまわない。
RRIFの特長
自由がきくというのが最大の利点。引き出す金額は年間最低金額以上であればいくらでもかまわない。投資先を変更してもいいし、投資方法を変更してもよい。RRIFとして契約している限り、その中で生まれる利益については税金がかからないが、引き出した金額は必ず課税される。
例えば、RRSPをInterested-Bearing Investment(定期預金型RRSP)とMutual Fundで購入していたとする。これをRRIFにする時点で、最低引き出し金額以外の残高をこの方法でそのまま継続してもいいし、他の投資方法、例えばSelf-Directed
に変更してもかまわない。
また、RRIFにしたあとでも同様の変更が可能。これは本人次第。そのため、翌年の最低引き出し金額計算時に去年よりも残高が多くなっているということもある。
ただし欠点ももちろんある。それは、投資に失敗すればせっかく長年ためてきた貯蓄を無駄に費やしてしまう危険性と高齢や病気などが原因で思うように体の自由がきかなくなったりした時にそれまで自分でやっていた手続きを誰かに代行してもらわなければならないという不便さがともなうこと。
3.Payout Annuities(終身年金制度)
保険会社が取り扱っている毎月一定の額を受け取る制度。RRSPを解約した年の本人の年齢、性別、その年の金利、預金額によって受給される金額が決まる。ここで決まった金額は生きている限り変わらない。
この制度には、いろいろ種類があり配偶者と共に受給するJointや一定期間だけ受給する制度もある。
Annuity Rateは毎週月曜日バンクーバー・サンのビジネス欄に掲載されている。金利が高い時の方がもちろん受給金額決定時のレートも高くなる。
この制度の利点は、とにかく何もしなくても一度金額が決まってしまうと同額を世の中の動向と関係なく一生受給できることが保証されていること。欠点は、RRIFのように契約後変更などの自由がきかないこと、自分の寿命が計れないこと、経済がどんなによくなっても受給額が上がることは決してないことである。
賢い解約方法の見つけ方
これは的確にアドバイスをしてくれる専門家に聞くこと。RRSP同様、解約もいろいろな種類があり、さまざまな方法がある。家族構成や自分の将来設計をしっかり立てて解約する時点で自分に最も合った方法をアドバイスしてもらうこと。
解約に関する知識と注意点
1. RRSPを解約する時期は自分で決定できる。何も69歳になるのを待つ必要はない。40歳でも、55歳でも好きな時に解約できる。
2. 上記に紹介した解約方法はどれか一つに決める必要はない。3つを組み合わせてもよい。たとえば、1万ドルを現金に、5万ドルをRRIFに、残りの4万ドルを終身年金にして受けとってもよい。
3. 69歳までなら引き出す時期をずらしてもよい。例えば、今年1万ドルを現金で引き出して、来年5万ドルをRRIFに切り替えてもいいし、解約時期と方法の組み合わせは69歳以下であれば自由にできる。
4. 注意することは、解約して引き出したRRSPは全てその年の収入として課税されることを計算しておくこと。収入が多ければ多いほど税率も高くなる。
Home Buyers’Plan(HBP)と
Lifelong Learning Plan(LLP)
RRSPを途中で解約しても課税対象とならない使い方がある。それがこの2つ、Home Buyers’Plan(HBP)とLifelong Learning
Plan(LLP)。
Home Buyers’Plan(HBP)
家を購入したいが、今手元にまとまったお金がない。しかし、RRSPにはいくらかあるという人のためのRRSP一時解約プラン。
条件:
1. 本人が初めて家を購入するかもしくは家族親類の誰かのために購入する場合。この時の「初めて家を買う」という定義は、購入時に家を個人のものとして所有していない人を指す。
2. 課税対象外となる最高引き出し金額は2万ドル。
3. 家を購入するということがはっきり証明できること。例えば、すでに物件が決まっているか仮契約を済ませているなど。
4. 引き出した金額分は、引き出した年の翌年(翌々年のRRSP購入締め切り日まで)に最低15分の1を必ず購入し、15年以内に全額購入しなければならない。
Lifelong Learning Plan(LLP)
社会に出て働いていた人がもう一度学校で勉強する時の学費としてRRSPを利用する場合に非課税で引き出せる一時解約プラン。
条件:
1. 本人もしくは配偶者、Common-Lawパートナーがフルタイムの学生として認められた教育機関のプログラムを受講すること。子どもが就学する場合には適用されない。この場合の「フルタイム学生」の定義は、1年間で3ヵ月以上フルタイム学生として登録していること。
2. 課税対象外となる最高引き出し金額は2万ドル。ただし1年間の引き出し限度額は1万ドルまで。
3. RRSPの返済購入開始時期は学生としての状況による。基本的にフルタイムで学業に専念している場合、引き出した5年後より返済購入を始める。引き出し金額の最低10分の1の金額を毎年返済購入、10年以内に全額返済購入しなければならない。
4.このプランは、全額返済購入が終了すれば何度でも利用できる。
以上が、知っておくと役に立つRRSP解約の方法である。今回情報提供に協力していただいたのは、2月のRRSP購入方法でも協力いただいた浅野イサオさん。これまで一生懸命働いて蓄えた預金、退職後に余裕を作るためにも賢い使い方の基本中の基本編を説明して頂いた。
アドバイスとして、こういうことを知っていればどこで解約する場合でも相手の言うことを鵜呑みにして結局多額の税金を支払ったということから自分の貯蓄を守ることができるということ。詳しいことは専門家に聞いて、本人が決めることが一番望ましいと言うことである。
浅野イサオ氏
バンクーバーで25年間、生命保険やRRSPなどのアドバイザーとして活躍。アドバイスなどの問い合わせは、
TEL:604-274-5232まで。 (取材 三島直美)