SPECIAL 2004

2004年5月 20号 掲載



高齢者がよりよい生活を送るために−介護について− 

  高齢者の介護はとにかく大変。寝たきりだったりするとなおさら。そこで今回は介護をしている人にもされる人にも役立つ情報を紹介しよう。

Mount Saint Joseph Hospitalが提供するスペシャルヘルスケアサービスシステム

「ライフライン−LifeLine−」
 これはひとり暮らしをしている高齢者にとってまさしく「命綱」となる24時間態勢のホームモニターサービス。
ライフラインとは


 「LifeLine」とは、マサチュウセッツ州に本社を置くLifeline Systemsが提供するボタンひとつでプロの介護人が駆けつけてくれる個人ケアサービス。非営利で病院を拠点に設置され、365日24時間体制。

北米ではサービスが始まってすでに25年以上が経つ。カナダにはトロントにLifeLine Systems Canadaが事務所を構えている。

どんな人に適しているのか?

 対象となるのは、主にひとり暮らしの高齢者。家族が近くに住んでいてもひとりで自由に生活したい、しかし、いざ何かあった時に助けが必要という人、またはそういった高齢者を持っている家族に利用者が多い。

 というのも、このシステムは何かあった場合あらかじめ設置されたパーソナル・ヘルプ・ボタンを押すだけ。すると近くのライフラインコールセンターに繋がり、適した処置を行ってくれる。ちょっとした転倒や病気の時などにもすぐに対応できるシステムになっている。

 また、緊急の時だけではなく、毎月機械がうまく機能しているか、自分の健康状態はどうなのかといったことをチェックするために使われるので自分の健康状態をいつも誰かに知ってもらうという意味でも安心である。

システムの仕組み

|入会した人は家にLifeLine Communicatorという機械をインストールする。本人は小さな防水性のパーソナル・ヘルプ・ボタンを首からネックレスのように掛けるか、リストバンドのようにして身につける。

} 何かあった時に身に付けている機械のボタンを押す。

~ 何秒後かにライフラインカナダの介護人とLifeLine Communicatorを通して話ができる。そこで助けが必要な場合はその旨を伝える。また、その時に何の応答もない場合にはすぐにヘルパーが駆けつけるシステムになっている。

 さらに、第一言語が英語でない人のために、通訳を介した言語サポートもある。例えば、「Japanese Please」で、日本語でサービスを受けることができる。

料金

 料金は、システムによって異なり、月々36ドル、41ドル、43ドルの3種類。各人の健康状態や生活環境などによって自分にあったシステムを担当の人と相談して決める。これらにはGST、PSTは加算されず、Medical Expensesとしてタックスリターン時に申請できる。インストール代として最初に50ドルが必要となる。

バンクーバーで活躍する日本からの介護士

 5月20日隣組で介護についての講演会が開かれた。講師は日本で介護士として活躍していた中川拓也さんと名古屋大学大学院で高齢者のためのアクティビティについて研究している荒深裕規さん。中川さんは、実践的な介護の方法と痴呆性高齢者への理解についての講演を、荒深さんは高齢者でも手軽にできるケガや障害を予防するストレッチを実演した。今回は講演1週間前に2人に話を伺った。

実践的な介護の方法

 今回の講演内容は介護をする人のためのもので、テーマは「褥瘡(ジョクソウ)の予防」つまり床擦れの予防方法。

 床擦れは一度起こると悪化が速く、介護をしている側の負担も大きくなるという。そこで床擦れを起こす原因や装具の使い方、ひとりでもできるベッドシーツの楽な取り替え方などを知って少しでも介護者の負担を軽くし、床擦れを防止する方法を実際に実演しながら、参加者に指導する。

これは中川さん本人が介護士として働いていた経験をもとにしたもので、実践的で誰でも行えるもの。当日は細かい所まで説明した資料も配付、一回だけの経験では忘れがちなこともこの資料でカバーできるようになっている。

さらに、痴呆性高齢者への理解を提唱する資料も用意。痴呆疾患の特長やどのようにして痴呆性高齢者と対話をすればいいのかなどが説明されている。

  適切なコミュニケーションの取り方のポイントとしては、接する際に気持ちを安定させること、自尊心を傷つけるような言動は取らないことなどの精神面の気遣いから、近くで話す、納得いくように話す、簡潔に伝える、相手がわかる言葉で話すなどの実践面までを詳しく説明している。

高齢者のためのアクティビティ

 一方荒深さんの講演は、身体面のケア。高齢者の生活をいかに楽しくするかを考えて、高齢者のためのレクリエーションを指導する。今回はストレッチ。

 年齢にあわせてストレッチのやり方も違ってくる。ストレッチだからといって若い年代の人と同じことをやっていたのでは逆にケガに繋がりかねない。そこで高齢者でもできるストレッチ方法を教える。

 その場限りでなく家に帰ってからでもいつでも行えるように、こちらもわかりやすく絵で見るストレッチ方法の解説資料付き。

日本での活動


 中川さんは2002年10月からバンクーバーに滞在。日本では介護士として日常生活に関わるさまざまなケアを、病院や在宅介護で行ってきた。高校を卒業してから9年間介護士として活躍している。

 荒深さんは、高齢者のためのアクティビティを考え、いかにして高齢者の普段の生活をカラフルにしていくかを研究。大学院で研究するかたわら「レクリエーションサポート」という会社を設立して研究したことを実践している。バンクーバーに来たのはひと月ほど前。

 日本とカナダの介護制度の違いについては、カナダの方が政府の制度が整っていると思うとの印象。

  さらに、高齢者自身が自分の人生を楽しもうとしている人が多いこと、施設に面会に来る家族が多く面会回数も多いこと、高齢者だけでなく身障者なども含めて彼らを違和感なく日常生活で受け容れている施設や環境、一般の人の理解が高いことなどを上げた。

 介護に関する講演会は今回で終了したが、二人とも隣組でボランティアとして活動しているので、質問などがあれば隣組に問い合わせを。

隣組
TEL:604-687-2172
住所:511 East Broadway, Vancouver
          (取材 三島直美)

 

サービスを提供している機関

 バンクーバーでは、Mount Saint Joseph Hospitalが1989年よりこのサービスを提供している。その他、BC州では地域ごとに28カ所でサービス機関が設置されている。

グレーターバンクーバーの主なサービス提供機関
Mount Saint Joseph's Hospital Lifeline Program
TEL:604-872-5433
ウェブ:www.lifeline-information.ca
Email:cdarbyshire@providencehealth.org
住所:3080 Prince Edward Street, Vancouver, BC, V5T 3N4
Delta Hospital Auxiliary Society Lifeline Program
TEL:604-946-1121 ex 268
Email:clare.walsh@fraserhealth.ca もしくは sharon.read@fraserhealth.ca

サービスエリア: Delta, Ladner, North Delta, Tsawwassan
Langley Memorial Hospital Lifeline Program
TEL:604-514-6041
Email: stella.kirk@fraserhealth.ca

サービスエリア:Aldergrove, Cloverdale, Fort Langley, Langley
Simon Fraser Regional Lifeline Program
TEL:604-517-8617
Email:karen.caithness@fraserhealth.ca

サービスエリア:Port Moody, Burnaby, Maple Ridge, Pitt Meadows, Port Coquitlam, Coquitlam, New Westminster
Surrey Lifeline Program
TEL:604-588-2330 もしくは 1-888-832-6089
留守番電話:1-800-387-8120 Ext. 7038

サービスエリア:Surrey, White Rock
このライフラインに関するお問い合わせは近くのサービス機関もしくはMount Saint Joseph Hospital Lifeline Programまで。