SPECIAL 2004
2004年4月 15号 掲載
JHCCの設立に向けたボランティアへの説明会が、3月 20日、夜7時から日系ヘリテージセンターで開かれた。新聞、コミュニティ誌などを見て、ぜひボランティアとして何かお手伝いしたいと応募があったのは予想をはるかに上回る110人以上。当日集まったボランティアも
60人に達した。この驚くべき数字は、裏を返せば、それだけ多くの人々が日本語を話せる医療機関を望んでいるということである。
JHCC(JAPAN HEALTH CARE CENTRE)が設立にいたるまでの経緯
5年前、当時ナショナル日系ヘリテージセンター協会の第一副理事長だった林光夫氏から、田中朝絵医師に日本語が使える医療機関を発足してくれないだろうかという打診があった。しかし、その時まだグレーター・バンクーバーでは4人の日本人医師が活躍していた。昨年の2月に再び林氏から依頼があった時には状況は大きく変化。磯村医師、浅野医師が退職され、堀井医師
(退職後の現在は週に一回の診療)、清水医師もまもなく退職されるということだった。
田中医師は、常日頃多くの患者から「英語では自分の症状や悩みを上手く伝えられない。医者が言っていることをきちんと正確に理解しているかどうか不安」という声を聞いていた。確かに、腹痛ひとつを取り上げても、さまざまな表現がある。『キリキリと差し込むように痛む』『シクシク痛む』など、英語で説明するとなると簡単ではない。また、医者から受ける診断の説明も、日本語でさえなかなか専門的でわかりにくいのに、英語となると聞き慣れない単語に不安がますますつのる。実際にそういったコミュニケーションのむずかしさから、体調がかなり悪くなるまで病院に訪れず、ガンが手遅れになってしまった人、糖尿病で最悪の状態になってしまった患者がいると田中医師は言う。これではいけない。このようにきちんとした医療を受けていない日本人が多いという問題点を何とか解決したい。日本語での適切な医療を受けることができるようサポートするための機関が欲しい。2003年5月、そういった願いを同じくした医師、ヘルスケアの専門家、ボランティア約
人がJHCCの設立に向けて活動を開始した。
現在の問題点とその解決法 それでは、実際にどんな問題点が今あるのかを、田中医師が語った。
問題点1…日本語を話すファミリードクターが少ない。
問題点2…英語ではさまざまなヘルスケア分野でたくさんの情報や教育が一般公開されているが、日本人でそれらを利用している人は少ない。また、日本語で出されている情報もあるが(隣組やピアねっとから)そのことを知らない人も多い。
問題点3…2010年までに、メディカルケアが倒産するのではないかといわれている。また、スペシャリストになかなか会えない。手術が必要なのに、ウェイティングリストがいっぱいで自分の順番がまわってこない。
問題点4…病気になるまで放っておく。体調が悪いと気がつきながら、きちんと対処しない。それは、船底に穴があいている時、本来なら穴をふさぐ事が肝心なのに、必死に水をかき出しているのと似ている。
これらの問題点の解決はいろいろあるだろうが、例として以下に示すようなものがある。(前出の数字に対応)
解決案1…日本、あるいは北米地区(アメリカ、トロントなど)で活躍する日本語医師、さまざまなヘルスケアに従事する人々をバンクーバーへ呼ぶ。
解決案2…英語で出されている情報や教育を日本語に訳し、JHCCにて入手できるようにする。保存版日本語ヘルプリストを作り、住民だけに限らず、学生、ワーホリ、旅行者などに配布する。
解決案3…日本の医療システムのように患者が治療費の一部を負担する。
解決案4…病気を防ぐには予防が一番。ストレスを減らすためのアドバイス、栄養管理のアドバイスなどのセミナーを開く。
この病気を予防することがひいていえば、すべての問題の解決策となるとJHCCでは考えている。
JHCCの設立に関するアンケートの結果報告
設立に向けて行動を開始してから約1年が過ぎた。さまざまな問題を抱えながらも、バンクーバーにぜひ日本語が使える医療施設をという思いはますます熱く、それは今回のアンケートの結果を見ても一目瞭然だった。アンケートは2月の上旬にスタートし、3月下旬に回収を終えた。プリントされたアンケート用紙5000枚。バンクーバー新報をはじめ、各種コミュニティ誌にその間アンケートを募った結果、2000枚以上という非常に高い数字の返答があった。アンケートへの協力はシチズンシップ、永住権を持っている人たちが70パーセントと圧倒的に多かったが、駐在員、ワーホリ、学生、旅行者、ワーキングビザなど多種にわたっていた。質問は約20項目。その中からいくつか主だったアンケートの結果をここに紹介する。
まずは個人についての質問から。「ファミリードクター、ウォークイン・クリニックには1年に何回ぐらい行っていますか」には5回未満と答えた人が全体の約80パーセントだった。(図1)
「医療についてはどの言葉を使用したいですか」の問いにはやはり 77・3パーセントが日本語と答えていた。
次にJHCCの設立場所について、「あなたにとって、どこが便利ですか」という問いに、ダウンタウンと答えた人が 36・4パーセント、日系プレースかその近郊が
25・7パーセントと続いた。(図2)
「JHCCに何を求めますか」の多岐回答には予想通りファミリードクターの要望が回答の約 70パーセントあった。また、半数近くの人が希望しているのが、 時間救急ライン、定期検診、ウォークイン・クリニックだった。(図3)
そして、「JHCCを他の医療施設に優先して利用したいと考えていますか」には 87・3パーセントが『はい』と答え、「設立を望みますか」の質問に『強く望む』が
48パーセント、『望む』が 40・1パーセント。両方を合わせて 88パーセントの人々が日本語の話せる医療機関の設立を望んでいることが明らかになった。また、教育プログラムについての関心は、老人医療、妊娠・出産、ストレス、ガンなど多岐にわたっており、アンケートに参加した人たちがさまざまな健康の悩みを持っていることが如実に現れていた。(図4)
将来への展望
JHCCが目指すのは、統合医療。日本とカナダの文化が交差し、西洋医学と東洋医学(漢方、ハリ、灸、気功など)が融合し、体と心の両面から健康管理を提唱する。将来、理想的には、ひとつの建物の中にすべての診療科
(内科、精神科、歯科など)、薬局、ハリ、灸、さまざまな物理療法、カウンセラー、教育・情報センターも設置して、グレーター・バンクーバーで統合医療の先駆けとなるメディカルビルにしたいと考えている。ただし、さまざまな人材確保、資金調達にまだ当分時間がかかるとみられ、当面の数ヵ月間にしっかりとした組織基盤を結成することにまずは全力をそそぐ方針である。
募集
今後の活動にあたって、専門的なボランティアをただいま募集中。
1…ビジネスプランが立てられる人
2…財務・会計
3…翻訳
4…記録係 (英文、日本文の筆記)
5…栄養士 (カナダでの資格保持者)
6…ミーティング場所を提供してくださる方 毎月一回 (夕方から夜) のミーティングで 人ぐらい集まれる場所を無料、あるいは安い料金で貸してくださる方
7…寄付をしてくださる方 (今の時点ではまだ所得控除となる領収書が出せないが、将来的には非営利慈善団体として登録予定なので、領収書の発行可能)
また、現在はJHCCの名称を使っているが、近い将来、医療機関と教育・情報センター (ボランティアグループで運営)の二つに分け、それぞれの名称が必要になってくる。例として、Nikka
Association of Health Education and Information,や Kaede Health Network Society。(名前の一部にAssociation
やSocietyと入った方がよい)できれば、頭文字をつなげた時に何か意味のある言葉になる名称が理想的である。ボランティア、2つのネーミング(医療機関、教育・情報センター)の応募、その他、質問などの受付は下記の連絡先にて。
電話:604-773-6034 (JHCC)
FAX:604-325-4978
Email:jhcc2004@hotmail.com
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図2 |
図3 |
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