SPECIAL 2004

2004年3月 12号 掲載


『YOSHI NO GAWA』といえば、
美味しい日本酒の代名詞に
 吉乃川株式会社 川上浩司社長インタビュー

 


吉乃川19代目社長 川上浩司氏

  寿司がすっかり定着しているバンクーバーでも美味しい日本酒はまだまだ高嶺の花。そんなカナダでプレミアム日本酒シェア最大を誇るのが吉乃川株式会社。愛情を込めたお酒をできるだけ多くの人に楽しんでもらいたいと世界に目を向け、1997年からカナダにも輸出している。
 今回、3月15日から開かれていた「第26 回バンクーバー・プレイハウス・インターナショナル・ワインフェスティバル」に参加するためにバンクーバーを訪れていた吉乃川株式会社川上浩司社長に、フェスティバルに初参加した感想や日本酒に対する思いなどを伺った。
初参加のワインフェスティバル、確かな手応え
 ワインフェスティバルに日本酒で参加した川上社長は、地元バンクーバーでの反応に驚きを隠せなかった。「印象としては、すごく人がたくさん入っていたというのがまず第一。日本酒を知っている人も、全然知らない人も(ブースに)来てくれて、すごく興味を持って酒に接してもらって、とてもいいなあと思いました」とその印象を語る。
 一週間のフェスティバル期間中、世界15 カ国166のワイナリーから1000種のワインが出品され、うち650種が3日間のワインテイスティングのイベントに出品された。そんな中、日本酒は孤軍奮闘で喝采を浴びた形となった。会場では多少不利な場所に出店したにもかかわらず、「そこに光が当たっていたようだった」とあとでイベント関係者から言われるほど盛況していたという。
 今回出品したのは、「米だけの酒」「YOSHI」「極上吉乃川」そして「大吟醸吉乃川」の4種類。「飲み比べてみると本当に違うんですよね、『何でこんなに違うんだ、すごいね』って感動してもらって、日本酒を知ってもらうのにとってもいい機会だったなって思っています」と手応えは十分だったようだ。
日本酒の海外輸出
 創業450年以上の歴史を持つ老舗の蔵元でも多種多様なアルコールが世界中から入ってくる日本国内では生き残り競争が激しくなるばかり。「国内での日本酒の需要は伸び悩んでいるというのが現状です」と語る。そこで注目したのが海外への日本酒の輸出。
 「新しい市場を探していかないと、というのはあります」と世界に目を向け、「日本人がこれだけ外に出ているわけですから、バンクーバーのようにきちんと和食がベースにあって、いろいろなものを食べている土地に入っていく価値は非常にありますよね」と、バンクーバーの多彩な食文化にあう日本酒の価値に注目している。
バンクーバーには日本酒を正しく受け入れてくれる土壌がある
 カナダに輸出を始めたのは1997年。以後売り上げは確実に伸びていて、カナダでのプレミアム日本酒販売の大部分は吉乃川の商品で占められている。
 「特にバンクーバーは和食に対する理解があって、昔は日本人町があったり、日系人も多かったりするせいなのか、和食が生活の中に根付いて、(日本酒を)正しく受け入れてくれる土壌があるのかなと思います」とカナダの市場を見る。
 さらにカナダは純米酒も醸造用アルコールを使った酒も日本酒として販売される。アメリカの場合はスピリッツ扱いとなり税金も高くなる。こういう行政的な側面からもカナダの方が日本酒を楽しめる幅が広いと見る。
 それに加え、バンクーバーにあるレストランのオーナーがプレミアム日本酒については教養が必要であることをよくわかっていること。客に対して味と共に知識も提供するということを何らかの形でやっているところが多く、そういうところから興味が湧いてくる人も増えると確信する。そのための情報提供も惜しまない。
吉乃川の清酒造りに対するこだわり
 吉乃川の清酒は、米を蒸したりという大きな量が伴う一部の作業は機械を使っているが、基本的に全行程手作業で行われている。扱うものがミクロといえども相手は生き物、愛情を持って育てれば必ず応えてくれる、美味しい酒になると信じて酒造りに励んでいる。
 それは何も醸造という作業だけではない。カナダでのみ販売されている「YOSHI」は、日本ではまだあまり普及していない無農薬米とは違うオーガニック米だけを使用した純米吟醸酒。オーガニック商品がカナダで比較的普通に受け入れられていることに着目し商品を開発した。ラベルやボトルなどのデザインもカナダの人たちに受け入れられるように工夫して作られた。こうした消費者側にたった商品開発も吉乃川のこだわりである。
どんな料理にでも合う美味しい日本酒をもっと多くの人に
 食が多様化しているので日本酒もそれに合わせて、さまざまな人にいろいろなシーンで楽しんでもらいたいと願う。「大吟醸のようなプレミアムな酒は食前酒に、肉料理なんかには純米酒のようなしっかりしたお酒が合いますよね。これからは、レストランなどで料理と一緒にお酒を紹介したり、体験できる場を作っていけたらと思っています」とこれからもますますバンクーバーに足を運んでくれる様子。
 「今回初めてワインフェスティバルに参加させていただいて、来年も是非という声も大会の委員長にかけて頂いたので、来年もと思っています」との日本酒ファンにとっては嬉しい言葉も飛び出した。
 プレミアム日本酒の部門では最も販売量の多い吉乃川。ここから今後どのように広げていくのか、バンクーバーでもっと強いブランドにしていくためには次になにが必要なのかを見極め、次のステップに取り組みたいと新しい構想も検討中。
 「お金を出しても飲む価値のあるお酒があること、プレミアム日本酒は冷やで飲むという正しい飲み方を知ってもらい、バンクーバーで『YOSHI NO GAWA』といえば、美味しい日本酒の代名詞と言われるようになりたいと思っています」と未来図を語ってくれた。
ベンダー・マガジン(Vendor Magazine)で金賞受賞
 隔月で発行されているカナダのアルコール事情を発信している酒情報誌「ベンダー・マガジン」では、各号でテーマを決め、ブラインドテイスティングを行ってチャンピオンを決めるという特集を毎回組んでいる。
 同紙のWinter 2004 Vol. 10 No.1(2004年2月1日発行)号では、日本酒の特集が組まれた。テイスティングされたのはカナダで手に入るほとんどの日本酒 24ブランド。その中で1位、ゴールドメダルを獲得したのが、吉乃川社の純米酒「米だけの酒」。これで名実共にカナダでトップであることが証明された。感想を聞くと「素直にとても嬉しいですね」と、カナダで「YOSHI NO GAWA」が美味しい日本酒の代名詞となる一歩を踏み出したコメントとしては、かなり謙虚だった。
吉乃川社の清酒を楽しみたい
 カナダでは現在3種類が販売されている。「米だけの酒」は淡麗辛口の純米酒、こくがある味わいとふくよかな香りが特徴、「YOSHI」はオーガニック純米吟醸酒、「米だけの酒」よりもややスッキリしている、吟醸酒「極上吉乃川」は膨らみのある味わいと柔らかいフルーティーな香りが特徴。
 一般のリカーストアで、「米だけの酒」( 16.65 ドル/300 )、「YOSHI」(17.99 ドル/300 )が、またプライベートストアのリバティワインストアにて 40ドル程で「極上吉乃川」(720 )が購入できる。 (取材 三島直美)

 


バンクーバーで購入できる、吉乃川の商品。左から、「YOSHI」「極上吉乃川」「米だけの酒」

吉乃川株式会社
 本社は新潟県長岡市。創業1548年(天文17)。450年余りの歴史を持ち、全国に約1700社ある蔵元の中でも10本の指に入る老舗。1965(昭和40)年の関東信越国税局主催「第1回酒類鑑評会」で1位に輝き、その後も数々の賞を受賞する。カナダには1997年より輸出開始、その他アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中国にも輸出している。社長は19代目川上浩司氏、杜氏は高橋敬氏。
ウェブサイト:www.yosinogawa.co.jp
E-mail:sake@yosinogawa.co.jp
プロマーク・ソーシング社
(Promark Sourcing Inc.)
1996年からワインを中心にカナダの飲食物品を日本市場に紹介。また、吉乃川社の商品を中心に日本酒をカナダに輸入、取扱量はカナダ最大。
問い合わせ先:
TEL:604-904-5171 FAX:604-904-5172