MAPLE 2004
2004年9月 38号 掲載
ブライアン・アダムスの故郷、キングストン |
オンタリオ湖からガスペ半島の先端まで、セント・ローレンス河沿いに1895キロの道が続いている。
カナダの人々はこのルートを「ヘリテージ・ハイウエイ」と愛着をこめて呼ぶ。「我々の歴史遺産の道」とか「伝承の道」とかいったような意味だ。
日本では、その一部、特にナイアガラからケベック・シティまでの間を「メープル街道」と呼び、紅葉の時期にたくさんの日本人観光客がやってくる。
多くの日本人にとっては、カナディアンロッキーと並んで、カナダ観光の定番中の定番だ。
「定番はとりあえず外す」という人はともかく、街道沿いの風景の素晴らしさは「黄金の定番」ならでは。一度はぜひ訪れてみよう。
華麗な赤に大地が染まる!
カナダ東部は広葉樹が多く、中でも葉の大きな楓の木がたくさん植えられている。メープルシュガーで有名なケベック州ではサトウ楓の林があちこちにある。この広葉樹が秋になると鮮やかに紅葉する。
真っ赤になる木だけではなく、黄金色、薄緑色などさまざま。もちろんサトウ楓の多いところでは、辺り一面が燃え上がっているような華麗な赤に大地が染まる。
日本の小さな楓の繊細な色も捨てがたい美しさだが、カナダの紅葉の迫力は「息をのむような」という表現が大げさではないほどだ。
このダイナミックな紅葉を楽しみに毎年日本から多くの観光客がやって来る。同時多発テロやSARSなどの影響でここ数年低迷していたが、今年はそのマイナスを一挙に回復するほどの人気だという。
月初旬のピーク時には、かなりの混雑が予想される。
飛行機の手配はもちろんだが、ケベック・シティのシャトー・フロントナックなどの人気ホテルに泊まってみたいなら、早めの予約が必要だ。
スタートはトロントから
バンクーバーから出かけるなら、メープル街道の基点はトロント。この街の街路樹の紅葉もみごとだ。トロントのダウンタウンから船で 分ほどのところにあるトロント・アイランドは、大都会のすぐそばとは思えない静けさ。
紅葉した木々のむこうに高層ビルが見えるのも一味違う秋の楽しみ方だ。
もしトロントに連泊するなら、地下鉄のハイ・パーク駅前にある広大な公園ハイ・パークへも出かけてみよう。また、トロント動物園の秋もいい。動物たちののんびりした姿を眺めながら紅葉を楽しんでみよう。
ナイアガラの紅葉はタイミングがむずかしい
ナイアガラの滝と紅葉を一度に楽しもうと思うとタイミングがとてもむずかしい。毎年紅葉の時期が大幅に変わるからだ。ケベック州の周辺に比べるとやや遅く紅葉が始まるが、アッという間に散ってしまう年もある。
滝周辺なら、アメリカ側にある公園の方がきれい。ゴート島に渡ってみるとよいだろう。また、クィーンストン・ハイツ・パークもぜひ立ち寄りたい。紅葉には少し早めの時期なら、花壇が秋咲きの花々でいっぱいになるのにも出会えるかもしれない。
秋らしい散策なら、ナイアガラ川がオンタリオ湖へそそぎ込むナイアガラ・オン・ザ・レイクの村がおすすめ。 世紀の街並みが残されていて、ディケンズの描いた物語の世界そのままだ。
ただしランチの時間は観光客でいっぱいになるので、できればここで一泊して、朝の散歩を楽しもう。
ナイアガラからは、いったんトロントを経由してモントリオールへ向かう。セント・ローレンス河とオンタリオ湖が出会うキングストンもおすすめポイント。カナダ東部で最初に政治の中心地となった古都。ここから船に乗り、セント・ローレンス河の中に点在する大小の島をめぐる「サウザンド・アイランド・クルーズ」は、きっと良い思い出になるだろう。
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オールド・モントリオールの石畳の道を歩く
モントリオールはカナダで一番おしゃれな街。フランス料理の伝統に支えられたグルメレストランも多く、アパレル系のお店の多様さもうれしい。オールド・モントリオールは
世紀へタイムスリップしてしまったような不思議な雰囲気の路地が続いている。
美しい聖堂と紅葉した街路樹とのコントラストも素敵だ。美術館めぐりやコンサートなど、楽しみ方も色々なので、できれば数日滞在してみたい。
モントリオールからケベック・シティまでは、ハイウエイで行けば日帰りもできるほどの距離。しかし、一挙に走ってしまってはつまらない。できれば旧道の138号線を通って、途中の小さな村や町とたたずまいを楽しみながら行こう。
オルレアン・エクスプレス社の長距離バスでも138号線を通る路線もある。このルートでぜひ途中下車したいのが、トロア・リビエール。
名前の通り、3つの川が集まった場所で、 世紀から交易の要所として栄えてきた。今は工業地帯になっているが、古い家並みは町の一角に残されていて、時間がゆっくり逆流していくような不思議な感覚を味わうことができる。
あこがれのシャトーへ泊まるなら早めの予約を
メープル街道の旅の終わりはケベック・シティ。お城のような姿のシャトー・フロントナックが旧市街の中心にあり、その周辺を砦の防護壁が取り巻いている、まるで城郭都市のような街だ。
旧市街は 世紀の街並みがそのまま残され、狭い路地を曲がるたびに心がはずんでくる。石畳に散った紅葉の美しさや、石壁に広がるツタの葉の紅葉も印象的だ。
郊外にあるオルレアン島ではロマンチックな農村の秋を楽しむことができるし、ボープレ・コーストへ向かう北米で一番歴史のあるロワイヤル街道、迫力いっぱいに流れ落ちる滝と紅葉との色の対比など、ケベック・シティ郊外のみどころも多い。
見渡す限りの大地が染まるサンタンヌ山の紅葉も見逃せない。
(取材 宮田麻未/写真 神尾明朗)