MAPLE 2004
2004年8月 33号 掲載
ファームステイは農家に滞在し、その家の農作業を手伝いながら家族と交流する体験プログラム。カナダの大自然に触れ、観光とは全く違う視点でカナダの人々と出会えるのがファームステイならではの楽しみ。
馬やヤギなどの動物の世話、パンプキンやブルーベリーの収穫、ガーデニングなど、さまざまな体験ができるようだ。実際にファームステイを体験中の田邊七々さんを訪ねてラングレーのホビー・ファームへ出かけてみた。
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「ホビー・ファーム」って何?
田邊さんが滞在しているラングレーはバンクーバーから車で東へ約1時間。ここ 年ほどは住宅開発が急速に進んでいるが、もともとは豊かな農村地帯。
今でも牧場やワイナリーなどが点在している。このあたりに多いのが「ホビー・ファーム」と呼ばれる農家。これは主な収入を農業にたよらず、「趣味」程度に農作業をしている農家のこと。
引退したシニアのご夫婦がのんびりヤギを飼っているとか、ほんの少し畑をたがやしているなどというのが典型的な例だ。
田邊さんが一ヵ月を過ごしたのは、馬を飼っているホビー・ファーム。ご主人はエンジニアで、奥さんが家で乗馬のトレーナーをしている。田邊さんはここで暮らしながら馬の世話や馬小屋のペンキ塗りなどをお手伝いしていた。
「私は日本にいるとき乗馬をする所でアルバイトをしていたのですが、子供の乗馬のアシストなどや馬の世話などが中心で、自分で馬に乗ることはあまりなかったのです。だからファームステイでじっくり乗馬をやってみたかった」と語る田邊さん。
乗馬クラブなどでの練習とは違い、毎朝の餌やりから運動、毛並みのブラッシングまで、まさに馬といっしょに暮らした一ヵ月。乗馬の腕もかなり上がったようだ。
同じものはないファームステイ体験
ファームステイのプログラムを日本に紹介している施田鶴(シイ・タズ)さんは、「ファームステイの体験に同じものは一つもありません。それぞれの家で農作業の形態も違うし、農地の広さ、飼っている動物などが違いますからね」と言う。
ファームステイは農作業の労働をしにいくわけではなく、あくまでも滞在。しかし、家族の一員として迎えられるのだから、家族が「いっしょにやること」に参加するかたちでファームのお手伝いをすることになる。
田邊さんが滞在した家のホストマザー、ヘイディさんも「朝食前にかなりの作業をいっしょにやってもらいました。七々は『朝ご飯も食べないうちに?!』って最初はビックリしたみたい。
でも、私は自分の子供にやらせないようなことは、決して彼女にはお願いしませんでした。家族がやることをいっしょにやってもらったということですね」と言う。
別のファームステイ先では、老夫婦が日本からの滞在者を心待ちにしていて、キャンプや魚釣りなど、あちこちへいっしょに出かけるという例もめずらしくない。
しかし、田邊さんはほとんどどこへも行かなかったらしい。「私は乗馬に集中したかったので、週末にどこかへ出かけるということもありませんでした」と笑顔をみせる。
施さんは「馬がいる所とか、広々した牧場とか、ガーデニングをやりたいとか、はっきりした目的があれば、できるだけ希望に近いファームを探します。100ヵ所ぐらいのファームのネットワークがありますから」とアドバイスしてくれた。
英語の上達も期待できる?
ラングレーはバンクーバーからそれほど離れていないが、公共交通の便は良くない。車無しでは、あちこち出かけるのもむずかしい。
しかし、実はそこがファームステイの一つの魅力なのだ。いきおいホストファミリーとの交流も活発になるし、日本語を使うチャンスはほとんどない。大自然の中にひたることで、心も素直になるだろうし、自分の意思をなんとか伝えたいと思ううちに英語力も自然に身についていくだろう。
「自分は看護学を勉強しています。英語を勉強して将来どうするのかということについて具体的なイメージがあるわけではありませんが、外国の人と話せたらきっと楽しいですよね」と、田邊さんは言う。
ホストマザーとの会話もすっかりリラックスしたようす。この一ヵ月の体験で語学力にもかなり自信を深めたようだ。
(取材 宮田麻未 写真 神尾明朗)
10年以上にわたってファームステイのお世話をしている施田鶴(シイ・タヅ)さん |
Planning Farm Enterprises Inc.
TEL:604-299-1317
WEB:www.planningfarm.com
数週間から1ヵ月程度滞在を希望する学生やシニアの方々などに、ファームステイやホームステイ先の紹介をしている。
日本から到着の場合、空港出迎え後、施さんのゲストハウスに一泊してカナダ滞在中のオリエンテーションを受けてからステイ先へ向かう。
カナダにすでに滞在中で、ファームステイを体験してみたい人は施さんに相談してみると良いだろう。ファームステイ先では英語のみなので、ある程度の英会話力が必要。