MAPLE 2004
2004年7月 28号 掲載
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子供のころ読んだ本によく出てきた農家とその優しい家族。
その風景がここグリーンヒルエイカーズでよみがえる。
今では忘れかけていた豊かな想像力と無邪気さであふれていたあのころに再び戻っていく。
本の中から飛び出た農家
農家といえば、牛がいて、豚がいて、鶏がのこのこ歩いていて、その周りを犬が駆け回る。そんなステレオタイプの集大成が、チリワックにあるここグリーンヒルエイカーズを訪れて思った第一印象であった。
「蜂蜜売ります」のサインを横目に、ゲートをくぐると視界に広がる緑の草原に牛の群れ。その向こうにはヤギの囲いが見え、右手には二頭の馬が今にも荷車を引かんばかりにじっと待機している。あまりにもセットアップとしては完璧すぎるほどのレイアウトにただただ驚くばかり。
それもそのはず、ここグリーンヒルエイカーズは、ただ農業を営む農家として機能するだけでなく、アグリツアー、つまり日本語で言うならば農業観光の観光地としても最近人気を集めている。
アグリツアリズム(Agri-Tourism)とは、農業興しを目的に比較的最近BC州でも頻繁に使われるようになった言葉ではあるが、実際には以前からある事業名で、極端に言えばホースバックライディングを営む牧場や、ストロベリー狩りの名所といった場所などがアグリツアリズムのいい例とも言える。
ここグリーンヒルエイカーズもペッティングズー的な趣で訪問者を楽しませているが、実際には食用とされる牛や鶏、豚を養い、野菜やお茶の葉、またはラベンダーといった産物も自給自作し、教育的な趣旨もあるため、学校やその他教育団体にも多用されている。2004年にはアグリBCオープンファームとして「ゴールデンルースター賞」を受賞。
都会から比較的近いチリワック市にあるため日帰りで十分楽しめる、家族旅行にお勧めの場所である。
この日グリーンヒルエイカーズを案内してくれたのが日本人でファームステイしながら運営を手伝っている山崎愛さん。オーナーのジャニスさんに言わせれば、「愛はすでにここでは欠かせない存在」となっている。
福岡出身の愛さんは、動物などを世話するこの農家での生活をこよなく愛している。日本に帰っても動物の世話ができるような場所に住みたいという愛さんは農家主婦を目指し、現在農夫のお婿さんを募集中。
見慣れない動物たちにびっくり
牛小屋ではまだ生まれて間もない子牛たちと対面。やぎがいる囲いでは中に入ってえさを与えることができる。やぎと一緒に飼育されているのは豚やいのしし、アルパカ。
アルパカとはラマに似たらくだ系の動物。首が長いためちょうど顔が人間の顔と同じ位置に来る高さにあり、とても不思議な動物である。それでもやぎとともに生活しているため人にもとても穏やか。
草原の半分を覆う囲いには見慣れない牛の群れが見られる。その大半はBC州でも珍しいとされるブラーマ牛。
ヤギのような垂れた耳に、あご下にはだぶだぶとしたひだのような肉がぶら下がっている。今まで見たこともない牛だ。ブラーマ牛はそもそもインドの牛でヒンズー教では聖なる牛として崇められているという神秘的な牛というから、その外見も納得する。
そのほか、ハイランドスコティッシュ、バッファロー、テキサスロングホーンといった、さらに日ごろなかなか目にしない牛の数々もいるが、ブラーマを見たあとは、それら見事な牛たちも普通の牛に見えてしまうのがいかにも滑稽である。
そのほか草原を自由に散歩し、森の茂みの中に入ると、カルタスレークを見おろす壮大な景色を目の当たりにすることができる。草原を犬とともに走っている子供たちを見ていると、「大草原の小さな森」のオープニングシーンをまるでライブで見ているかのよう。愛さんによると、ここでは四季がどの季節も美しく映えるという。
そのためウェディング場としてもここ数年多用されているとのこと。
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一日中いても飽きない、
ゆったりくつろげる場所
母屋近くに用意された鍛冶屋では、昔ながらの鍛冶工具でクラフト作りを楽しめる。隣の小さなお店では、スタッフが自ら手がける手作りジャム、パン、石鹸、ポプリ、ティーといった商品を購入することができる。
お肉やソーセージまで用意されており、帰宅後のバーベキュー用のお買い物まで済んでしまう。
観光地といえば、見るところを見ると、もう終わりという雰囲気がする。
ここでは何もせずぶらぶらしているだけでも楽しめるし、さらに動物のことや、お茶の葉の作り方について教養を深めることもでき、一日中いても決して飽きない。
グリーンヒルエイカーズではさまざまなイベントが年中催されており、イベント内容などはホームページにてチェックすることができる。
年内を通して、学校行事や、他イベントにも使用されるため、週中は必ず電話、あるいはEメールにて予約するよう勧められている。
それもオーナーのジャニスさんは「どんな小さなグループの訪問者でも、大きなグループと同じように丁寧に歓迎したいため」との心遣いから。本のページから飛び出た風景と、奇妙な動物を存分に楽しめるグリーンヒルエイカーズ、帰りを急がない、のどかな1日を過ごすにはもってこいの場所である。
(取材 亀谷長政)
Greenhill Acres
ADD:47090 Greenhill Road,
Chilliwack, BC
TEL/FAX:604-858-9917
WEB:www.greenhillacres.com
入場料:一人4ドル(2歳以下無料)