MAPLE 2004
2004年6月 25号 掲載
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映画「Paper Moon Affair」に出演している主演の清水美砂さん。5月後半ボーエン・アイランドから始まった撮影は、6月に入ってバンクーバーに場所を移し、今月中旬からはミッション、トフィノへ移動していく。
バンクーバーでの撮影が順調に進んでいる6月 日、撮影現場に美砂さんを訪ね、収録の合間に今回の映画についてや共演者、プライベートなど楽しい話をうかがった。
―今回これはインディペンデント映画ですが、出演しようと思ったのはなぜですか。
「台本を読んでとっても面白かったので、興味が湧いたのが一番ですね。インディペンデント映画とかよりも、私は台本を読んでこの映画をやってみたいなと思ったらやる方なので」
―役どころは?
「ケイコという役なのですが、夫婦仲を取り戻そうと、日本人を初めて見るという小さなこの街に来るんですけど、結局修復できないまま夫が旅立ってしまって、ひとり取り残されるんです。そんな中でハートという男の子がケイコの心にどんどん暖かく入り込んでいくんですね。ここにしばらくいてみようかなって思いを抱く複雑な状況を持つ女の役です」
―ジョン・ローンさんとは夫婦役ですが。
「緊張感のある方で、彼が撮影現場に来るとその場の空気がピーンと張りつめるというか、いい意味で緊張感が生まれますね」
―年下の相手役ハートを演じるフレッチャーさんは?
「彼はとってもプロフェッショナルですよ。カメラが回っていないところではなんかファンキーな感じというか 代の青年なんですけど、カメラが回ったとたんすーっと役に入っていって、表情も全然変わるんですよ。とっても魅力のある俳優さんですね」
―全編英語での撮影ですが。
「初めてですね、こういうのは」
―苦労とかないですか。
「もちろんあります(笑)。気持ちと言葉が追いついていかないんですよね。気持ちをまず作ってからとりあえず、台詞を言ってみようと思うんですけど、最初に台詞がちゃんと言えるかどうか心配になっちゃうんですよ。
そうなると気持ちが追いついて行かなくなってくるんで、大変です。今のところはそんなにしゃべるシーンがないのでまだ大丈夫なんですけど(笑)。
しゃべってても気持ちが乗っかるとうまく出てくるんだけど、気持ちがちょっとどっかいっちゃってると台詞が出てこなくて、それを日本語に直して、英語に直して、ってやってると頭が真っ白くなっちゃって(笑)。
そうなったら、もう何も考えずにやります。ハイ行きましょう、何も考えずにって感じで。考えすぎるとよけいに何も出てこなくなっちゃうから。監督さんがちゃんと聞いてくれてるし。
私が心配そうな顔すると監督が『大丈夫だ美砂、大丈夫だから、気持ちを大事にして』って言われるの」
―デイビッド・タマギ監督さんはどんな監督さんですか。
「いい人です。考えていることがとっても理解できて、アイデアにしても好きですね。スタッフはみんな優しいし。誰も悪いこと言わないし。私がちょっとへましたりしても、日本だと注意してくれる人がいるけど、ここでは何も言われないから、こっちが心配になっちゃう。でも、楽しいです」
―日本との撮影の違いはありますか。
「まず言葉が違いますよね(笑)。最初ね、みんなが省略形の言葉を使うのがわからなくて、今なんて言いました?とかそれはなんの意味?とか聞いてましたよ。それはなんの略なの?とかいちいち聞かなくてはいけなかったの。」
―ケイコ役はどのようにして決まったのですか。
「日本人の女性で英語が話せる女優さんを捜しているということでした。それで、監督と ・ファンさんが『まず美砂に会いたい』というので、アメリカからバンクーバーに会いに来ました。
カメラテストとかして、 ・ファンさんにも会って、『こういう映画なんですけど、どうですか?』といわれて、是非やりたいと思ったので『やらして頂きたいです』。という感じで始まったんですね」
―バンクーバーに来たのは初めてですか?
「初めは、デイビッド監督にお会いするために来て、それからこの撮影にきたので2回目ですね」
―印象はどうですか?
「なんか北海道みたい。空気感といい、山があって、街があって。でもほとんどアジアの方だから、カナダにいる感じがあまりしないですね(笑)。この自然の中でリラックスできる感じですね。人も優しいし、ご飯も美味しいでしょ(笑)」
―普段の生活では英語ですか。
「主人は日本語がわかるので。日本語と英語両方チャンポンというか」
―お子さんとは。
「子どもとは日本語で。私日本語担当です。ちゃんと教えてバイリンガルにしないくてはというんで、彼女たちには日本語で話します。だから、英語しゃべってる時間が家にいても少ないですよね」
―今、お住まいは。
「メリーランドです」
―今回ご家族は?
「アメリカに」
―寂しくないですか。
「そうですね。でも、(映画に)集中できるから(笑)。毎日電話しています」
―バンクーバーの読者に一言お願いします。
「この映画はとってもロマンチックな映画になっていると思うんです。年齢っていうのは関係ないんだなって思いますね。ケイコは 代半ばで、彼は 歳くらい。でも年齢に関係なく男と女が心をケアしながら生きていく。見ていてもとっても心くすぐるし、演じていてもとっても心が暖かくなります。今回は映像もとってもきれいで、なおかつふたりのすてきなラブストーリーが皆さんの心に忍び込んで来ると思うので、楽しみにしていてください」
撮影現場の雰囲気はとても和やかで、清水美砂さんもリラックス。ランチのサンドイッチやブラウニーの差し入れなどを頬張りながら忙しい撮影の合間に常に笑顔でインタビューに応えてくれた。
撮影中打ち合わせするタマギ監督(左)とハラダ役ジョン・ローンさん(中央)、美砂さん |
俳優ブレンダン・フレッチャーさんと
デイビッド・タマギ監督
今回美砂さん演じるケイコにあこがれる年下の恋人役を演じるのは、カナダを拠点に活躍するブレンダン・フレッチャーさん。この映画出演について、「脚本が気に入ったというのがありますよ。それに、僕にとってはこれまでやってきた悪ガキみたいな役とは180度違うし。楽しみです」と語る。
美砂さんの印象はとの質問に、「日本で活躍してきた女優さんがカナダの映画に出演するのは嬉しいことですね。バックグラウンドは違っても俳優という意味では違わないし、お互いにいい経験だと思います。
彼女は明るくて、場の雰囲気が華やぐというか、面白くてキュートで。一緒に演じていて楽しい女優さんです」と笑顔で応えてくれた。
デイビッド・タマギ監督はこれまで音楽ビデオやコマーシャルを多く手がけ、今回映画のメガホンをとるのは初めて。「映画を撮るのは面白いですね。
撮影すること以外にもいろいろな仕事が総合的にあって、中でも俳優と一緒になってひとつのものを作り上げるという作業が面白いですよね。彼らによって物語にさまざまな色が付くというのも魅力です」と語る。
そんな俳優のひとりに抜擢した美砂さんについては、カンヌ映画祭に出品された、「うなぎ」(今村昌平監督)と「赤い橋の下のぬるい水」(今村昌平監督)の映画をみて是非会ってみたいとコンタクトを取ったという。「私はヨーロッパスタイルのような言葉少なに映像と役者の演技で訴えかける映画が好きなんです。
この映画もそういう感じにしようと思っていました。ですから、ミサの演技を見て、実際に会ってみて彼女に決めました」と彼女の物静かながらも力強い表現力がこの映画にピッタリだと話す。
「言葉については気にしませんでした。実際彼女は英語が上手ですし」と言葉についても問題ないとのこと。
「これは、ユニバーサルなラブストーリーに仕上げるつもりです。
抜け道のない迷路に迷い込んだような気持ちに落ちたり、知らない土地で途方に暮れたりという誰にでも起こりえる感情を縦軸に純粋なラブストーリーを横軸にして、日本文化を織り交ぜた物語になっています。是非見に来てください」と語った。
プロデューサーのマイケル・パーカー氏は、「ミサの存在は撮影現場に明るさを与えてくれて、撮影現場の雰囲気をとっても良くしてくれています」と語る。
撮影は6月下旬まで行われ、映画が完成するのは今年の秋。映画が完成した後サンダンス、カンヌ、ベルリンなどの映画祭に出展して、一般公開をする予定。カナダではもちろん、日本でも公開予定である。
(取材 三島直美)
プロフィール
清水美砂:1970年9月25日、東京都生まれ。87年『湘南爆走族』(山田大樹監督)でデビュー。97年カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞作品『うなぎ』(今村昌平監督)に出演し、同作品で98年第21回日本アカデミー賞優秀女優賞、第21回山路ふみ子賞女優賞を受賞した。最近では2002年『海は見ていた』(熊井啓監督)で主演している