SPECIAL 2003
2003年11月 第48号 掲載
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ひとときの至極の喜びを
シャトー・デ・シャルム副社長に聞く

自社産ワインを前にして笑顔のポール・アンドレ・ボスク副社長

   ワインブームが日本で旋風を起こしてから久しいが、考えてみるとまだほんの10数年でしかない。ワインが日常生活から切り離せないヨーロッパの歴史から見れば、まだまだ目を開けたばかりの赤ん坊。それでも世界の一流ワインが集まる日本で意外と知られていないのがカナダワイン。カナダでは19世紀初頭ヨーロッパからの移民とともにワイン技術も輸入され、オンタリオ湖周辺でワイン作りが盛んになる。1988−89年カナダ政府によるブドウの品種植え替え計画が実行され、以来カナダの2大ワイン産地ナイアガラとオカナガンをはじめ、カナダでヨーロッパ品種が栽培されるようになった。最近ではカナダワインの質の高さが世界で高い評価を受け、数々の賞を受賞、注目を浴びている。
 カナダのワイン生産量約80パーセントを占めるオンタリオ州で特に名高いのが、オンタリオ・エリー湖周辺ナイアガラ地帯で生産されるワイン。その中のひとつナイアガラ・オン・ザ・レイクに約100ヘクタール4つのブドウ畑を有するカナダで最大規模のワイナリーのひとつがシャトー・デ・シャルムである。
 今年25周年を迎え、これまでのワイン作りや、日本、BC州にナイアガラワインを紹介する意義などワインについて、バンクーバーを訪れていた副社長のポール・アンドレ・ボスク氏に話を聞いた。

ナイアガラでの25年間
 初代ボスク氏がワイン作りを始めてから5代目にあたるポール・ボスク氏が1978年カナダにブドウ園を作って今年でちょうど25年。25ヘクタールの畑にヨーロッパ産のブドウ品種ビニフェラをカナダで初めて育て、近年カナダワインの歴史が始まったといっても過言ではない。以来常にナイアガラの地に適したブドウとワインを研究し、高品質ワインを作り続けている。
 「ワイン作りはサイエンスとアートの融合です」と6代目のポール・アンドレ氏。飲み物である以上安全性第一で科学的にワインを研究。しかし、「上質のワインを作るには技術のほかに才能も必要なんです」と、極上のワインを作るには農業を肌で感じる芸術的なセンスが不可欠というのがボスク家ワイン作りの秘訣。代々受け継がれきたものは技術だけではないことを物語る。
シャトー・デ・シャルムのワイン
 北アフリカ、フランス、カナダと3大陸に渡ってワインを作り続けてきたボスク家。そんな歴史の中で貫いてきた哲学は、土地のよい管理人であること。「ワインというものは土地の代弁者なのです。ワインが醸し出す独特の風味はその土壌が生み出す自然の恵みがなせる業なのです」と言う。
 「ワインを味わうとき好き嫌いはそれぞれの好みなので仕方ありません。しかし、シャルドネワインを飲んでこれはリースリングのようだといわれるのは心外ですね」とその土地に正直であること、その哲学のもとに作り続けてきたワインがシャトー・ド・シャルムのワインだと自負する。
日本市場にカナダワインを
 「新しい市場に進出する時はどこでも同じで常に難しいものです」と切り出したボスク氏。理由は競争が激しいことにある。世界中に存在している6万5000以上のワイナリーと各市場で競争し、生き抜いていくのは至難の業。
 成功の鍵は、まずは品質。ワイン自体の品質だけではなく、容器からラベルまでトータルに高い品質が求められる。第2は我慢強く続けること。市場にとどまること、卸売業者を信じていくこと、高品質のワインを作ることにも何事にも我慢が必要
という。「日本のようにワインが比較的新しい国は特にそうですね」と笑って、日本人にワインが生活の一部として溶け込んでいくように我慢強く訴えることが日本市場に根付いていく鍵となると信じる。
日本でのカナダワインへの反応は?
 日本市場に10年前先駆的にカナダワインを紹介したのがシャトー・デ・シャルム。日本への輸出量はカナダ一。中でも人気はアイスワイン。
 「日本人がワインと聞いてイメージするのはやはりフランス、イタリア、ドイツワインなどでしょうね」と前置きして、「しかし、日本人は最高級のアルコールを愛する国民です。ワインといえばスランス、ウォッカといえばロシアというように、アイスワインといえばカナダのものが最高級だと認識されるようになってきました」と日本人が持つカナダのイメージと寒い土地で作られるアイスワインは自然と合致し、徐々に浸透していったのだろうとその人気の理由を語る。実際、カナダのアイスワインは世界最高級との評価が高い。
 日本には、白ワイン"Viognier"、"Silver Label Chardonnay"、"Chardonnay"、赤ワイン"Silver Label Cabernet"、"Pinot Noir"、アイスワイン"Paul Bosc EstateRiesling Icewine"、"Vidal Icewine"と7種類が輸出されている。
シャトー・デ・シャルムからの贈り物
 「シンプルな喜び、これに尽きると思います」とボスク氏。10ドルで味わえる極上のひととき。これがシャトー・デ・シャルムからの贈り物である。
 「ワインとは不思議なものなんです。女性も男性も楽しめて、結婚式や誕生日、卒業式といったお祝いの席では喜びの酒として、落ち込んだとき悲しいときにもやはりそこにワインがあるのです。幸せなときも苦しいときも人々の人生の中にワインが息づき彩を添えているのです」と微笑んで、だからワインを愛する人たちのためによりよい品質を求めてワイン作りに励んでいけると語った。
カナダ産ワインの将来を見つめて
  最近結婚し、子供も授かったボスク氏の未来にはやはり理想家族像があるようだ。「これまで家族でやってきたワイナリーを大事にしていきたいし、子供たちがそれを受け継いでくれればうれしいですね。でも、無理強いする気はないですよ」とお父さんの顔をして笑う。
 ワイン作りに関しては今も現役の父ポール・ボスク氏がカナダで新しい独自のワインを作り出したように「ほかの誰も作れない自分のワインを作ってみたいですね」と新しいワイン作りに意欲を見せた。
 マーケティングにも広いビジョンを持ち、ツーリズムと連携を組み、ワイナリーツアーなどに力を入れていくこと、カナダワインを普及していくことが大事であると信じる。「私は西から東までカナダの人々にカナダワインを誇りに思ってほしいのです」と熱い口調で語り、特にアイスワインについては、BC産だろうとオンタリオ産だろうとカナダで作られるアイスワインは世界最高であると思われるようなワイン作りをこれから続けていきたいとカナダ産ワインにかけるカナダ人の誇りを見せた。
アイスワインとは
 日本でも人気が出てきたアイスワイン。寒いカナダならではのカナダ発祥のようなイメージがあるが、その歴史は約200年前のドイツに始まる。寒波に襲われ凍ってしまったブドウを仕方なく搾って作ったワインが以外にもおいしかったというのが始まり。
 零下7度から20度の日が続いた3日目の朝に凍ったブドウを摘み取り、カチカチのまま搾る。この濃厚で香り高くしかもとっても甘い果汁がアイスワインとなるのである。
 アイスワインを作る上でブドウを凍ったまま摘み取るという作業過程が寒さが厳しいカナダの気候にあったことはまちがいない。しかも夏の日照時間が長いため、甘さが増すのもカナダアイスワインの特長である。
シャトー・デ・シャルムのワイン
 BCでは、白ワイン2種類"VIOGNIER"、"'Silver Label' Chardonnay"、赤ワイン"'Silver Label' Cabernet'"、アイスワイン2種類"1999 Riesling Icewine"、"2000Vidal Icewine"が販売されている。BC、日本への販売はプロマーク・ソーシング社が
代理店として取り扱っている。
 自分にあったワインを見つける最もよい方法は、販売店のワインコンサルタントに聞くこと。好みの色、甘さ、予算などを言うとそれに合ったワインを選んでくれる。まだまだそんなことはという人は、ラベルをチェック。親切なワイナリーは多くの情報をラベルで紹介しているため、それを参考にすると良いとのことである。    (取材 三島直美)

シャトー・デ・シャルムの問合せ先
ワイナリーツアーやレセプションなど広い敷地を利用したさまざまな催し物を行っている。詳しいことは直接問い合わせを。
"Charteau des Charmes"
1025 York Road, Niagara-on-the-Lake,
P.O.Box 280-St.Davis's, Ontario,
TEL:905-262-4219
FAX:905-262-5548
Web:www.chateaudescharmes.com
プロマーク・ソーシング社
(Promark Sourcing Inc.)
1996年からカナダの飲食物品を日本市場に紹介。シャトー・デ・シャルムのワインはその代表格。さらに、日本酒をカナダに輸入、取り扱い量はカナダ最大である。